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「また始まった…」介護施設で大声・長居を繰り返す女性→スタッフに注意されたあと判明した事情

  • 2026.10.18
SHUFUFU

義母が入居する介護施設へ通いはじめて、もうすぐ一年。毎週末の面会は私にとって大切な時間なのに、ある女性の存在で、施設への足取りが少しずつ重くなっていた。

ラウンジに響く声、また始まった

その女性のことを最初に意識したのは、義母が入居して三か月ほど過ぎたころ。

共用ラウンジに入るなり、スマホで大きな声の通話をしながら歩いてくる女性がいた。60代くらいだろうか。何度か見かけるうちに、入居している女性の娘さんだとわかった。

「ほら、お母さん。聞こえる? 今、妹とつながってるから」

どうやら家族と電話をつなぎ、母親にも話しかけているようだった。

「ちょっと聞いてよ。またスタッフの対応がさ」

そのまま自分の話まで始まり、声はラウンジじゅうに響く。

ウトウトしていた義母が、その声でぱっと目を開けた。

静かにしてほしい。

でも、こちらからは言いづらかった。

予約制の面会室でも、何度か時間が重なった。

私たちの予約時間になっても、その女性がなかなか出てこない。スタッフが、

「次の方がお待ちですので、そろそろお願いします」

と声をかけても、

「あと少しだけだから」

となかなか席を立たない。

私は廊下の椅子で15分近く待ったこともあった。

スタッフに強い口調で食い下がる姿も何度か見た。

「なんでこういう対応なんですか」
「前にもお願いしましたよね?」

そのたび、見ているこちらまで肩に力が入った。

「いつも来てくれるね」義母のひと言

その日の面会は、いつもより静かな午後だった。

義母は車いすで窓の外を眺めていて、私が隣に座ると「あら」と顔をほころばせた。

「いつも来てくれるね」

認知症が進み、私を嫁とわからない日もある。

それでも「いつも来る誰か」として覚えてくれているのだと思うと、目の奥が熱くなった。

来てよかった。

そう思っていたとき、廊下からスタッフの声が聞こえた。

「帰るタイミングがわからなくなって」

見ると、あの女性がスタッフと話していた。

「以前にもお願いしたのですが、共用スペースでお電話されるときは、もう少し声を落としていただけますか。それから面会室も、次の方がいらっしゃるので終了時間は守っていただけると助かります」

落ち着いているけれど、はっきりした言い方だった。

女性はいつものように言い返すかと思った。

けれど、その日は少し黙ったあと、

「……すみません」

と小さく答えた。

しばらくして、ぽつりと続けた。

「母、最近ほとんどしゃべらなくなって。妹の声を聞かせると、たまに笑うんです」

スタッフは黙って聞いていた。

「それで電話をつないでるうちに、こっちまで大きな声になっちゃって」

女性は一度息をついた。

「面会も、帰ろうとすると母が寂しそうに見えて……。もう少し、もう少しって思ってるうちに、時間を過ぎちゃうんです」

スタッフは声を少し落とした。

「お母さまと少しでも長く過ごしたいお気持ちは分かります」

そして続けた。

「ただ、ほかのご家族も同じように大切な時間を過ごしに来ています。皆さんが気持ちよく面会できるように、ご協力いただけると助かります」

女性はうつむき、小さくうなずいた。

「……そうですよね。ごめんなさい」

少しだけ見え方が変わった

私はそのやり取りを聞きながら、義母の手を握っていた。

あの女性の大きな声や、面会室からなかなか出てこないことを、ずっと「自分勝手な人だから」だと思っていた。

もちろん、事情があれば何をしてもいいわけではない。

私が待たされた時間がなくなるわけでもないし、共用スペースでは周囲への配慮が必要だ。

それでも、あの人も、少しずつ変わっていく母親を前にして、どう接すればいいのかわからなくなっていたのかもしれない。

そう思うと、私の中にあったとげが少しだけ丸くなった。

隣を見ると、義母はもう窓の外に目を戻していた。

「また来るね」

そう言うと、義母は私の手を握り返した。

この時間を大切にしたいのは、きっと私だけではない。

だからこそ、自分の大切な時間と同じように、ほかの人の時間も大切にしなければならないのだと思った。

さいごに

迷惑だと感じる行動の向こうに、その人なりの不安や寂しさが隠れていることがあります。

だからといって、周囲が我慢し続ける必要はありません。

事情を思いやることと、守ってほしいルールを伝えることは、両立できるものなのかもしれません。

介護施設で大切な人と過ごせる限られた時間。周囲への配慮が気になったとき、あなたならどんなふうに伝えますか?

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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