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「とんでもないことになったぞ」家賃5万円の空室で絶句…賃貸管理担当者が扉の奥で見た“ゾッとする光景”

  • 2026.10.27
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。賃貸の現場に25年携わっている宅建士のひろです。

「空室は、締め切っておけば大丈夫」

そう考えている大家さんや空き家をお持ちの方は、少なくないのではないでしょうか。窓も扉も閉まっていて、誰も出入りしない部屋。外から何かが入り込む余地などなさそうに思えます。

しかし実際には、締め切った部屋だからこそ起きるトラブルがあります。今回は空室になって3か月のアパートで、管理担当だった私が目にした光景をお伝えします。

いつもどおりの写真撮影のはずが

私が賃貸管理会社で勤務していたころの話です。物件は築20年、4階建ての2階にある2LDK。家賃は5万円ほどの何の変哲もないアパートでした。

空室になって3か月ほどたったある日のことです。その程度の空室はほかにもたくさんあります。特に気にも留めず、同僚と二人で入居者を募集するための写真を撮りに向かいました。

玄関を開けると、黒い例のあいつ(ゴキブリ)が2〜3匹、ひっくり返って死んでいました。

空室では、これくらいはよくあることです。私たちはそのまま中へ進み、リビングの扉を開けました。そこには、何十匹もの生きた"黒いあいつ"が、床を走り回っていました。

「これは、とんでもないことになったぞ」

同僚と目を合わせると、二人とも勢いよく扉を閉めて外へ飛び出しました。

原因は、キッチンの排水口だった

落ち着いてから確かめると、虫たちはキッチンの流しの排水口からあふれ出すように出てきていました。小さな個体ばかりでどれも弱っておらず、元気いっぱいの状態です。

キッチンの流しの下には、「S字トラップ(排水管のS字に曲がった部分)」があります。

このS字の部分に水がたまることで、下水の臭いや虫が上がってくるのを防いでいます。この水は「封水(ふうすい)」と呼ばれます。封水は時間がたつと少しずつ蒸発して減っていきます。

気温が高いほど蒸発が早く、早ければ数週間で減り始めることもあるといわれます。3か月も水を流さなければ、季節にかかわらずこの封水は蒸発してなくなってしまいます。

栓の役目を果たす水がなくなり、下水管から虫が上がってこられる状態になっていたのです。

しかし、排水口にはごみを受ける「かご」と、その上にはめる「ふた」が付いていることが多く、しっかり排水口をふさいでいます。封水がなくなってもこれがきちんとはまっていれば、大きな虫は物理的にシャットアウトできます。

ところが、この部屋では上のふたがなくなっていて、いちばん下のかごもなんらかの原因でずれていました。なぜそうなっていたのかははっきりしません。

前の入居者の退去時か、リフォームやクリーニングのときに、ふたが誤って捨てられたか、持ち去られた可能性があります。つまり、この時点で下水と部屋はほとんどつながった状態だったのです。

そこへ上がってきた虫が卵を持っていて、締め切った部屋の中で一気にかえった。水がなく、ふたもなく、かごもずれている、"トリプルパンチ"の状態だったのだと思います。

リフォームもクリーニングも、すでに終わっていた部屋でした。二人で覚悟を決め、殺虫スプレーを持ち込み、汗だくになりながら駆除しました。殺虫剤は丸1本を使い切り、そのあとの掃き掃除と拭き掃除も含めると、終わるまでに3時間ほどかかりました。

管理する側の見落としでもあったので、この件は大家さんに丁重に謝罪をし、社内で対処しました。排水口のかごとふたをきちんと付けてからは、虫は再発していません。

締め切っていても、虫は入ってくる

この出来事以来、私は空室に行くたびに必ず水を流すようにしています。写真撮影や簡易清掃のついでに、流し、洗面台、浴室、トイレに水を流しておくだけで、封水は保たれます。

あわせて確認してほしいことがあります。

  • キッチンの排水口の「ふた」と「かご」が、そろっていて、ずれずにきちんとはまっているか。なければ用意してきちんと付けておく
  • 排水口をふさぐ「止水フタ(排水栓)」があれば、完全にふさげるので、最悪の事態は防ぎやすくなる(ない場合は、食品用ラップをふた代わりにする方法もある)
  • 洗面台や浴槽も同じように、栓(排水口をふさぐもの)をはめておく

どれも小さな手間ですが、排水口から虫が入ってくるのをかなり防いでくれます。

なお、S字トラップのないまっすぐな排水管(ストレート管)の物件では、排水口に「わん」と呼ばれるお椀型の部品が付いていて、これで水をためて臭いや虫を防いでいること(わんトラップ)もあります。

その場合は、わんが外れたり、なくなったりしていないかあわせて確認してください。

空き家も、知らないうちに同じことが起きている

最近は空き家の問題も多くなりました。もう長く訪ねていない家や、そのままにするしかない家も多いと思います。そうした家でも、知らないうちに同じことが起きている可能性があります。

様子を見に行ったときで構いません。水道を止めているならそのために開栓する必要もありません。ポリタンクやバケツに水をくんで持っていき、同じように流すだけで十分に効果が見込めます。目安としては、月に1回ほど様子を見に行くついでに水を流せると理想的です。

放っておく期間が長くなりそうなら、虫が出てきそうな排水口には、ふたや栓で対策をしておいてください。

これだけでも、久しぶりに扉を開けた瞬間に「これは、とんでもないことになったぞ」と立ちすくむことは、ぐっと減るはずです。

参考:
排水トラップのしくみ(クリエイト株式会社)
長期不在・空き家の封水切れ対策と排水管理(森工業株式会社)


ライター:ひろ宅建士ライター

賃貸仲介で15年、独立後は賃貸管理会社を経営して10年。通算25年にわたり、不動産の現場に携わる宅建士。仲介時代は店舗責任者として、部門全国1位の表彰を受けた。管理会社の経営者として、入居者対応、退去立ち会い、原状回復、空室・空き家の管理など、大家さんと入居者の双方の悩みに向き合ってきた。現場で見てきた「正論だけでは割り切れない場面」をふまえ、わかりやすく、現場に根ざした不動産情報を届けることがモットー。


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