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ラッフルズ・ホテル・シンガポール滞在記|国交60周年。シンガポールの歴史と溶け合う美しい旅へ

  • 2026.10.20
raffles singapore

白亜のコロニアル建築、豊かな緑に囲まれた中庭、エレガントに続く回廊。約140年前の創業以来、世界中の旅人を迎えてきた「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」は、シンガポールを代表するホテルのひとつです。しかし、その魅力は歴史や建物の美しさだけではありません。全115室のスイート、24時間寄り添うバトラー、ホテルの物語を映すレストランやバー、そして旅の記憶を持ち帰るブティックまで──。

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ブティックでお買い物をしたことはあったのですが、このたび初めて宿泊して4日間滞在。泊まったからこそ分かった奥深い魅力をご紹介します。

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1887年から時を重ねる夢のようなホテル

高層ビルが連なるシンガポールの中心部で、低層の建築と熱帯の緑がゆったりと広がる「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」。始まりは1887年、ペルシャ系アルメニア人のサーキー四兄弟が開いたわずか10室のホテルでした。その後増築を重ねて歴史を紡ぎ、世界から訪れる旅人や王侯貴族、文化人たちを迎える存在へ。

館内にはゲストの写真を飾ったギャラリーのような通路があります。ラドヤード・キプリングやサマセット・モーム、エリザベス・テイラーらもこのホテルに足跡を残しています。 fujingaho

100周年を迎えた1987年にはシンガポールの国の記念建造物に指定され、2019年には大規模な修復を経て再オープン。歴史を保存するだけでなく、いまなお“現役”のホテルとして貴重な建物を使い続けながらその心を受け継いでいることこそ、ここの最大の魅力といえるでしょう。敷地の4分の1以上を占めるという庭園を抜け、白い柱廊を歩いていると、街の中心部にいることをふと忘れます。

車寄せに到着すると、純白のターバンをまとったドアマンが迎えてくれます。その姿は、「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」を象徴する風景のひとつ。扉の先に広がるグランドロビーは明るく、天窓から自然光が降り注ぎます。 fujingaho

クラシックな美しさを、現代の心地よさで

客室は全115室、すべてがスイート。高い天井やチーク材の床、アンティークやホテルの歴史を伝える品々など、ホテルの歩みを丁寧に残しながら、現代の滞在に必要な快適さが整えられています。

客室に入ってまず感じるのは、品のよさと温かみの不思議な両立。よそよそしく気取っているのではなくなぜか優しいのです。ベッドルームやリビングスペースのほどよい間仕切りも落ち着く仕掛け。数日をここで過ごすことが自然に思えてきます。 fujingaho
水回りが使いやすく、明るいのでメイクがしやすい点も個人的には高評価。ドライヤーは「ダイソン」。ドレッサーのなかに収納されています。クラシックで温かみのある客室でありながら、滞在してみると機能性が考え抜かれていることに驚きます。なお客室のスリッパは皆が持ち帰るというほど(もちろん私も)足へのフィット感がよい布製のパブーシュ。そして宿泊の機会がありましたら、ぜひオリジナルアイマスクをお試しください。何気なく使ったら、その肌当たりのやさしさと密着感、耳の快適さ(痛くない)、そして安眠効果に夢中に。アイマスクにこんなに感動するなんて(そんなに差のあるものだと思ったことがなかった)! fujingaho

客室の外に出れば、白い柱が連なるベランダや緑豊かな中庭へ。このベランダでお茶や朝食を楽しむこともできるといいます。古典的な建物を眺めるだけでなく、その中で朝を迎え、夜を過ごせる。一日の移り変わりを体感できるのはまさに宿泊者の特権といえるでしょう。観光名所として訪れるラッフルズと、暮らすように過ごすラッフルズでは、その印象は大きく変わります。

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ラッフルズ名物のバトラーサービスとは?

