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【60代二拠点生活】ハワイでは平気なのに東京だと気になることとは?ふたつの大好きな場所を行き来する暮らし【リサ・ステッグマイヤーの二拠点生活Diary】

  • 2026.10.8

家族でハワイに移住したリサさんの、ハワイと東京の二拠点生活の日常をお届けするエッセイ。
今月は「日本で感じたこと」についてのお話です。

楽しみにしていた浜田省吾さんのコンサートへ!

皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。私はというと骨折から7週間が経ち、ようやくあのゴツゴツした特殊な靴を卒業し、スニーカーが履けるようになりました。足を庇って歩いていたせいか、歩き方がぎこちなくなり、腰や反対側の足まで痛みを感じることもありましたが、おかげさまでようやく怪我の終わりが見えてきたような気がしています。 先生からは「日常生活は6週間ほどで楽になるけれど、完全に治るには3か月くらいかかります」と言われていました。毎週カレンダーを眺めながら、「今週で3週間」「やっと5週間」と、回復する日を指折り数えていたものです。 そんな怪我の最中、この夏も日本で過ごしました。歩くことは少し不自由でしたが、大好きな水泳だけは続けることができました。先生から「プルブイを使ってキックをしなければ泳いでも大丈夫」と言われ、足に負担をかけないよう上半身を中心に泳ぐ毎日。ハワイでも日本でもプールへ通い、泳いでいる時間だけは怪我を忘れることができました。好きなことを諦めずに続けられたことは私にとってなによりの励みでした。 >>ハワイで骨折したときのお話し

レントゲンの結果は第5中足骨骨折でした。幸い手術やギプスは必要ありませんでしたが、しばらくは特殊な靴を履き、足をできるだけ高くして過ごすようにと言われました。そこで私が真っ先に聞いたのは、「泳いでも大丈夫ですか?」ということでした。普通なら、いつごろ治るのか、いつ歩けるようになるのかを気にするところです。でも、私の頭に浮かんだのは泳げるかどうかでした。我ながら少し呆れますが、それだけ水泳が生活の一部になっているのだと思います。 先生からは「キックはしないでくださいね」と言われました。ならばと考えたのが、足を使わずに泳ぐ方法です。プルブイを脚に挟み、キックをしない。壁も蹴らない。ターンも慎重に。実は先生には内緒ですが、骨折して3日後にはもうプールへ行ってしまいました。もちろん足は使いません。それでも水の中に入れたことは、私にとって大きな救いでした。 今回、日本でいちばん楽しみにしていたのは浜田省吾さんのコンサートです。これまで何度もタイミングが合わず、ようやく念願が叶いました。もちろん歌は素晴らしかったのですが、私が毎回コンサートで楽しみにしているもうひとつはトークです。浜田さんらしさや考え方に触れられるようで、毎回たくさんの気づきをいただきます。 そのなかで特に心に残ったのが、「年を重ねたら気をつけたい3つの話」として紹介されていた、「自慢話、苦労話、昔話」という言葉でした。「なるほどなぁ」。年齢を重ねるほど、自分のことばかり話すのではなく、相手の話に耳を傾け、これからの話ができる人でありたい。私はそんなふうに受け取りました。その言葉は、日本で過ごした数週間ずっと心のどこかに残っていました。

