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魂が掴まれる美しさ! 「ジャパンクタニ」として世界でも絶賛される九谷焼の“その先”の姿とは? 120年続く九谷焼窯元・錦山窯の展覧会がAXISギャラリーで開催

  • 2026.10.8
企画展「旦 ASHITA」- YOSHITA Yukio Exhibition -。

継承と更新を繰り返し、時代に呼応する焼きものを生み出してきた九谷焼の窯元・錦山窯。開窯120周年という節目に、現当主の四代・吉田幸央氏のこれまでの軌跡と現在地、そして錦山窯の「その先の姿」を提示する企画展“「旦 ASHITA」- YOSHITA Yukio Exhibition -” が、2026年10月9日(金)から東京・六本木のAXIS ギャラリーで開催されます。


120年の金彩技術を現代へひらく

写真は初代・吉田庄作氏の作品。

九谷焼は、17世紀に加賀藩の御用窯として発展した焼きもので、緑・黄・青・紫・赤の五彩を駆使した色絵や金彩をあしらった金襴手など、繊細で煌びやかな絵付を特徴としています。その芸術性の高さから、明治時代には「ジャパンクタニ」と称され、世界中で多大な人気を博しました。

金地を花紋様で埋めつくす「花詰」という技法を用いた作品。

錦山窯は、九谷焼の技法を受け継ぎ、1906(明治 39)年に、石川県小松市高堂町にて開窯された、九谷焼上絵付を専業とする窯元です。明治以降の九谷焼の主流となった画風「彩色金襴手」を得意とし、代々、金を巧みに用いた絵付を特徴としてきました。三代・吉田美統(みのり)氏は、金箔で文様を施し釉薬を重ねて焼き上げる「釉裏金彩(ゆうりきんさい)」の技法を極め、人間国宝に認定されています。

三代 吉田美統氏の作品。「釉裏金彩」は、陶芸技法のなかでもとりわけ手間と熟練を要する至高の技のひとつ。金箔の上に釉薬をかけることで、金がまろやかで気品ある表情に。

そして現当主の四代・吉田幸央氏は、伝統の技法に深く根ざしながら、現代の美意識と異分野の知見を融合させ、金彩の次なる地平を切り拓いています。

四代⽬当主・𠮷⽥幸央⽒が率いる錦⼭窯の茶器シリーズの九谷茶譚。写真左から中国茶器、日本茶器。積み重ねるからこそ出来上がる美しい造形が空間を鮮やかに彩り、鑑賞するだけでなく、実際に使うことで極上のティータイムを楽しめる逸品。

今回の展覧会は、「変わり続けるために守り、変わらないでいるために変わる。」というステートメントを掲げ、錦山窯が120年にわたり培ってきた、継承と更新への意思を改めて発表するとともに、吉田幸央氏のこれまでと現在地を紐解き、さらに“伝統工芸の次なる姿”を見通す内容となっています。

伝統技法と現代のライフスタイルを鮮やかにつなぐ「華鳥夢譚 - Kachoumutan」シリーズ

華鳥夢譚 孔雀 KUJYAKU。錦山窯の古作の中に多く登場する孔雀の羽の柄を金泥を用いた伝統技法で表現。一筆一筆、職人の手仕事で描かれる金の線からは、途方もない修練の形跡と、制作に向き合う職人の息づかいが感じられる。現代の暮らしに華やぎと格を添えてくれる名作。

展覧会では、錦⼭窯を代表する、伝統意匠を現代の色彩感覚で再構成した「華鳥夢譚 - Kachoumutan」シリーズが展示されます。

グラスや鉢、カップなどを塔のように積み上げた、意表をつく造形と目がくらむほどの美しさに圧倒されるこの作品は、好きなフォルムになるようにパーツを入れ替えて飾ったり、またはひとつずつ食器として使用したりと、使い方は自分次第。華美な伝統工芸品は、ともすれば指一本触れずに、大事に飾っておくようなイメージがありますが、こちらは自分の暮らしにあわせてカスタマイズできる仕様になっている点がなんとも魅力的。

錦山窯に受け継がれる伝統技法や意匠と、現代のライフスタイルを鮮やかにつなぐアートピースになっています。

華鳥夢譚II。これまでの華鳥夢譚シリーズに、ポットや小皿、球形の陶筥などのアイテムが追加された。自由に組み替えることで、世界にたったひとつのアートピースを自らの手で作ることができる。
華鳥夢譚III。新作の蓋付カップに描かれる仙人のような謎の人物は、錦山窯に代々伝わる絵柄なのだそう。家に飾ることで、暮らしに華やかさをもたらしてくれるのはもちろん、目に入る度に、鍛錬によってしか到達できない境地があることを教えてもらえる。

テクノロジーと熟練の手技がコラボレーション

企画展「旦 ASHITA」- YOSHITA Yukio Exhibition -。

「伝統工芸という言葉の枠を軽々と飛び越え、これからも続いていくための表現の手助けとして、新しいものを積極的に取り入れることに躊躇しない」。

幸央氏自身がこう語るように、錦山窯は新たな挑戦を続けています。そのひとつが、今回の展覧会に展示される、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)のアレクシー・アンドレ研究員との協業から生まれたシステム「Tomonami」を活用した新作です。

「Tomonami」は、創造性を「新しいアイデアを考えつく力」と「それらを評価できる力」の二要素と捉え、その醸成をテクノロジーで加速させることを目指して開発されたシステムです。テクノロジーが切り拓く表現と、熟練の手技による身体表現。対極にあるこれらを錦山窯という存在がつなぐとき、そこにはどんな世界が立ち上るのでしょうか? 工芸の次なる地平が垣間見れる話題作になりそうです。

さらに、同展覧会では、音楽家であり、詩人、タギングアーティストとしても活動する山崎円城氏とのコラボレーション作品も発表されます。

山崎円城氏 制作風景。
山崎円城氏とのコラボレーション作品。
山崎円城氏とのコラボレーション作品。

両者の交流は、2025年10月に錦山窯のギャラリー「嘸旦(むたん)」で行われたライブセッションから始まりました。今回の120周年記念企画では、山崎氏が約半年間に5回、錦山窯に滞在して制作。従来の「書く/描く」というプロセスに加え、素地の上に言葉を彫り込む、ペトログリフのような技法も取り入れられました。

テクノロジーや異業種アーティストとのコラボレーション……新しい世界との共鳴が、既成概念にとらわれない新時代の工芸の在り方を提示します。

デザインギャラリーで工芸を問う

会場となる「AXIS ギャラリー」は、1981年の誕生以来、国内外のデザインの発信拠点として時代に先駆けた活動を展開してきました。工芸作品を、異なるジャンルとして区別される「デザイン」のギャラリーで展示する意義とは何か。その問いの先に、錦山窯の「今」のものづくりの輪郭がくっきりと浮かび上がってくるはずです。

錦山窯が120年にわたり培ってきた伝統と、未来へ向かう革新。その原点とこれからの姿が交差する場所へ、足を運んでみてはいかがでしょうか? 10月10日(土)には、吉田幸央氏とアレクシー・アンドレ氏によるトークセッションや、山崎円城氏によるサウンドインスタレーションも予定されています。

「旦 ASHITA」- YOSHITA Yukio Exhibition -

開催期間 2026年10月9日(金)~13日(火)
開催地 AXIS ギャラリー(東京都港区六本木5-17-1 アクシスビル4F)
開催時間 11:00~18:00(最終日は17:00まで)
https://kinzangama.com/ashita/

文=CREA編集部

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