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「夜は、静かにしていただけますか」深夜1時、真上の部屋を訪ねた私が、男性の足元を見て言葉を失ったワケ

  • 2026.10.14

数か月続いた、真夜中の重い足音

妻と2人で今のマンションに引っ越してきて、3年ほどになります。

真上の部屋には、50代くらいの独り暮らしの男性が住んでいます。

廊下で顔を合わせれば会釈する程度で、ほとんど話したことはありませんでした。

そんな男性の部屋から、毎晩のように重い足音が響くようになったのです。

ドスドス、ドスドス。

夜遅くなっても音は止まず、日付が変わってからも続くことがありました。

「また上の階、音がするね。今夜も遅いのかな」

「何か運動でもしてるんだろうな。健康器具かもしれないし」

妻にはそう答えていましたが、私自身も気になっていました。

ただ、直接注意するほどのことだろうかと迷い、数か月は我慢していたのです。

ところが、ある週末の夜のことでした。

いつもの重い足音に、コツコツという硬い音まで交じり始めました。

時計を見ると、すでに深夜1時を過ぎています。

布団に入っても音が気になり、とても眠れそうにありません。

「さすがに、ひと言いってくるよ」

「えっ、こんな時間に?明日にしたら?」

「でも、今もずっと音がしてるだろう。静かにしてもらえるよう頼んでくる」

妻は心配そうでしたが、私は寝間着の上に上着を羽織り、階段で一つ上の階へ向かいました。

玄関に立っていた男性の足元

真上の部屋の前に立ち、呼び鈴を押しました。

すると、それまで聞こえていた足音がぴたりと止まりました。

しばらくして扉が半分ほど開き、男性が顔をのぞかせました。

「夜分にすみません。下の階に住んでいる者です」

男性は何も言わず、軽くうなずきました。

私はなるべく穏やかに話そうと、言葉を選びながら切り出しました。

「毎晩1時過ぎまで、天井からドスドス響くんです。夜中なので、ちょっと眠れなくて…」

そう話しながら、ふと男性の足元に目を落とした瞬間、言葉が止まりました。

男性は、黒い革靴を履いていたのです。

しかも、玄関のたたきではありません。

靴を脱いで上がるはずの室内の床に、革靴のまま立っていました。

よく磨かれた、底の硬そうな靴でした。

「…お部屋でも靴を履いているんですか?」

思わず尋ねると、男性は表情を変えずに答えました。

「呼んでいるんです。靴の音がしないと、来てくれないので」

「…えっ?」

私は一瞬、何を言われたのか理解できませんでした。

男性は冗談を言っているようには見えません。

半開きの扉から見える室内は薄暗く、奥にはろうそくの小さな火がいくつも揺れていました。

それを見た途端、背筋が冷たくなりました。

何と返せばいいのか分からず、私は少し間を置いてから、どうにか口を開きました。

「…そうですか。でも、音がかなり響くので。夜は、静かにしていただけますか」

「はい」

男性は短く答え、静かに扉を閉めました。

それから、ドスドスという大きな音は少しだけ減りました。男性から何かをされたこともなく、私たち夫婦は今も同じマンションで暮らしています。

ただ、深夜になると、ときどき聞こえてくるのです。

コツ、コツ、コツ。

硬い革靴で、ゆっくりと床を歩くような音です。

私は布団の中で目を閉じ、何歩聞こえたのか、つい数えてしまいます。

その数は、夜によって違います。

そして不思議なことに、いつも私の寝室の真上あたりで足音が止まったように聞こえるのです。

そこから先は、何の音もしません。

あの男性が、いったい何をしているのか。今でも分からないままです。

ただ、あの夜の言葉を思い出すたび、足音が止んだあとの静けさが、何よりも怖く感じられるのです。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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