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「いちいちうるさいわね、自分で選ぶわよ」花屋のケースから勝手に花束を取り出した女性客が、名前の札を見て黙り込んだ瞬間

  • 2026.10.17

勝手にケースを開けた女性客

以前、花屋でパートをしていたころの話です。

私が働いていた店では、花を選ぶ際は店員に声をかけていただくよう、お客様にお願いしていました。

以前、自分で花を取ろうとしてバケツを倒したり、花を折ってしまったりする方がいたためです。

ある日の昼ごろ、私の母くらいの年ごろの女性客が来店しました。

女性は花を冷やしておくガラスケースの前に立つと、何も言わずに扉を開け、中の花に手を伸ばし始めたのです。

私は急いで手を拭き、女性のそばへ向かいました。

「お客様、こちらでお取りしますね。どのお花がよろしいですか?」

すると女性は、私をちらっと見て答えました。

「いいのよ。自分で見てるから」

ケースの中には、一般のお客様向けの花だけでなく、予約済みの花束も並んでいます。

そのため、私はもう一度お願いしました。

「すみません。中のバケツが倒れやすいので、お花は私がお出ししますね」

その瞬間、女性の表情が変わりました。

「いちいちうるさいわね、自分で選ぶわよ」

「あっちに行ってて」

そう言うと、女性は私を手で追い払うようなしぐさをして、ケースの中から花束を一つ取り出しました。

すでにきれいにまとめられている花束です。

私はそれを見て、思わず「あっ…」と声を漏らしました。

花束についていた名前の札

女性が胸の前に抱えていた花束には、リボンの結び目から名前の書かれた札が下がっていました。

それは、私が予約のお客様のために作った花束だったのです。

「お客様、すみません。その花束はご予約のお品なんです」

「……え?」

女性は不思議そうに私を見ました。

私は花束についている札を指さしました。

「こちらにお名前がついています。別のお客様がお受け取りになるお花なんです」

「えっ、これ予約の花なの?」

女性は慌てて手元の札を確認しました。

先ほどまでの勢いがなくなり、しばらく黙り込んでしまいました。

すると、入口の近くで鉢植えを見ていた別のお客様が、小さな声でつぶやきました。

「あら、ごめんなさい」

その声に、近くにいたほかのお客様も女性のほうへ視線を向けました。

女性は気まずそうに目を伏せると、花束をケースの中へ戻しました。

そして扉を強めに閉め、何も買わずに店を出ていったのです。

私はすぐにケースを開け、戻された花束を確かめました。

幸い、花びらや茎に傷んだところはありません。形も崩れておらず、ほっとしました。

花束を元の位置にきちんと並べ直し、ようやく肩の力が抜けました。

その日の夕方、予約のお客様が花束を受け取りに来店されました。

私がお花をお見せすると、お客様はぱっと笑顔になりました。

「わあ、きれい!思っていたとおりです」

うれしそうに花束を抱えて帰っていく姿を、私はレジの内側から見送りました。

お客様が無事に花束を受け取ってくださったことに、心からほっとしました。

あのとき、女性客に遠慮せず、予約の花だときちんと伝えてよかったと思います。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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