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「こんな偶然って、あるんですね」名刺交換で同じ名前だった新人2人。だが、上司たちが笑い出した本当の理由

  • 2026.10.13

初めての名刺交換で、緊張が止まらない

入社してまだ間もない、春の昼のことです。私は課長に連れられて、取引先の会社へあいさつに出かけました。

社会人になって初めての名刺交換。失敗しないか、朝からずっと緊張していました。

前の晩には、自分の部屋で名刺入れを持ち、何度も練習したほどです。

「名刺は両手で渡して、相手より低い位置に…」

課長から教わった手順を思い出しながら、鏡の前で繰り返しました。

取引先の応接室に通されると、私と課長はテーブルの手前に並んで立ちました。

向かい側には先方の部長と、私と同じくらい若い新人の男性が立っています。

その新人も緊張しているようで、名刺入れを持つ指が少し震えていました。

そんな私に、隣の課長が小さな声で言いました。

「大丈夫。落ち着いて、練習どおりにね」

私は小さくうなずきました。

やがて、相手の新人が先に名刺を差し出してきました。

「よろしくお願いいたします」

「頂戴いたします」

私は教わったとおり、両手で名刺を受け取りました。

印刷された名前を確認して、心の中でひと安心。

あとは自分の名刺を渡すだけです。

ところが、緊張していた私は、受け取った名刺を手に持ったまま、ある失敗をしてしまいました。

「こ、こちらこそ、よろしくお願いいたします!」

そう言って、手元の一枚をそのまま相手に差し出してしまったのです。

「私と同じ名前ですね」相手の一言に驚いた私

相手の新人は、私が差し出した名刺を両手で受け取りました。

そして、そこに書かれた名前を見て、不思議そうに首をかしげたのです。

「あれ…?名刺に私と同じ名前が印刷されてますね」

私は一瞬、何を言われたのか分かりませんでした。

「えっ、そうなんですか?」

「はい。こんな偶然って、あるんですね」

相手も緊張していたのでしょう。自分の名刺だとは気づかず、名前が同じことに驚いている様子でした。

私もすっかり同姓同名なのだと思い込み、思わず笑顔になりました。

「本当ですね。びっくりしました」

すると、そのやり取りを見ていた課長と先方の部長が、ほぼ同時に吹き出しました。

「えっ、何かおかしかったですか?」

戸惑う私に、課長が笑いをこらえながら言いました。

「…君さ、名刺入れ、まだ開けてないよね?」

「えっ?」

慌てて手元を見ると、確かに名刺入れのふたは閉じたままです。

そこでようやく気づきました。

私が相手に渡したのは、自分の名刺ではなく、たった今受け取ったばかりの相手の名刺だったのです。

「あっ!す、すみません!私、同じ名刺を返してました!」

顔が一気に熱くなりました。

すると、相手の新人もようやく事情を理解したようで、真っ赤な顔になりました。

「あっ、これ僕の名刺だ!すみません、全然気づきませんでした!」

その言葉に、課長も先方の部長もまた笑い出しました。

私も恥ずかしさをこらえながら名刺入れを開き、今度こそ自分の名刺を取り出しました。

「改めまして、よろしくお願いいたします…」

相手の新人も笑いながら、もう一度頭を下げてくれました。

あれほど緊張していた応接室が、すっかり和やかな空気になっていました。

その日の商談も、課長が驚くほど和やかに進みました。

それ以来、私と相手の新人は、仕事で顔を合わせるたびにあの日の失敗を思い出して笑う仲になりました。

今では、何でも話せる仕事仲間です。

先日も、私が名刺入れを取り出したところ、彼がにやりと笑いました。

「今日は、ご自分の名刺ですか?」

「もう間違えませんよ!」

そう返しながら、私も思わず笑ってしまいました。

社会人として初めての名刺交換は、思い出すだけで恥ずかしくなる大失敗でした。

でも、その失敗がきっかけで、今でも笑い合える仕事仲間ができたのです。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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