ここでの滞在を特別なものにしているのが、24時間対応する「ラッフルズ バトラー」の存在です。そのサービスの哲学を、ホテルでは“gentle breeze=そよ風”に例えています。必要なときにはすぐそばにいながら、決して存在を強く主張しない。ゲストが頼んでから動くのではなく、旅程や好みを理解し、必要になりそうなことを一歩先で整えていくのがラッフルズ流なのだそうです。

客室に入るとまずはバトラーから無料の「チョコレートコース」の提案があります。シンガポール発の「Mr. Bucket Chocolaterie(ミスター バケット チョコレート)」とのコラボレーションで、アジア各地から調達したカカオを使った季節のボンボンを用意。カヤやカラマンシー、ジャスミン茶など、この土地らしい素材を取り入れた味から好みの味を6つ選びます。ちなみに個人的には一番左下の「ティー&ビスケット」が好み。イングリッシュブレックファストティーの香りのミルクチョコレートにショートブレッドを合わせたボンボンです。 fujingaho

このバトラーの伝統は、ラッフルズブランド発祥の地であるここ「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」から始まったもの。数日を過ごすと、美しい意匠や美食以上に印象に残るのは、こうした人を介したサービスでした。

客室に戻ったときや出掛けるとき、何かを相談したいときに物事がなめらかに進んでいく──。こうした積み重ねが、旅先にいながら自宅以上に寛ぐことのできる安心感につながっているのでしょう。

バトラーには滞在中のさまざまなサポートをお願い。ディナーに出る前に、「ディナーが終わる時間に合わせて熱めにお湯をはっておいて~」とお願いすると、客室に戻ってすぐにバスタイム。バブルバスもお願いできます(このバスルームにはバブルバスがよく似合う!)。バスルームにはバスタブ用枕もスタンバイ。かなりリラックスできます。ちなみにバトラーにパッキングのお手伝いもお願いしてよいと聞いたのですが、さすがにそれは恥ずかしくてお願いしませんでした……。 fujingaho

歴史を楽しみいまのシンガポールを味わう

「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」に泊まるなら、十分に食の計画を練っておきたいところです。なかでもいま一番の注目が、シェフのアンドレ・チャンの率いる「1887 by André(1887 バイ アンドレ)」。

ホテルとシンガポールの文化を、現代フランス料理の技法で新解釈した“ヘリテージ・ガストロノミー”を掲げて2026年にオープンしたばかりのレストランです。同年8月にはミシュラン二つ星を獲得しています。

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それとは対照的に、「Tiffin Room(ティフィン ルーム)」は1892年からホテルの歴史を担ってきた北インド料理の名店。挽きたてのスパイスを生かした料理や、伝統的な“ティフィンボックス”によるサービスからも土地の物語を感じることができます。

今回の滞在で、いちばん“もう一度食べたい”のはここのカレー。華やかなスパイス使いが好みでした。自分の体調が優れない日だったので、もっと貪欲に楽しみたかった……と悔いが残っているというのもあります(汗)。カレーはベジタリアン、ノンベジタリアンから選択できて各7~8種類とバリエーションが豊富。1種類S$30~。写真右はレストラン内に飾られている美しい“ティフィン”。インドのお弁当箱で、日本の重箱のようなもの。 fujingaho
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宿泊者の朝食は「ティフィン ルーム」にて(ここの朝食は宿泊者限定)。メインディッシュをオーダーして洋食中心のセミブッフェを楽しむスタイルです。じつはここのメインディッシュのおすすめはアジアンフード。ミーゴレンが人気と聞いて頼んでみましたが、本格的な味付けで美味。朝からしっかり完食いたしました。 fujingaho

中国料理なら「藝 yì by Jereme Leung(イー バイ ジェレーム・レオン)」へ。「藝」は中国語で“芸術”を意味。ここでは中国各地の多様な食文化をジェレーム・レオンが再解釈し、現代的なファインダイニングへと昇華しています。

