1. トップ
  2. マンガ
  3. 「俺の友達には会わせたくない」と言い続けた彼。偶然入ったカフェで、彼の友人たちは私の名前を知っていた

「俺の友達には会わせたくない」と言い続けた彼。偶然入ったカフェで、彼の友人たちは私の名前を知っていた

  • 2026.10.17
ハウコレ

約束のない日に届いた「今から行っていい?」。いつもの「そっか」を飲み込んで、スーツのまま来た彼の顔を見ました。彼の返事は、私が思っていたよりずっと短いものでした。

カップのスープに息を吹きかけていると、隣のテーブルから私の名前が聞こえてきました。話していたのは、見覚えのない3人の男性。雨宿りのつもりで入った店で、スプーンを置いたまま、その会話の続きに耳を向けていました。

友達の話になるたびに

彼とは付き合って1年半になります。私の友人とは何度か食事をしていて、誕生日会の店を真っ先に予約してくれたのも彼でした。

ところが、彼の友達の話になると、返ってくる答えは決まっていました。

「俺の友達には会わせたくない」

高校の同級生と今も集まっていることは知っていました。「今度、私も行ってみたいな」と言ったとき。集まりの写真を見せてほしいと頼んだとき。そのたびに同じ言葉が返ってきて、私は「そっか」とだけ答えていました。

これ以上聞けば、面倒な彼女になる。そう思って、SNSで彼の友人らしいアカウントを探しかけては、途中でアプリを閉じていました。会わせてもらえない私は、彼の生活のどのあたりに置かれているのだろう。答えの出ない考えだけが、少しずつ積もっていきました。

スープの冷まし方まで知っていた人たち

友人の引っ越し祝いを探しに出た帰り、にわか雨に降られて、目についたカフェに入りました。窓際の席で温かいスープを頼み、雨が弱まるのを待っていたときです。

隣の席の男性たちが笑いながら話していたのは、誰かの彼女のことでした。その中に、確かに私の名前がありました。

「猫舌だから、スープは少し冷ましてから飲むんだって」

私のカップからは、まだ湯気が立っていました。

話し声が途切れ、1人がこちらのカップと私の顔を見比べました。

「もしかして、あいつの彼女さんですか」

写真を見せてもらったことがあって、と彼は付け足しました。私がうなずくと、隣の男性が「いつも話、聞いてます」と笑い、もう1人はスマホを取り出して何か打ち始めました。

会ったことのない人たちが、私の猫舌まで知っている。それなのに、私はこの人たちの名前すら聞かされていませんでした。小雨になったのを確かめて、会釈だけして店を出ました。

駅へ向かう途中で、彼からメッセージが届きました。

「今から行っていい?」

飲み込み続けた「そっか」

約束のない日にそう送ってくるのは珍しいことでした。「うん」とだけ返し、部屋でお湯を沸かして待ちました。

スーツのまま来た彼は、鞄を床に置いて、ソファの端に座りました。私はマグを渡す前に、彼の顔を見て言いました。

「あなたの友達、私の名前知ってたよ」

「……うん。聞いた」

彼はもう知っていたのです。店で打たれていたメッセージは、彼に宛てたものだったのかもしれません。

「私のことは話すのに、私には会わせたくないんだね」

いつもなら「そっか」で終わらせていた話を、初めて自分から続けていました。彼はマグを両手で受け取り、しばらく中を見ていました。

「少しだけ、時間ちょうだい」

そして...

「待つけど、ちゃんと聞かせてね」

そう言うと、彼は小さくうなずいて帰っていきました。

流しに並んだ2つのマグを洗いながら、店で聞いた笑い声を思い出していました。あの3人は、楽しそうに私の話をしていた。私の猫舌まで話せる相手に、どうして彼は、私を会わせたくなかったのでしょうか。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