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2カ月迷った俺が、彼女の家の近くの公園からやっと送れた一言

  • 2026.10.22
ハウコレ

「本気?」と届いた画面を前に、返信を何度も打っては消しました。そうさせたのは自分だと分かっていたから。俺が選んだのは、返信ではない答え方でした。

スーツの内ポケットには、この2カ月で角の布がすっかり擦れた紺色の小さな箱。友人の結婚式の二次会を早めに抜けて、彼女の住むマンション近くの公園へ向かいました。ベンチから見上げると、3階の彼女の部屋には明かりがついていました。

ポケットで擦れていった箱

付き合って3年、結婚の話が出るたびに曖昧に笑ってごまかしてきたのは、主に俺のほうでした。

2カ月前に指輪を買ってからは、毎日のように上着に入れて持ち歩きました。彼女の誕生日の食事でも、ポケットの中で箱を握ったきり、そのまま帰りの電車に乗りました。

その日、式のあとに彼女へ「二次会、顔出してくる」と送りました。式でも二次会でも乾杯はウーロン茶で済ませ、幹事に断って会場を出ました。酔った勢いだと思われるのだけは避けたかったからです。

押せなかった部屋番号

電車で数駅、彼女の最寄り駅で降りて、引き出物の紙袋を提げたまま公園のベンチに座りました。

エントランスまで歩いては戻るのを3回。インターホンの前で部屋番号を押しかけて、指を引っ込めたこともありました。

このままでは、また箱を持ったまま帰ることになる。そう思って、スマホに「結婚しようか」と打って、そのまま送信。自分が引き返せなくなるための一行でした。

「本気?」を読んでから

少しして、返事が届きました。

「本気?」

すぐに開いたので、既読はついていたはずです。「本気だよ」と打っては消し、「ずっと考えてた」と打っては、また消しました。

彼女にそう聞かせたのは、ほかでもない俺です。何度も話を先に延ばしてきた末に、画面越しの一行で済ませようとしたのだから、疑われて当然でした。ここで言葉を重ねても、同じことの繰り返しにしかなりません。

スマホをポケットにしまい、ベンチを立ちました。エントランスまでは歩いて数分。部屋番号を押す前に、ネクタイを1度締め直しました。

そして...

オートロックが開き、3階の廊下を歩いてドアの前に立ちました。

「本気だから来た」

ドアを開けた彼女は、まだどこか半信半疑の顔をしていました。

「じゃあ、ちゃんと言って」

内ポケットから箱を出してふたを開け、「結婚してください」と伝えると、彼女はうなずいて、箱ごと俺の手を両手で包みました。

既読のまま5分待たせた理由は、その日は話せませんでした。ベンチとエントランスを何往復したかまで、白状することになりそうだったからです。

(30代男性・システムエンジニア)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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