白い花びらが頭上を覆うような装飾と、淡いブルーを基調に。中国の天地創造を描く「盤古神話」に着想を得た内装は上品です。料理は中国各地の郷土料理や伝統の味がベース。旬の食材と現代的な技法を駆使し、軽やかなラインアップに仕上がっています。ひと皿ごとに地域性を楽しむことができ、繊細さで奥行きを感じられる中国料理です。ディナーの予算感は1人あたりS$138前後〜。 fujingaho

さらに肉や魚介、旬の食材の持ち味を生かす薪火料理のレストランが「Butcher's Block(ブッチャーズ ブロック)」。ハワイで育った料理長ジョーダン・ケアオが、スモークやスローロースト、高温のグリルなどさまざまな火入れを駆使します。食材を余すことなく使うホールアニマル・ブッチャリーや、廃棄を抑える調理法を意識した料理哲学も特徴。オープンキッチンを備え、調理の臨場感が溢れます。

広々とした店内の「ブッチャーズ ブロック」。800種、2,000本のワインが揃います。ディナーコースは1人あたりS$218~。 fujingaho
〈左〉ハワイの伝統料理「ポキ」に着想を得た前菜。本マグロを小さなタルトレットに詰め、上には高級キャビアの一種、オシェトラキャビアを贅沢に。〈右〉ハワイの伝統的な調理法に着想を得た「フリフリ ドライエイジド ダック」。乾燥熟成させた鴨胸肉を香ばしく焼き上げた一品。鴨もも肉のリエット、燻製プラム、プラムワインのソースを組み合わせていただきました。 fujingaho

ディナーの前後は、ホテルの正面エントランスすぐ横の「Writers Bar(ライターズ バー)」へ。ここは、かつてこのホテルを訪れた作家たちへのオマージュとして生まれたバー。真鍮のカウンターと本に囲まれた空間で、文学から着想したカクテルを味わえます。

「ライターズ バー」は2019年の大改装を機に現在の場所に移転。高い天井にはガンメタルの球体を幾重にも連ねた彫刻的なシャンデリアが象徴的に煌めきます。足元にはチョコレート色の木床、壁には本を収めたアーチ状の棚が配され、中央には艶やかな真鍮のバーカウンター。歴史あるコロニアル建築の中に現代的な造形を差し込んだ空間は、重厚でありながらどこかモダンです。物書きの必需品だったタイプライターを間接的に表したウィットと美しさを感じました。 fujingaho

そしていわずと知れた「Long Bar(ロング バー) 」。ミーハーで恐縮ですが、ここは一度は訪れてみたかったバーです。1915年に「シンガポール・スリング」が誕生した歴史あるバーで、宿泊者以外のゲストも多くお店の外は行列ができていました。早い時間にいくのがおすすめかもしれません。

「シンガポール・スリング」のイラストが目印になった「ロング バー」の1階エントランス。宿泊客以外でも利用できます。 fujingaho
1920年代のマレー半島のプランテーション(農園)での暮らしに着想を得た「ロング バー」。ダークトーンでアースカラーを基調としたデザイン、そして天井の「バンカ・ワラー(扇風機)」が、ゲストを熱帯のプランテーションの栄えた時代へと誘います。 fujingaho
噂には聞いていましたが……ここでは食べた後のピーナッツの殻はぽいぽいと床に投げ捨てるのがお作法。床一面に殻が散らばっているのにはじめは驚くのですが、自分もやってみて慣れてくるとなんだか気楽で楽しいのが不思議です。 fujingaho
初めての「ロング バー」。つまみはピーナッツのみです。発祥のバーということで観光客がオーダーするのはだいたい「シンガポール・スリング」S$36で、なんと1日に800~1,000杯も飲まれているのだそうです。この象徴的なカクテルは1915年に「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」で働いていたバーテンダーによって考案されました。きっかけは、当時の社交界の礼儀作法。女性が公共の場でお酒を飲むことが許されなかった時代に、女性も人前でお酒を楽しむことができるようにバラ色のジュースのような見た目のカクテルを考えたのだといいます。 fujingaho

