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【鞘師里保×小西桜子】「恋愛中の嫉妬や感情が、人間らしく描かれています」ドラマ『付き合ってあげてもいいかな』冴子と、みわ<前編>

  • 2026.10.8

「弱さを明るさでごまかす。その内側を知って、冴子が愛おしくなった」(鞘師里保)

鞘師里保×小西桜子

──ドラマ『付き合ってあげてもいいかな』では、恋人から始まる恋愛模様を演じられているお二人。関係性はどのように作っていったのでしょうか?

鞘師里保(以下:鞘師)「恋人役なのでもちろん仲良くある必要はあるのですが、付き合い始めてからの二人の軌跡を描いているストーリーでもあるので、同時進行でお互いを知っていく過程も映像に残していく必要があって。なので、最初から何でも知っているような親友のような関係に持っていくというよりは、撮影する中で自然とお互いを知っていき、そのリズムが冴子とみわのコミュニケーションにも重なったらいいなと思いながら過ごしていました」

小西桜子(以下:小西)「原作でも、二人が付き合うときってお互いが本当にきれいな両思いだったのかというと、そうではないんですよね。軽いノリだったり、流されちゃったりというある意味すごくリアルで生々しい付き合い方でもあって。私たちも今回が初めましてだったので、その距離感の中で無理なく自然にお互いを知っていくことが役ともリンクしていた気がします。現場でお芝居を重ねるうちにどんどん距離も縮まって、親密なシーンも含めて、いい影響を受けながらできたなと思っています」

鞘師里保×小西桜子

──初めて会ったときは、お互いにどんな印象を持ちましたか?

鞘師「原作の通り、私より身長が高いということは知っていましたが、どういうテンポ感でお話しされる方なのかはまだ分からなくて。でも会った瞬間に、そのテンポ感や、纏っている柔らかい春風のような雰囲気を感じて。お名前の通りかもしれないですが、『あ、みわだ』って直感的に思いました。ここから一緒に作品を作り上げられるんだというイメージが一気に広がりました」

小西「私も見た瞬間から、冴子っぽいなと感じました。冴子というキャラクターが実写化するのも、鞘師さんあってなんじゃないかと思うくらい、唯一無二の存在だなと思っていましたね。アーティストとしてもパフォーマーとしても多彩で、表現の幅がすごくある方なので、お芝居でどんな化学反応が生まれるのかなというワクワク感もあったのを覚えています」

「自分の中にある“みわ”を、私は認めていなかったのかも」(小西桜子)

鞘師里保×小西桜子

──改めて、ご自身が演じられる役についてお伺いできればと思います。鞘師さんから見た冴子はどんな女性ですか?

鞘師「自分の弱さを明るさでごまかしたり、心配させまいとする優しさから明るく振る舞っていたり。冴子はそういう内面を抱えているからこそ、あそこまでエネルギーを使って明るさを保つのは、本当はすごくしんどいはずで。私も、朝ごはんを食べるようにしたり、激しい音楽を聴いてから現場に向かったりと、あのテンションに持っていくまでにすごく労力が要りました。だからこそ彼女が本当に愛おしくなって。冴子という人間をまるごと愛して、全力で演じたいなと思いました」

──冴子と自分自身が似ていると思う部分は?

鞘師「冴子は、人に対して率直な思いを伝えるのが苦手になってしまった節があって。それをどうやって自分の中でフラットにしているかというと、やっぱり音楽なんですよね。ドラマのライブシーンでも、“ここが居場所だ”と言うかのように気持ちをぶつけていく描写があります。私自身も、重たい話題になればなるほど、思っていることを言葉で率直に届けるのが器用なタイプではなくて。だから、そんなときの救いになるのが、ライブで気持ちを歌声に乗せている瞬間なんです。それが自分の生きがいでもあるので、そういう意味で冴子と私は“同志”だなと思いました」

鞘師里保×小西桜子

──小西さんは、みわを最初にどう捉えましたか?

小西「最初は自分とはあまり似ていないと思っていました。みわって、不器用だったりいろいろなものに対する免疫がなくて、人生経験や恋愛も含めて経験が少ないからこその可愛らしさが魅力的で、守りたい、放って置けないと言う気持ちになってしまう。すごく心を振り回される魅力的な子だなと思いました。だからこそ、演じるのが難しくて。単純にそういう子として演じるのではなく、みわ本人は至って真面目に頑張っている部分をどう演じるか考えました」

──そこから、みわへの印象は変わっていきましたか?

小西「そうですね。演じていると、みわの中にある不器用さって、私の中にも本当はあったものだったと気づいたんです。どこか繕うようになったり、自分の弱さや恥ずかしい部分をなるべく隠せるようになってしまっている。でも、みわはそれがうまくできないのかなと。その上で、可愛らしくて魅力的な子なんですよね。だから、自分が恥ずかしいと思っていた部分もどこか少し肯定されたというか。“自分の中にあるみわ”を今までは認めていなかったけれど、本当は自分の中にも結構似ているところがあるんだなと気づけたことは、私にとってすごくいい出会いでした」

「感情表現が繊細な作品だからこそ、難しさもありました」(鞘師里保&小西桜子)

鞘師里保×小西桜子

──この作品では、冴子とみわの感情が本当に細やかに揺れ動きます。お芝居についてはどんな話をしましたか?

