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「隠れた思想が明らかに?!」日本に多い、でも実態が知られていない謎の集団・新しいリベラルをひも解く【#むちぞん】

  • 2026.10.11

世の中の「知らないと損する」話題を、北海道から「ざっくり」深掘りするHBCのWEBトーク番組「むちぞん~無知は損する~」。

情報があふれる現代社会で、「もやもやする話題」や「実は知らないと損する知識」を、その道の第一人者をお招きしてじっくり聞いていこうという企画です。

第1回は、今、日本の最大多数を占めながらも実態が知られていない「謎の集団・新しいリベラル」に迫ります!

Sitakke

ゲストに『新しいリベラル』(ちくま新書)の著者である北海道大学大学院の橋本努教授をお迎えし、政治思想の基本から「新しいリベラル」の正体まで、ゼロからたっぷり伺いました。

聞き手は、HBC本間吏成(ほんま・りせい)アナウンサーと、報道部の髙橋智也(たかはし・ともや)記者です。

前回の記事で、「そもそもリベラルって?保守って?」を解説しました。
しかし、自分がリベラルだと思っている人も投票傾向は別だったりと、リベラルと保守では分けきれなくなった側面が見えてきたといいます。

この記事では、大規模調査によって新たに浮かび上がった「新しいリベラル」とは何なのかについて深掘りします。

浮かび上がった!「新しいリベラル」4つの特徴

本間アナ)橋本先生が発見されたのが、隠れた多数派である「新しいリベラル」なんですね。リベラルの考え方をもとにした新しい何かということでしょうか?

橋本教授) 「あなたはリベラルですか保守ですか?」と聞いても回答が曖昧でバラバラなので、質問してもしょうがないんですね。そもそも自分が何なのか分かっていないし、意見が一致していないんです。

そこで私たちは約7000人規模でアンケート調査を行い、政策ベースの基本的な質問を6つ用意しました。その回答傾向を分析したところ、「この人たちは『新しいリベラル』と呼べるのではないか」という特徴を持ったグループが浮き彫りになってきたんです。

髙橋記者)従来型のリベラルと『新しいリベラル』の比較をまとめた内容を見てみたいと思います。

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1. 【安全保障】
非核三原則は維持しつつ、日米安保や憲法改正(自衛隊明記など)には現実的に対応する。

2. 【支援対象】
高齢者福祉などの「消費的支出」よりも、子育て・教育・リスキリングなどの「次世代への社会的投資」を重視する。

3. 【環境・経済】
脱炭素化(GX)を単なる環境保護だけでなく、「将来世代の繁栄と経済成長のための投資」と捉える。

4. 【政府の役割】
「大きな政府か小さな政府か」ではなく、「大きくなった政府の予算を、高齢者向けか次世代支援かにどう配分するか」というバランスを重視する。

髙橋記者)従来型リベラルは憲法9条の堅持・改正反対ですが、新しいリベラルは「非核三原則は維持」する一方で「日米安保や憲法改正には現実的に対応する」 というスタンスが見て取れます。ニュアンスがかなり違いますね。

橋本教授)憲法改正について、自衛隊の存在を認める条項を入れるといったことは認めてもいいかもしれないけれど、非核三原則はとても重要だと思っている、これが新しいリベラルの回答傾向です。自衛隊は認めても、核については厳格に原則を保持する立場ですね。

髙橋記者)ウクライナ情勢やホルムズ海峡の状況などを受けて、より現実に対応した方がいいという考えを持つ人が増えてきたと見ていいでしょうか?

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橋本教授)ウクライナはもともと非核三原則のような立場を持っていた国ですが、2022年からロシアによる軍事侵攻が始まりました。
「日本は非核三原則を持っているから安心と言えるのか」という不安が、ウクライナ戦争後に日本でも生じています。
新しいリベラルは非核三原則を維持したいと言いますが、今もう一度調査したら結果は変わってくるかもしれません。

本間アナ)時代に合わせて変わるんですね。

橋本教授)日米安保についても、新しいリベラルは現実的に対応して強化すべきだと考える人が多いですが、従来型リベラルの支持者は解消・批判的な人が多く、ここに大きなズレがあります。

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髙橋記者)支援対象についても、従来型リベラルが弱者支援・高齢者支援であるのに対し、新しいリベラルは「子育て・教育・次世代支援=社会的投資」 に前向きです。この「社会的投資」とはどういう意味でしょうか?

