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「玄関開けて、居るのは分かってんのよー!」引っ越し翌朝、扉をたたき続けた隣の奥さんが笑顔で差し出したもの

  • 2026.10.14

引っ越し翌朝、玄関をたたく大きな音

15年ほど前、今の家に引っ越してきたときのことです。

荷物を運び入れた日の夕方、私はお菓子の箱を持って、隣の家へあいさつに行きました。

玄関に出てきたのは、エプロン姿の奥さん。話してみると、奥さんの家もうちと同じころに越してきたばかりだそうです。

お互いに軽く頭を下げ、その日はそれだけで別れました。

ところが、その翌朝のことです。

私はまだ片づかない台所で、パジャマのままお湯を沸かしていました。

換気扇を回してしばらくすると、突然、玄関から大きな音が響いてきたのです。

ドンドンドン!

「えっ、何…?」

インターホンもあるのに、どうして扉をたたくのでしょう。しかも、こんな朝早くから。

驚いた私は、その場にしゃがみ込んでしまいました。

「すいませーん!すいません!」

聞こえてきたのは、昨日あいさつした隣の奥さんの声でした。

もしかして、渡したお菓子に何か問題があったのでしょうか。それとも、昨日の引っ越しのトラックが邪魔になっていたのでしょうか。

「昨日のお菓子、まずかったかな…」

嫌な想像ばかりが頭に浮かびます。

それでも扉をたたく音は止まりません。そして、ひときわ大きな声が響きました。

「玄関開けて、居るのは分かってんのよー!」

もう心臓が飛び出しそうでした。

恐る恐る開けた扉の向こうには

私は覚悟を決め、パジャマの襟を合わせながら玄関へ向かいました。

扉を少しだけ開けると、そこには昨日の奥さんが立っていました。

しかも、なぜか満面の笑みです。

「ああ、やっぱり居たのね。台所の換気扇、回ってたもの」

「あの、昨日のお菓子、何か…」

私がおそるおそる尋ねると、奥さんは明るい声で答えました。

「そうそう!昨日お菓子もらったでしょ。これ、お返し!」

そう言って、小さな紙袋を手渡してくれたのです。

「今度、お茶でも飲みましょうね!」

奥さんは笑顔で手を振ると、そのまま帰っていきました。

「…えっ、それだけ?」

てっきり怒られると思っていた私は、紙袋を握ったまま、しばらく玄関から動けませんでした。

台所へ戻って袋を開けると、中に入っていたのは消臭スプレーでした。

お菓子のお返しが、なぜ消臭スプレーなのでしょう。

さっきまでの緊張が解けたせいか、思わず笑ってしまいました。後で使ってみると、これが驚くほどよく効いたのです。

その後、本当にお茶に誘われ、奥さんの人柄も分かってきました。

声が大きく、思い立ったらすぐ行動する、まっすぐな人だったのです。

あれから15年。奥さんは今では一番仲のいいご近所さんです。

今でも時々、玄関の扉をたたきながら、あの声が聞こえてきます。

「居るのは分かってんのよー!」

今では私も「はーい、居ますよ!」と笑って返事をします。

あの日はあんなに怖かった声が、今では聞くとうれしくなるのだから、不思議なものです。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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