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秋の味覚がなくなる? 私たちの“いつもの秋”を脅かす地球温暖化の現在

  • 2026.10.22
John S Lander / Getty Images

梨、さつまいも、ぶどう——どれも日本の秋を代表する食材。いま地球温暖化によって、これらの食材をこれまでの産地・時期・品質で食べることが難しくなってきている。しかも、国内の農作物の生産現場では、かつてない“産地大移動”も進行中!?

ここでは、秋の味覚をはじめとする日本の食材に迫っている危機を解説。私たちがこれからも豊かな食卓を守っていくために、いまからできるアクションと合わせてお届け!

地球温暖化で「秋の味覚」がピンチ

「実りの秋」や「収穫の秋」と呼ばれるように、秋に旬を迎える果物や野菜の収穫を毎年楽しみにしている私たち。しかし、地球温暖化によって、それらの秋の味覚を食卓に並べることができない日が近づいているかもしれない。

そもそも農産物の収穫に天候が影響を与えてきたことは、これまでにもあったこと。天候不順による不作は過去にもたびたびニュースになってきたが、現在農家の人々が直面しているのは、一時的なものにとどまらない、生産現場を根本から変えていくようなレベルの被害と言えるかもしれない。

NH1213 / Getty Images

梨はこれから、夏の果物に?

国際環境NGO「グリーンピース」が梨を対象とした調査(※1)によると、地球温暖化による強い直射日光や極端な高温状態が、果皮や果肉が火傷した状態になった「日焼け果」や、果肉が崩れたり茶色く変色したりする「みつ症」といった生理障害を引き起こしていることがわかった。高温のダメージに本格的にさらされる前の7月や8月に収穫をはじめる農家も増えていて、もはや梨が“夏の果物”になろうとしている!?

日本のさつまいもは、どんどん小さくなる?

同調査によると、気候変動への適応力が比較的高いと言われているさつまいもも、同じく極端な高温によってサイズが小さくなってしまうリスクにさらされているなど、例外なく影響を受けていることが判明。暑さに強い傾向のある品種はたしかにあるものの、日本における代表的な品種「黄金千貫(コガネセンガン)」や「紅あずま」はその部類には該当しないこともわかっていて、未来の安定的な収穫が危ぶまれている。

異常気象で食料の価格高騰も

SimpleImages / Getty Images

こうした農作物の収穫量減少は、消費者である私たちのお財布事情にもダイレクトに影響する問題。「Zero Carbon Analytisc」がまとめた調査によると、2025年10月に起きた記録的な海水温の上昇により、日本の海苔は養殖の開始が遅れ生育期間が短縮。これにより2026年3月に焼き海苔や加工品の価格が従来より20%~36%アップしている。

この地球温暖化に伴う異常気象が原因で食料品などの物価が上昇する現象「クライメートフレーション」は、世界各地で発生中。

【世界のクライメートフレーション事例】
●
ブラジルのコーヒー▶2024年の干ばつにより、2025年11月までに前年比で約35%上昇
● スペインのオリーブオイル▶2022年&2023年の干ばつにより、1年間で約70%上昇
● 西アフリカのカカオ▶2024年の猛暑や干ばつにより、過去数年間の価格から約400%上昇

輸送費や燃料費に加えて円安の影響もかさなって、テイクアウトのコーヒーやチョコレート、料理に欠かせないオリーブオイルなどの値上がりを実感した人も多いはず。こうした問題が、家計がひっ迫する原因になるだけでなく、安くて栄養価の低い代替品に頼らざるを得なくなることで、健康リスクにもつながっていることも無視できない。

食材の“産地大移動”が進行中?

Mixa / Getty Images

このような事態に現場では生産者があらゆる努力と工夫をかさねながら、なんとか私たちの食卓を守ろうとしている。ただ、従来の暑さ対策では限界もある。そんななか、生産現場ではじまっているのが“産地の大移動”。それぞれの地域の生産者が温暖になった気候に合うように育てる農作物を変えるといった適応策が打たれはじめている。

国産アボカドから国産ブラッドオレンジまで

例えば、もともとは温暖な気候の地中海岸地域が原産地のブラッドオレンジ。その生産が冬でも気温が上がってきた愛媛県・宇和島でもスタートしている。収穫前の秋の高温で、皮と果肉の間に空洞ができる「浮き皮」が多く見られるようになった温州みかんからの転換だ(※2)。

愛媛県は他にも気候変動に合わせて、国産アボカドのブランド化も開始。本来アボカドは中南米などの熱帯から亜熱帯の気候を好むフルーツで、輸入品というイメージが強いけれども、当県内におけるアボカドの栽培面積は、2014年から2022年にかけて約7倍に拡大(※2)。今後は国産アボカドが当たり前になる日も近いかも?

魚もみずから大移動

水産業でも、魚の漁獲地に変化が見られていることは知っている人も多いのでは? その一つの原因には、魚が適正な水温を求めて回遊ルートが北上していることにあるよう。例えば、九州・本州沖がメインだったブリの漁獲地は北上に北上をかさね、いまや北海道に定着しつつある。サンマ・サケ・スルメイカは従来、北日本沿岸が主な漁獲地だったけれど、2023年には3魚種の合計漁獲量は2014年の54.8万トンから10.7万トンへと約8割減。その代わりにマイワシ・マサバが穫れるようになっている。

特定の食材がこれまで知られていた産地では今後収穫できなくなったり、海外から輸入していた農作物の国産化がはじまったりと、農水産物の地図がいま、徐々に塗り替えられようとしている。

“いつもの食卓”を守るためにできること

Susumu Yoshioka / Getty Images

新しい食の名産地が日本各地で誕生することは悪いことではないものの、四季を通じてこれまで楽しんでいた日本特有の多様な食文化が失われるのは悲しいこと。すでに地球温暖化の影響は大きいものの、少しでも温暖化を食い止めるために私たちにできることはまだある。

地産地消を意識

地元の食材を購入し、輸送にかかるエネルギーと温室効果ガス排出量を削減すること。これは日本の食料自給率の向上にもつながって、さらに地域経済活性化への貢献にもなる。最近都内でも見かけるマルシェやファーマーズマーケットで直接、生産者とコミュニケーションをとりながら旬の食材のおいしい食べ方を聞くのも◎ 旬の食材はおいしいし、栄養価も高いので、メリットだらけ!

食品ロスを削減

食べ残しをなくすなど家庭からのフードロスを減らすことも大事なアクション。ごみ処理に伴う温室効果ガスの削減が地球温暖化防止につながっていることは、知っている人もいるはず。最近では、「TABETE」「Too Good To Go」「ロスゼロ」「Kuradashi」など、まだ安全に食べられるのに捨てられてしまう食べ物を通常よりも割安で買える食品ロス削減サービスの選択肢が増えてきている。このようなサービスの利用は、節約になるだけでなく、生産者の日々の努力や手間を無駄にしないことにもつながる。試さない理由はない!

こうした一人ひとりの行動が、私たちの未来の食卓を守る大きな力に、きっとなる。まずは普段の生活でできることから、はじめていきたい。

【参考文献】
(※1)国際環境NGOグリーンピース・ジャパン. (2026, September 17). 秋の味覚が告げる気候変動の影響.
(※2)農林水産省. (2026, July). 農林水産分野における気候変動への適応に関する取組と今後の対応方向.

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