暮らす場所が変わるだけで、こんなにも感じ方が違うものなのだと、不思議な気持ちに……

さて、今回の日本での生活で活躍するはずだったのが、膝用スクーターです。ハワイでは、このスクーターが本当に大活躍でした。移動は車が中心ですが、車を降りてからが意外と長いのです。スーパーやショッピングモールは広く、目的のお店まで歩くことも少なくありません。プールへ行くときも、駐車場から入り口まで結構距離があります。骨折した私にとって、このスクーターはなくてはならない存在でした。「東京でもきっと役に立つ」。そう思い、日本でも同じようなスクーターを注文しました。 ところが組み立てながら、東京で使う場面を想像すると考えが少しずつ変わってきました。電車ではエレベーターを探さなければいけない。混雑した車内では邪魔になってしまうかもしれない。レストランやカフェでも置き場所に困りそう……。さらに、連日のように観光客のマナーや迷惑行為に関するニュースを目にしていたこともあり、「私も観光客だと思われるかな」「迷惑に思われないかな」と、考え始めるとまわりの目が気になってしまいました。ハワイではなんとも思わなかったことなのに、東京ではそんなことを気にしている自分がいました。 同じ私なのに、暮らす場所が変わるだけで、こんなにも感じ方が違うものなのだと、不思議な気持ちに……。そんなことを考えながらハンドル部分のネジを締めていたら、そのネジがポキッ。「これは使わないほうがいいというサインかな」。そう勝手に思い込み、結局スクーターは諦め、自分の足でゆっくり歩くことにしました。 娘につき合って原宿や表参道へ出かけた日もありました。竹下通りは世界中からたくさんの人が訪れ、「ここはどこ?」と思ってしまうほどの賑わい。日本人より海外からの観光客のほうが多いのではと思うくらいで、娘は目を輝かせて歩いているのに、私は「暑い」「人が多い」「歩きづらい」と、気づけば愚痴ばかり(笑)。お昼ご飯を食べようと思っても、どこも長蛇の列。少し裏道へ入ってみても、やっぱり人、人、人。骨折中の私には、その人混みを歩くだけでもひと苦労でした。結局「場所を変えよう!」とタクシーに乗り、少し離れた所へ移動。ようやく落ち着いて食事を楽しむことができました。 そうそう、「日本は何でも安い」とよく耳にしますが、今回ひとつだけ「東京のほうが高い!」と思ったものがあります。それはコインパーキングです。ハワイにもホテルやワイキキ周辺など駐車料金が高い場所はありますが、買い物や食事をするとバリデーションで割引や無料になることも少なくありません。 ところが青山で美容院へ行ったときのこと。髪を切っている約2時間の間にコインパーキング代が約4,000円! 思わず「えっ!?」と料金表示を見直してしまいました。東京では停める場所によって料金が大きく違うので、事前に料金表示を確認しないと思わぬ出費になってしまいます。これも二拠点生活をしているからこその発見でした。

その場所だからこそ味わえる毎日を大切に

日本で過ごす最後の日にはお気に入りの老舗のお菓子屋さんで、大好きなカステラを買うのが恒例です。ハワイへ持ち帰り、その味を楽しみながら、日本で過ごした時間を思い返すのも、私の小さな楽しみのひとつです。東京にいると、ハワイの青い海や、ゆっくり流れる時間が恋しくなります。反対にハワイにいると、日本の便利さや四季折々のおいしい食べ物、人の細やかな気遣いが恋しくなる。どちらにも魅力があり、どちらにも少しだけ不便なところがある。でも、その両方を知っているからこそ、それぞれのよさをより深く感じられるのだと思います。 そして、コンサートで耳にした「自慢話、苦労話、昔話」という言葉を思い出しながら、私はもうひとつつけ加えたくなりました。それは、「愚痴」。今回の日本では、「暑い」「混んでる」「歩きづらい」と、ずいぶん愚痴をこぼしてしまいました。 でも少し見方を変えれば、それも東京という街の活気であり、魅力のひとつだったのかもしれません。いまは、そのカステラを味わいながら、この原稿を書いています。きっと数週間もすれば、また日本が恋しくなるのでしょう。東京にいるとハワイが恋しくなり、ハワイにいると日本が恋しくなる。 結局、ないものねだりなのかもしれません。ないものねだりをするのではなく、その場所だからこそ味わえる毎日を大切にしながら、これからもハワイと日本、ふたつの大好きな場所を行き来する暮らしを楽しんでいきたいと思います。

文/リサ・ステッグマイヤー ※素敵なあの人2026年10月号「東京⇔ハワイ リサ・ステッグマイヤーの二拠点生活Diary vol.07」より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事を書いた人 リサ・ステッグマイヤーさん

1971年、米国生まれ。13歳で来日し、知的な美しさとバイリンガルとしての見識を活かしてタレント、司会など幅広く活躍する。趣味は水泳、トライアスロン、芸能界きっての器好きでもある。

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