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「夢は口に出すと叶うから」北海道での7日間 兵庫・東京から来た中学生3人の成長と変化

  • 2026.10.8

初めてづくしの1週間が始まろうとしていました。

親元を離れ、北海道で7日間を過ごした3人の中学生。
初めて出会う人たちと暮らし、働き、考える。3人は夏の1週間で、何を感じたのでしょうか?

疲れと緊張…初対面の3人

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初対面の3人 左から佐藤誠士さん(中3)、金山己徹さん(中2)、 大岩樹貴さん (中3)(旭川空港)

8月16日、北海道の旭川空港にそれぞれ東京と兵庫から到着したのは、3人の中学生です。この日、あるプロジェクトに参加するため、初めて顔を合わせました。少々お疲れぎみの一人に声をかけてみました。

「いまの気持ちは?」とたずねると、兵庫から来た中学2年生の金山己徹さんは「疲れた」とポツリ。「緊張とワクワク、今はどっちが勝っている?」とさらに聞くと、「緊張」と答えてくれました。

3人は言葉を交わすこともなく、プロジェクトの運営スタッフが運転する車に乗り込み、空港から早速移動です。

北海道に来るのも、親元を離れて過ごすのも初めてという3人です。
移動中も会話はほとんどないまま、1時間ほどで到着したのは南富良野町です。

ここで大型のゴムボートに乗り込み、夏でも水の冷たい川を下るラフティングに挑戦することになりました。

「3人とも協力してできそう?」とたずねてみますが、3人は無言でうなずくだけ。

この日から3人は1週間にわたるプロジェクトで共同生活を送ることになります。

最初に用意されたラフティングは、初対面の緊張をほぐすためのプログラムです。
場所によっては流れの速いところもある川下りに挑みます。

ドライスーツから悪戦苦闘

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ドライスーツを着るところからスタートですが、3人とも悪戦苦闘。
ただ、しばらくするとお互いに助け合いながら準備を進め、自然に言葉も出るようになりました。

「これ、キツキツで絶対に痛い!」
「もうF1ドライバーみたいな感じだね」
「手伝ってくれてありがとう…」

現地のガイドさんが、ヘルメットにおそろいの大きな葉っぱをつけてくれました。

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ほかのラフティング利用客とともに、3人が乗ったボートは勢いよく急流を進み、落差のある流れも乗り越えていきます。
このラフティングを終えたころには、3人の距離が少し近づいていました。

「どうでしたか?」と現地ガイドが問いかけると、「楽しかったです!」と元気よく答える3人の姿がありました。

キャンプ場で一緒に過ごす7日間

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滞在先は、北海道・空知地方の芦別市です。
人口1万人ほどが暮らす、林業や木工業、農業が盛んなマチです。
3人の中学生は、滝里湖の湖畔にあるオートキャンプ場の施設で7日間を一緒に過ごします。

施設に入ると、「ひろッ!」「キッチンもあるし」と声を弾ませる3人。
運営スタッフが「どうですか?」と尋ねると、「広い」「めっちゃ広いです!」と笑顔を見せました。

8月16日から1週間の共同生活を送るのは、兵庫県尼崎市の中学3年生・大岩樹貴さん、同じ兵庫県神戸市から来た中学2年生の金山己徹さん、そして東京都武蔵野市の中学3年生・佐藤誠士さんです。

3人が参加するのは『Blue Family Project 2026』。
神奈川県に拠点を置き、全国各地で地域ブランディングなどを手がける企業「Grass Family.」が企画した、中学生と地域をつなぐ滞在型の共育プロジェクトです。

一見、サマーキャンプのようですが、その狙いは少し違います。

未来が楽しみになるように

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プロジェクトを主催するGrass Family.の荻野孝史代表は、思いをこう語ります。

「自分の人生を振り返ってみると、僕自身が14歳、15歳のとき、それまで抱いていた『未来の夢』が気がついたら『将来の進路』に変わっていったんですね。気がつけば、夢を口にするのがはばかられて、どこの塾に通うとか、どこの高校に進学するみたいな形で、結構未来がつまらなくなっていって…」

だからこそこのプロジェクトを通して「人生の選択肢を広げてほしい」と考えています。

「全国各地にいるおもしろい人や、地域の仕事に出会ったり体験したりすることで、人生の選択肢を広げて未来が楽しみになるような機会を、このプロジェクトでは提供できればと思っています。それと同時に、自分自身にも、出会ってもらうことを大事にしてもらいたいです」

都会暮らしの3人にとって、森林に囲まれた滞在先の湖畔は、日常から大きく離れた、まったくの異空間です。

「自分で考え、動く」7日間

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左から、中2・金山己徹さん(神戸市) 中3・大岩樹貴さん(尼崎市) 中3・佐藤誠士さん(武蔵野市)

参加のきっかけは、3人とも親のすすめでした。
ここでの7日間は、誰かに用意してもらうだけではありません。
自分で考え、動きます。

運営スタッフのサポートもありますが、1週間の滞在中は食事も自分たちで準備します。
滞在初日はバーベキューのため、3人は火を起こすことから始めることになったのですが…。

「どうしたん?つかへんの?」(金山さん)
「うーん、着火剤にしかついてなくね?って思うんだけれど」(佐藤さん)
「灰やばい」(大岩さん)
「ついてる、ついてるって、赤くなってるからセーフや、セーフ」(金山さん)

