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Netflix、約300作品でAI活用と公表「人の手は不可欠」

  • 2026.10.12

Netflixが、これまでに約300作品の制作でAIを活用してきたことが明らかになった。韓国で開催されたイベントで、同社の制作部門の幹部が明かしたもの。一方で、幹部は「人の手が不可欠」とも強調している。(フロントロウ編集部)

編集からVFXまで

この発言があったのは、現地時間10月10日、釜山国際映画祭と共同で開催されたNetflixの年次イベント「Creative Asia」でのパネルディスカッション。米The Hollywood Reporterによると、Netflixのアジア太平洋地域の制作を統括するシニアディレクターは、これまでに約300作品の制作で、さまざまな形でAIを活用してきたと語った。

AIの活用範囲は、制作工程の多岐にわたる。「プリビジュアライゼーション(撮影前の映像シミュレーション)、美術デザイン、セットの装飾に関するコンセプトの事前検討、編集、そしてもちろんVFXにも使われています」。そのうえで、「私にとって重要なのは『この作品にどれだけAIを取り入れられるか』ではなく、『AIを活用することで、この作品にどのような可能性が生まれるか』という問いなのです」と続けた。

とはいえ、AIにすべてを任せるわけではないという。「新しい技術やツールは『どう作るか』という点で大いに役立ってきました。でも、『なぜこの物語を語るのか』を決めたことは一度もありません」「感情を伝えるには、最終的に人間の手が必要です。AIは多くの作業をこなせますが、人の心を動かせるでしょうか? 人の手は欠かせないのです」

『犯罪都市』監督は制作費4割減を試算

パネルには、マ・ドンソク主演の『犯罪都市』を手がけた韓国のカン・ユンソン監督も登壇した。カン監督はAIツールの積極的な導入で知られ、昨年は「AI映画監督」を名乗るクリエイターと組み、韓国初の「全面的にAIを活用した長編映画」とうたわれた『Run to the West(英題)』を共同監督した。しかし、AIで生成された映像への評価は芳しくなく、興行収入は約10万ドル(約1,500万円)にとどまった。カン監督自身も、技術の進歩があまりに速く、公開時にはすでに映像がやや古く見えていたと認めている。

それでも、監督の意欲は衰えていない。現在は、中国のKling AIの生成AIツールを大規模に活用したアクション映画『The Gulf of Aden(英題)』を制作中。予算の制約で実現できなかった数々のシーンを映像化できたといい、「資金計画のために試算したところ、制作費を約40%削減できる見込みだった。CGやVFXの置き換えだけではありません。撮影そのものが効率化され、制作期間もある程度短縮された」と明かした。

『アバター』シリーズなどで知られるVFXスタジオ、ウェタFXの最高技術責任者キンボール・サーストンは、同社におけるAIの活用方法について、創作上の意図を変えることのない「補助的なAI」だと説明。目標は「単純な反復作業を減らすこと」だという。

ハリウッドとアジアで温度差

米The Hollywood Reporterは、今回のパネルディスカッションを通じて、AIに対するハリウッドとアジアのコンテンツ業界の受け止め方の違いが浮き彫りになったと伝えている。ハリウッドのクリエイターたちがAIの導入に強い警戒感を示す一方、アジアでは主に新たな「チャンス」として捉える動きが見られるという。

ハリウッドでは、ニコラス・ケイジがAIに関する同意書への署名を拒否し、Amazonとの関係を断つ可能性を示唆したことも報じられている。予算の制約に悩む作り手にとっての「武器」になるのか、それとも俳優や映像制作に携わる人々の仕事を脅かす存在になるのか。AIをめぐる議論は、作り手の立場によって見方が大きく異なりそうだ。

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