鞘師「限られた時間の中でも、できる限り二人の心情や、“今、どの視点ですれ違っているのか”ということは話しました。そこを話し合わないと、すれ違いが大きなすれ違いのままになってしまう部分もあったと思うので、みわがそのとき思っていること、冴子が思っていることを、お互いに意見を出し合いながら丁寧に作っていけたと思います。同じ言葉でも、監督が考えていた心情と、私たちが考えていた心情が少し違うこともあったので、監督と私たち二人でどこに落としどころを見つけるのかもしっかりお話しさせていただきました」

鞘師里保×小西桜子

──演じる上で、特に難しかったことは?

小西「みわは特に、本人は自覚していないのに欲深さや人間らしさが出てしまったり、どんどんほつれていくキャラクターでもあるので、そこが大変でしたね。監督や鞘師さんたちと相談しながら一緒に作っていきました。撮影も、親密な場面を撮っていたと思ったら喧嘩の場面、そのあとにまた“初めまして”くらいの関係性の場面を撮ることもあって。感情表現がすごく繊細な作品だからこその難しさもありましたね」

鞘師「撮影に入る前に気持ちを作っていないと、テンションや気持ちをキープするのが難しいシーンが多かったです。心の中のコップの水を、表面張力でずっとプルプルさせていなきゃいけないような感覚というか。そこから水をあふれさせなきゃいけない瞬間をコントロールするのがとても大変でした。お互いに気持ちを送り合いながらやらせてもらった部分でもありますね。感情の引き金を引かないようにしなきゃいけないのも大変で、段取りやテストの間も含めて苦労しました」

鞘師里保×小西桜子

──この作品での恋愛の描き方について、感じたことはありますか?

小西「人物を“良い・悪い”で決めつけていないんですよね。きれいな感情だけじゃないところも、否定せずにまっすぐ描かれていると感じました。たくさんのファンの方がいるのも納得だと思いましたし、私自身、今回初めて読ませていただいて本当に大好きな作品になりました」

鞘師「冴子は恋愛経験もあって、みわを引っ張ろうとしながら関係性を築いていこうとするけれど、愛情が深まっていくうちに嫉妬心が生まれてしまったりする。大人でいようとしているのに、幼い自分に直面してしまう。それって恋愛だけではなく、いろいろな場面で自分にも起こることだと思うんです。『あのときの自分も、こういう醜い気持ちがあったな』と思い出して苦しくなるような、すごく人間らしく描かれている作品だと思います。ドラマでもそういう部分をぜひ感じていただけたらうれしいです」

PROFILE

鞘師里保(さやし・りほ)
鞘師里保(さやし・りほ)

1998年5月28日生まれ、広島県出身。2011年、モーニング娘。9期メンバーとしてデビュー。グループ卒業後のニューヨーク留学を経て、ソロアーティストとして活動する傍ら、近年は俳優としても活躍している。2023年にはドラマ『めんつゆひとり飯』で連続ドラマ初主演を務め、映画『十一人の賊軍』(’2024)、舞台『デスノート THE MUSICAL』(’25)などにも出演。

小西桜子(こにし・さくらこ)
小西桜子(こにし・さくらこ)

1988年3月29日生まれ、埼玉県出身。2019年、ヒロインに抜擢された映画『初恋』がカンヌ国際映画祭に選出されて注目を浴びる。近年の出演作に、ドラマ『まどか 26歳、研修医やってます!』(’25)、『サレタ側の復讐〜同盟を結んだ妻たち〜』(’26)、『終点のあの子』(’26)など。今後は11月13日に映画『2126年、海の星をさがして』が公開予定。

ドラマ特区『付き合ってあげてもいいかな』
ドラマ特区『付き合ってあげてもいいかな』
©「付き合ってあげてもいいかな」製作委員会・MBS ©たみふる/小学館

大学生の犬塚みわ(小西桜子)は、恋愛に強い憧れを抱きながらも、好きになっても踏み出せず、これまで一度もうまくいった恋を経験したことがなかった。そんな中、明るく社交的な猿渡冴子(鞘師里保)と軽音サークルで出会う。性格も考え方も正反対の二人だが、お互いに“女性が好き”という共通点を知る。冴子の「付き合ってみない?」という何気ない一言をきっかけに、交際を始めることとなり──。勢いから始まった関係をきっかけに、自分自身と向き合っていく等身大のガールズラブストーリー。

MBSドラマ特区枠にて、毎週木曜深夜24:59〜放送中

〈衣装、問い合わせ先〉
鞘師里保分:TANAKA(store@tanakanytyo.com)、PLUIE(PLUIE Tokyo 03・6450・5777)
小西桜子分:ドレス¥74800 パンツ¥39600 OpéraSPORT ネックレス¥181500、リング¥110000、¥374000/YOSTER(EMME CO., Ltd 03・6419・7712) リング¥34300/MAISON D’PULSE(MAISON D’PULSE カスタマーサービス hello@maisondpulse.com) サンダル¥29700/YELLO(03・6804・8415)

撮影/楠本隆貴 ヘアメイク/本岡明浩(鞘師里保)、三宅茜(小西桜子) スタイリスト/藤本大輔(tas/鞘師里保)、小笠原ヨシエ(小西桜子) 構成・取材・文/高橋夏実(Spacy72)

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