2026年夏からは“味だけシンガポール・スリング”のノンアルコールメニュー「シンガポール・スリング・ゼロ」が誕生。見た目も味わいも「シンガポール・スリング」なのにノンアルです。「お酒を飲む人も飲まない人もともに楽しむ」、いまの時代らしいニュースといえるでしょう。

階段に積まれた大きな袋の中身はすべてピーナッツ。ここでは1日に63キロ消費されるのだそうです。すごい量! fujingaho

北インド、中国、フランス、そして多彩なカクテルまで。「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」では敷地の外へ出なくても、美食と食文化の面白さを満喫できます。なお、レストランやバーは宿泊者以外も利用できるので、シンガポールを訪れて他のホテルに泊まる旅でもぜひご利用ください。

ロビーの「The Grand Lobby(ザ グランド ロビー)」では毎日12時30分~17時30分、宿泊していなくてもアフタヌーンティを楽しむことができます。紅茶やシャンパンとともにスイーツやサンドイッチを。いちおしは自家製スコーン。しっとりしていてバターの香りが豊かです。ラッフルズ アフタヌーンティは1人あたり S$108~。 fujingaho

朝と夜に見えてくる。ここに宿泊する意味

ここ「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」は、レストランやバー、ブティックを楽しむために宿泊客でなくても多くの旅行者が訪れる人気のホテルです。しかしその美しさを味わうなら、一晩はここで過ごしてみるべきだとこのたび実感。

中庭で朝のヨガレッスンに参加。この日は雨が降っていて静けさが増し、中庭の緑もしっとり。雨は雨で美しい、と天気によって印象が変わるところも魅力だと思いました。 fujingaho

日中の賑わいがまだ始まらない朝。白い柱廊には柔らかな光が入り、中庭から鳥の声が聞こえてきます。そして食事を終えて客室へ戻る夜。照明に浮かぶアーチや回廊は昼間とは異なる表情を見せ、ホテル全体が静けさを取り戻していきます。

郊外のリゾートではなく都会の真ん中にありながら、敷地の4分の1以上が庭園というのも「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」ならではでしょう。

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観光の合間に立ち寄るだけではなく、朝、昼、夕、夜と移り変わる空間に身を置く。あらゆる光と建物と庭の共鳴を目の当たりにすることで、初めて「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」を“体験”したことになるのかもしれません。

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ラッフルズを“持ち帰る”ブティックへ!

チェックアウト前にぜひ立ち寄りたいのが、ラッフルズ・アーケードのシー・ストリート側にある「Raffles Boutique(ラッフルズ ブティック)」。ここはこれまでにもシンガポールを訪れるたびにお買い物にきていた大好きなショップです。

宿泊してみると見え方が変わってきたのが面白い点。

その面白さのキモは、一般的なホテルのブティックとは少し違って、ここは「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」の歴史を“小さなものに置き換えて見せる”場所になっているところにあります。店内にはホテルゆかりのお土産からホームアイテム、グルメまで並び、そこにはホテルの歴史を紹介するギャラリー的な要素もあるのです。

今回編集部のお土産には「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」の紅茶(定番のブラックティのほか、シンガポール・スリング味など種類が豊富)を。複数のフレーバーを購入して、中身は個包装になっているのでアソートで楽しんでもらいました。 fujingaho

シンガポールらしいカヤジャムなど、帰国後の朝食で旅を思い出す品を選ぶのも楽しいもの。自分のためにひとつ、誰かへのお土産にひとつ。ホテルを出た後まで滞在の余韻を残してくれます。