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好奇心と慎重さを持ち合わせた大岩樹貴さん。
金山己徹さんは学校の休み時間にはクラスのムードメーカー的な存在で、佐藤誠士さんは普段から家族とアウトドアを楽しみ、学校ではバレーボールに汗を流しているといいます。
3人とも、それぞれ個性的です。

バーベキューの準備を何とか終えると、運営スタッフがサケを使った北海道の郷土料理『ちゃんちゃん焼き』を作ってくれて、3人はその味を堪能しました。

「まぁ、味がなんかいつもと味が違う。うまい!」(大岩さん)
「サケの身が柔らかい」(金山さん)

知らない人への声がけ「つらかったです」

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そしてプロジェクト2日目は、地域に暮らし、働く大人たちに学ぶプログラムです。
3人の中学生は、地元の森林組合の工場を訪ねました。
市内の9割ほどが森林に覆われている芦別市は、木工業や林業が主要な産業です。

この日は、単に仕事場を見学するだけでは終わりません。
木工場で出た廃材を再利用して、それぞれ商品を考え、それを形にします。

「どうすれば、お金を払いたいものになるのか?」
そこまで3人それぞれが考え、商品の販売まで行う本格的な職業体験です。

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「こんにちは、どうですか?見ていきませんか?」と大きな声で呼びかける金山さん。

佐藤さんは「道の駅で商品を売るために、知らない人に大声で声をかけないといけなかったので、それがつらかったです」と振り返りますが、芦別にある『道の駅』で、3人の商品はすべて売れました。

地域で暮らす大人たちと出会う7日間のプログラム。富山県や岐阜県でも開催され、芦別は去年に続いて2回目です。

「ケンカは起きないと思います」

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「いまの時点で仲良くなってきているから、ケンカは起きないようにがんばります」(金山さん)
「ケンカは起きないと思います」(大岩さん)
「楽しいし、なんか自然もめっちゃ感じるから、楽しいです」(佐藤さん)

空港で出会ったとき、あれほどぎこちなかった3人ですが、一緒に過ごすうちにすっかり会話も増えました。

ただ、3人には大きな宿題が事前に出されていました。

主催者の荻野代表は「一人ひとりが、プレゼンテーションするプログラムがあって、より地域に根差して、滞在中に出会った人たちのことや自分が感じたことをしっかり言葉にしてもらう形で、プレゼンのテーマ設定をしています」と明かします。

「もういやだ、やばい」3人に課せられた宿題

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プロジェクト6日目。3人に課せられた宿題を発表する日を迎えました。
プレゼンのテーマは「どんな高校があれば、自分は芦別に来たいと思うか?」です。

プレゼンの本番前ですが、3人に余裕はない様子。

「さっきリハーサルする前は余裕だったのに…。リハーサルを始めてからね…」(金山さん)
「もう嫌だ、やばい、めっちゃ緊張感すごい」(大岩さん)
「自己紹介さえできれば、山は乗り越えた感じに…」(佐藤さん)
「やばい、緊張がすごい、しんどいね」(大岩さん)

3人が描いた「理想の学校」

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会場の芦別市総合福祉センターには、地域の人たちや芦別市長らが集まりました。
滞在中、3人が悩み、考えてきたことを発表する時間です。

トップバッターの金山さんは、まず自分なりの視点でマチの印象を語りました。

「芦別市の芦別駅付近を歩いていて思ったのは、建物とかが閉まっていたり、車とか人も全然通っていなかったりして、さみしいマチだなと思ったので、にぎやかなマチになってほしいです」

そのうえで理想の学校についてこう話します。

「僕が行きたいと思える高校は、私服OKで、自立できるような学校です。入試として2日間は自然に触れさせて、森でみんなと遊べるところを作ってほしいです」

続いて佐藤さんが話す、通いたくなる学校は…

「僕が通いたくなる学校は、人として成長できる学校、学習面でしっかりしている学校、生徒のやりたいことを尊重してくれる学校、校則が少なく自由な学校、設備がしっかりしている学校です」

そこで提案したのは具体的かつ斬新なアイデアです。

「自然を利用した学習やデジタルの学習、将来に向けた職業体験を並立した学校に通いたいです。芦別には病院はあるけれど、学校の保健室を地域に開放し、病院と協力、連携しながら誰でも行ける保健室があると良いと思います」

最後に発表した大岩さんは、自分の素直な気持ちを言葉に込めました。

「僕はひと言で言うと、夢を一緒に考えてくれる高校を作りたいです。自分は将来が不安だから一緒に考えてほしいからです。夢は口に出すと叶うから、日本一『夢を言葉にする』機会がある学校にしたいです」

それぞれが感じた変化

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3人の7日間が、終わろうとしていました。
「この1週間で何か変わったなと思うところはある?」とたずねてみました。

佐藤さんは「変わったことでいうと、家にいるときよりも周りを見て気を遣ったりできるようになりました」と話し、大岩さんも「あるかなぁ。でも人前で喋れるようになったかもしれない」と教えてくれました。

さらに「今までの夏休みとの違いは?」と聞くと、金山さんはこう振り返ります。

「普通にどっか行くとかはあったけれど、ほぼはじめましての人と7日間はないね」
「冬の芦別に行きたいかも。マチの人が氷を割って魚を釣るって言っていたから」

初めて来た町で過ごした7日間。何かが、大きく変わったわけではないのかもしれません。
ただ、また来たいと思える場所が、ひとつ増えました。

取材・文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あま
※掲載の内容は、HBC「今日ドキッ!」放送時(2026年9月9日)の情報に基づきます。

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