橋本教授)一番分かりやすいのは教育費です。教育予算を増やすことで、教育を受けた子どもたちが将来の日本社会を豊かにしてくれる人材(人的資本)になる。これが「社会的投資」です。

一方、高齢者福祉や貧困層支援は生活費として使われる「消費的支出」になります。社会的投資は、未来へのリターンを期待してお金を使うという発想です。

髙橋記者)経済・産業についても、従来型が平等や分配を重視するのに対し、新しいリベラルは脱炭素化の推進を支持しています。

橋本教授)どちらも環境は重視するのですが、理由が違います。従来型は「環境か経済か」というジレンマで環境を優先します。一方、新しいリベラルは「環境技術に投資することで、将来世代の日本人がより豊かな社会を築いてほしい」という未来への投資として捉えているんです。

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本間アナ)政府の役割について、「大きな政府か小さな政府か」という従来の対立軸についてはどうでしょうか?

橋本教授)もともとは小さな政府=保守、大きな政府=リベラルと考えられてきましたが、調査すると保守もリベラルも平均的にはどちらも「政府は大きくていい」と思っていて、差が出ないんです。

そこで「政府が大きくなったとして、何に予算を使うべきか」と聞くと、新しいリベラルの人たちは「次世代支援にもっと予算をつけてほしい」と答えるんです。

これからの政治と日本のゆがみ

本間アナ)従来型リベラルと「新しいリベラル」の違いを、一言で言うと何になりますか?

Sitakke

橋本教授)ずばり「次世代支援」 です。従来型リベラルが高齢者支援や弱者支援を中心に考えるのに対し、新しいリベラルは次世代支援を重視します。

今の20代・30代は人口が少ないため、民主的に投票するとどうしても少数派になって意見が通りにくく、高齢者の意見が通りやすい。このバランスがおかしくなっているんじゃないか、もっと次世代を支援すべきだと考えるのが新しいリベラルです。

本間アナ)お話を聞いていると、従来型リベラルは「今」を見ていて、新しいリベラルは「未来思考」 というイメージですが、その認識で合っていますか?

Sitakke

橋本教授)その通りです。今生きている子どもたちだけでなく、これから生まれてくる世代も含めて等しくケアし、未来の日本を繁栄させてほしい という考え方です。

これは若い世代だけでなく、子育てを終えた世代や高齢者の方でも「今の日本は経済よりも人口減・少子化が心配だ」と感じている人たちが、新しいリベラルの考え方に賛同しています。

***

橋本教授の分析では、保守とリベラルの2つの思想ではなく、6つのグループが浮かび上がってきました。
それぞれの思想がどの政党と結びつくのか?

今の選挙結果がどんな仕組みで現れているのか、そのヒントを探ります。

むちぞん~無知は損する~

Sitakke

HBCニュースのYoutubeで動画を公開しています。

HBCアナウンサー・本間吏成

稚内市出身。HBCラジオ「気分上昇ワイド ナルミッツ!!!」パーソナリティ、野球実況、HBCテレビ「キタコイ」を担当。Sitakkeでは「むちぞん~無知は損する~」や「アライマ(アラサーの今、話してみた)」に出演。好き勝手に喋るので、リスナーからは「ナルミッツの毒」と言われる。

HBC報道部・髙橋智也

北海道の政治・社会ニュースを中心に取材を担当。

ゲスト:橋本努(はしもと・つとむ)

北海道大学大学院経済学研究科教授。経済思想・政治思想を専門とし、大規模調査に基づく著書『新しいリベラル~大規模調査から見えてきた「隠れた多数派」』(金澤悠介教授との共著)が話題を集めている。

編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は収録時(2026年5月)の解説・議論に基づきます。

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