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じつはウェルネスな滞在が叶うホテル

空間の美しさ、居心地のよさ、めくるめく美食。その美しき滞在を支えるウェルネスな設備についてもご紹介いたします。エレガントな建物の外観からは意外なのですが、屋上にはプール、そして充実したジムを完備。そして1階アーケードにはリゾート感溢れるスパもあります。

本館3階に25mの屋外温水プールがあります。歴史的なホテルの屋上とは思えないほど開放的で、泳ぐだけでなくプールサイドでくつろぐのも心地よい場所。利用時間は毎日7時〜19時。 fujingaho
プールの脇にあるフィットネスセンターは24時間利用可能。「テクノジム」の最新トレッドミルやエリプティカルマシン、フリーウェイト、ジムボールなどを完備。希望すればパーソナルトレーニングも受けられます。今回は“美食の旅”だったので、このフィットネスセンターには本当に救われました。毎日1時間以上歩いてカロリーを消費! fujingaho

実際に滞在してみると、心身を休ませる時間まで美しく設計されていることに気がつきます。観光へ出かけるだけでなく、あえてホテルに留まって自分のペースを取り戻す。「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」ではそんな旅を楽しむこともできるのです。

アーケード内にある、緑に囲まれた静かな「ラッフルズ・スパ」。アジアのウェルネス哲学に基づいたボディ&フェイシャルトリートメントを提供します。シグネチャーメニュー、宝石のエネルギーに着想を得た「ラッフルズ シグネチャー ジェムストーン マッサージ」のほか、「オモロヴィッツア」や「ビオロジック ルシェルシュ」といった定評あるスキンケアブランドを使ったフェイシャルトリートメントも。充実したメニューが揃います。 fujingaho
宿泊しているゲストはトリートメントを受けずともスパの温浴エリアを使うことができます(要予約)。サウナやスチームルーム、バイタリティプールなど温熱設備を完備。パウダーコーナーやリラクゼーションルームもあります。ちなみに今回はトリートメントは体験せず、温浴エリアとリラクゼーションルームを利用しました。 fujingaho
トリートメントルームは、宝石の名を冠した6室のトリートメントスイート6室とカップル向けのジェム スイート(ペアルーム)の全7室 fujingaho

日本とシンガポール、60年の交流の味

2026年は、日本とシンガポールの外交関係樹立60周年。「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」は、この節目に両国の味と文化を重ねた特別メニューを発表しました。「ロング バー」には「抹茶スリング」、ラッフルズ・ブティックには「抹茶カヤ」が登場。長く育まれてきた交流を、ラッフルズらしい一杯とひと瓶に映しています。

〈左〉シンガポール伝統のカヤに日本の抹茶を合わせた「抹茶カヤ」。ココナッツと卵のまろやかな甘みに、抹茶の風味とほろ苦さが重なります。〈右〉ホテルを象徴するシンガポール・スリングと、京都・宇治「宇治茶 堀井七茗園(ほりいしちめいえん)」の抹茶を融合した「抹茶スリング」。SJ60の記念エンブレムをあしらい、2026年末まで提供。 fujingaho

約140年の歴史をもつホテルと聞けば、それだけでも一度は訪れる価値があるように思えます。しかし「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」に宿泊して気づいたのは、ここが決して“過去を眺めるための場所”ではないということ。

1887年から続く歴史を守りながら、客室は現代の旅人が心地よく過ごせるように心遣いが行き届き、バトラーの精神も受け継がれています。そして「ティフィン ルーム」や「ロング バー」には100年以上続く物語がいまも息づき、その一方で、新しい料理人を迎えることで食文化の更新も図り続けています。

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ここは、古いものを保存するだけでなく、使い続け、磨き続けながら次の時代へと継承していくことが巧み──そんな印象を受けました。

こうした時間の連続のなかに数日間身をおくということは、自分自身もその歴史の一部に溶け込むということ。これこそが、「ラッフルズ・ホテル・シンガポール」に宿泊する最大の価値なのでしょう。

※S$1=約123円(2026年10月時点)

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