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「は?なんで俺が数えるんだよ」銀行窓口で怒鳴り出した男性客。だが、上司がトレーを差し出すと、態度に変化が

  • 2026.10.20

年末の窓口に置かれたキャラクターの貯金箱

昔、銀行の窓口で働いていたころの話です。

年末のその日は、いつも以上に混み合っていました。私はカウンターの内側で、番号順にお客様を呼び、手続きを進めていました。

次に窓口へ来たのは、50代くらいの男性でした。

男性は腕を組んだままため息をつくと、プラスチック製のキャラクターの貯金箱をカウンターに置きました。

「これ、中のお金を預けたいんだけど」

当時、私の勤めていた支店では、お客様に入金額を確認していただいてから現金をお預かりする方針でした。

私は貯金箱を見ながら、男性に声をかけました。

「かしこまりました。恐れ入りますが、中のお金を数えて、金額を確認していただけますか?」

すると、男性は眉をひそめました。

「は?なんで俺が数えるんだよ。そういうのは銀行の仕事だろ?」

「申し訳ありません。こちらでは、お客様にも金額を確認していただく決まりになっていまして…」

説明を続けようとすると、男性の声がさらに大きくなりました。

「そんな面倒なことできるか!」

男性は貯金箱を持ち上げ、カウンターに乱暴に置き直しました。

ガタンッという音とともに、中の小銭がじゃらじゃらと鳴りました。

待合のお客様たちが、何事かとこちらを振り向きます。

私は思わず肩をすくめました。男性を怒らせるつもりなどなかったのですが、どう説明すればよいのか分からず、ひざの上で手が震えていました。

奥の席から来た上司の一声

そのときです。

奥の席にいた50代くらいの男性の上司が立ち上がり、私の後ろへやって来ました。

そして、男性に向かって落ち着いた声で話しかけたのです。

「お客様、あちらでお話を伺います」

上司が指し示したのは、窓口の横にある低いカウンターでした。

「いや、だから俺は……」

男性は何か言いかけましたが、上司がロビー側へ回ると、貯金箱を抱えてそのあとについていきました。

二人は低いカウンターに並んで座りました。

上司は小銭を並べるトレーを男性の前に置き、穏やかな声で説明しました。

「お手数ですが、まずはこちらで金額を確認していただけますか。確認できましたら、お預かりしますので」

男性は不満そうな顔をしました。

「……自分で数えろってことか」

「はい。恐れ入りますが、お願いいたします」

上司が静かに答えると、男性はしばらく黙っていましたが、やがて貯金箱のふたを開けました。

「……分かったよ」

そして、小銭をトレーに出し、自分の指で一枚ずつ数え始めたのです。

上司は手を出さず、男性が数え終わるのをそばで静かに待っていました。

先ほどまで「面倒なことできるか」と怒鳴っていた男性が、今度は黙々と小銭を数えています。

耳まで赤くしたまま、顔を上げようとしません。

私は思わずその様子を見つめてしまいました。

あれほど怒っていた男性が、上司に同じ手続きを説明されると、自分で数え始めたのです。

待合のお客様たちも再び前を向き、ロビーにはいつもの雰囲気が戻りました。

私はほっとして、次のお客様の番号を呼びました。

昼休みになって休憩室へ入ると、同僚たちがにやにやしながら声をかけてきました。

「さっきの貯金箱、大変だったね」

「もう、本当にびっくりしたよ……」

私がため息をつくと、隣の同僚が笑いながら言いました。

「でもさ、あんなに『面倒なことできるか』って怒ってたのに、最後は自分で数えてたね」

その言葉に、私も思わず笑ってしまいました。

同じお願いでも、伝える人や場所が変わるだけで、相手の反応がこんなにも違うのかと驚いた出来事でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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