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「家では、点数のことしか聞かれない」塾を3つも変えた娘が漏らした本音。母親が初めてかけた言葉

  • 2026.10.14

座るなり始まった、前の塾への不満

夕方、私は塾の面談室で、50代の女性塾長と並んで座っていました。

この日は、中学2年生の女の子が無料の体験授業を受けた日です。私は授業中の様子を書きとめたノートを手元に置き、40代くらいの母親との面談に同席していました。

女の子は教室で待っています。

母親は椅子に座るなり、かばんから前の塾の成績表を取り出しました。

「もう塾は3つ目なんですけどね。全然成績が上がらなくて。教えるのが下手なんですかね」

成績表には、伸び悩んでいる数学の点数が並んでいました。

「最初の塾は宿題ばっかり多いし、次のところは先生がすぐ辞めちゃうし。どこに行っても同じなんですよ」

母親はため息をつきながら、これまで通った塾への不満を話し続けます。

私は少しでも安心してもらおうと、今日の授業について伝えようとしました。

「あの、今日の授業では、お嬢さんはとても集中していて…」

ところが、最後まで言えませんでした。

「家庭教師だって、月5万円も払ったんですよ。それでも全然だめ。結局、先生の教え方なんじゃないですか?」

「でも、今日のお嬢さんは…」

「それに、こんな若い先生で大丈夫なのかしら」

母親は私を見て、少し笑いました。

私は返す言葉に困ってしまいました。

成績を心配する気持ちは分かります。でも、目の前のノートには、女の子が一生懸命に取り組んだ様子が残っています。

それを伝える機会すらないことが、何よりもどかしかったのです。

塾長が見せた90分間の記録

すると、それまで黙って聞いていた塾長が口を開きました。

「お母さん、少しだけ、今日の授業の様子をお話ししてもいいですか?」

塾長は私からノートを受け取り、母親にも見えるようにテーブルへ置きました。

「お嬢さん、90分間、本当によく集中していましたよ。分からないところも、自分から3回質問してくれています」

「でも、それくらいは普通じゃないですか?」

母親は納得していない様子です。

塾長は落ち着いた声で続けました。

「そうですね。ただ、自分から質問できるのは大事なことです。それに、こちらの成績表を見ても…」

塾長が指さしたのは、母親が持ってきた成績表の宿題提出欄でした。

そこには、丸印がずらりと並んでいます。

「宿題も毎回、きちんと提出していますね」

「ええ、まあ……」

「点数が上がらないのは、ご心配だと思います。でも、お嬢さんが頑張っていないわけではないんですよ」

母親は成績表を見つめたまま、黙っていました。

そこで塾長は、私のノートの最後に書かれた言葉にも目を向けました。

体験授業中、女の子がぽつりと話してくれた言葉です。

「家では、点数のことしか聞かれない」

塾長は少し間を置いてから、母親に向き直りました。

「お嬢さん、こんなふうにも話していたんです。先生の教え方も大切ですけど、まずは今日どんなことを頑張ったのか、聞いてあげてもいいんじゃないでしょうか」

母親は何か言いかけましたが、言葉が続きませんでした。

しばらくして、成績表を折りたたみ、静かにかばんへ戻しました。

面談が終わり、教室へ戻ると、女の子が席で筆箱を握って待っていました。

母親は娘の顔を見ると、一度立ち止まりました。

そして、少し戸惑いながら声をかけたのです。

「……今日、どうだった?」

その言葉を聞いて、私は少しほっとしました。

成績がすぐに変わるわけではありません。それでも、娘が頑張ったことを聞こうとする母親の姿に、今日の面談にも意味があったのかもしれないと感じました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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