1. トップ
  2. カルチャー・教養
  3. 夜型の人ほど朝以外でも仕事で「見えない損」を抱えている

夜型の人ほど朝以外でも仕事で「見えない損」を抱えている

  • 2026.10.10
夜型の人ほど朝以外でも仕事で「見えない損」を抱えている
夜型の人ほど朝以外でも仕事で「見えない損」を抱えている / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

夜が深まるほど頭が冴えてきて、気づけば時計の針がてっぺんを越えている。

これまでの研究で、夜型の人は朝型の人に比べて、全体として健康状態がよくない傾向があると言われてきました。

しかし、その不利が「働き続けられるかどうか」にまで及ぶのかは、ほとんど分かっていませんでした。

では、夜型であることは、働き盛りの年代で仕事を続けられなくなることと関わっているのでしょうか。

今回の研究では、フィンランド北部で生まれた中年の人たちを12年にわたって追いかけた調査で、この疑問に迫りました。

研究の詳細は、2026年9月29日付で学術誌『Occupational and Environmental Medicine』に掲載されました。

目次

  • 1966年生まれの5679人を、46歳から追いかけた
  • 夜型の人は「働けなくなる」ことが多かったのか?

1966年生まれの5679人を、46歳から追いかけた

1966年生まれの5679人を、46歳から追いかけた
1966年生まれの5679人を、46歳から追いかけた / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

人には頭や体がよく働く時間帯の好みがあり、朝型か夜型かといったこのタイプを「クロノタイプ」と呼びます。

今回の研究が注目したのは、夜型の人が「障害年金」を受け取るようになるかどうかです。

障害年金とは、健康上の理由で働くことが難しくなった人に支払われる年金のことです。

研究チームは、1966年にフィンランド北部で生まれた人たちの集団(出生コホート)のデータを使いました。

2012年、まだ引退していなかった46歳の参加者5679人に、朝型か夜型かを調べる短い質問票に答えてもらっています。

さらに、その答えが体質をきちんと映しているかを確かめるため、31歳の時の遺伝子の情報から計算した「朝型になりやすさの点数」とも見比べました(5130人)。

すると、質問票の結果と遺伝子の点数のあいだには、偶然とは考えにくいつながりが見られました。

この質問票で夜型と判定されたのは、男性253人(9.7%)、女性381人(12.4%)でした。

そのうえで、2012年から2023年まで、参加者が57歳になるまでに初めて障害年金を受け取った人を記録から追いかけました。

分析では、時間を追って出来事の起こりやすさを比べる統計の方法を使い、46歳の時点の社会経済的な立場(経済面や社会の中での立場)や健康、睡眠、働く時間に関わる要素も考えに入れました。

はたして、朝型と夜型で違いは出たのでしょうか。

夜型の人は「働けなくなる」ことが多かったのか?

夜型の人は「働けなくなる」ことが多かったのか?
夜型の人は「働けなくなる」ことが多かったのか? / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

結論から言うと、夜型の人は朝型の人に比べて、12年のあいだに障害年金を受け取るようになる人が多くなっていました。

追跡期間中に初めて障害年金を受け取ったのは、男性全体で135人(5.2%)、女性全体で249人(8.1%)でした。

ところが夜型の人に限ると、その割合は男性で8.3%、女性で12.1%にのぼっていました。

朝型の人と比べると、夜型の人が障害年金を受け取るようになるリスクは、男性で約72%、女性で約73%高い計算です(ハザード比〈出来事の起こりやすさを比べた倍率〉1.72、1.73)。

これは、ほかの要素で調整する前の数字です。

そして、経済面や社会の中での立場の違いを考えに入れて計算し直しても、この差は小さくなりませんでした。

つまり、夜型の人のほうが障害年金に至りやすいという傾向は、暮らしの経済的な事情の違いだけでは説明しきれないようです。

ただし、この研究が示しているのは夜型と障害年金の「つながり」であり、夜型そのものが原因だとまでは言えません。

研究チームは、働き盛りの年代の夜型の人に障害年金が多いことは、国の経済を持続させるうえで大きな課題だとしています。

そのうえで、夜型の人の健康と働く力を支えるための、さらなる研究と取り組みが必要だと訴えています。

夜型の人にとっての「つらさ」は、朝の眠気だけでなく、長い目で見た働き方にも影を落としているのかもしれません。

朝が苦手なことを本人のやる気の問題と片づけず、体のタイプの違いとして受け止めて働き方を支えていく視点が、これからの職場には求められそうです。

とはいえ、この記事を深夜に読んでいるそこのあなたは、まず今夜だけでも早めに布団へ入ってみてください。

参考文献

Evening chronotype and disability pensions: 12-year register-based follow-up of middle-aged adults from the Northern Finland birth cohort 1966 (Occupational and Environmental Medicine)
https://doi.org/10.1136/oemed-2026-110995

元論文

Evening chronotype and disability pensions: 12-year register-based follow-up of middle-aged adults from the Northern Finland birth cohort 1966
https://doi.org/10.1136/oemed-2026-110995

ライター

山下 浩介: むずかしい研究を、なるべく分かりやすく伝えたい。専門の言葉はふだんの言葉に置きかえて、身近な例で例える。それで「わかった」「楽しかった」と言ってもらえたら嬉しいです。 好きなのは、通学路や台所や日常の中にある科学。眠っているあいだに記憶が整理される話や、虫の鳴き方に意味がある話のように、読み終わったあとに誰かへ話したくなる研究を探しています。

編集者

ナゾロジー 編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