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【医師解説】更年期治療が大きく変わった! HRT(ホルモン補充療法)ガイドライン改訂で知っておきたい最新ケア

  • 2026.10.5

なんだか体が重い、疲れが取れない、理由もなくイライラしてしまう……。「これって更年期?」と思いながらも、なんとなく我慢を重ねていませんか? 人生の大きなステージシフト期である更年期。実は今、医療の現場では「ホルモン補充療法(HRT)」のガイドラインが大きく刷新され、治療の選択肢が劇的に広がっています! 産婦人科医の高尾美穂先生にお伺いした、40代から知っておくべき最新の治療事情と、更年期を前向きに乗り切るレスキューテクニックを詳しくお届けします。


科学的根拠で支える更年期治療「HRTガイドライン」とは?

日本女性医学学会と日本産科婦人科学会が中心となって作成した、HRTを安全かつ効果的に行うための指針です。治療の対象となる人や薬の投与方法、リスク管理などについて、積み重ねられた科学的根拠に基づいてまとめられています。いわば、医師が個人の経験や考えだけに頼らず、一人ひとりの症状や体の状態に合った治療を判断するための「フローチャート」です。

【2025年最新】新しいHRTガイドラインで更年期治療はどう変わった?

2025年の改訂は、HRTをより適切に行うとともに、更年期への意識や関心の高まりに応えるための見直しです。2017年版をベースに、GSM(閉経関連尿路性器症候群)やサルコペニア(筋肉量や筋力などが低下する状態)といった課題が新たに盛り込まれました。

大きなポイントは、治療期間と年齢に関する記述の変更。乳がんリスクを踏まえて「5年未満」が目安とされていた投与期間の表記が削除され、60歳以上への投与も「慎重投与」から「検討可能」へと変わりました。年齢や治療期間だけで一律に判断するのではなく、一人ひとりの症状や健康状態、リスクを踏まえて治療を検討する考え方が示されています。

約8割が無意識!? 40代が「漠然とした不調」を我慢している

40代の間でも、HRTに関する知識は人によって大きな差があると思います。積極的に活用すべきという人、一方で何となく怖いからと留まっている人も。
ただこんなふうに二極化しているのは意識の高い層の中だけで、そもそもアンテナが立っていない、無意識、無関心な人が約8割も存在します。
実際は、多くの女性が心身の不調を我慢しているというのが現状です。どんな情報につながるかによって行動が変わり、未来が変わる。人生のクオリティが変わることをまずは知ってほしいと思います。

疲れが取れない、イライラする。その「なんとなく不調」もHRTで改善する可能性が

ホットフラッシュや関節痛のようなわかりやすい症状がある人は受診という選択肢につながりやすいと思うのですが、疲れが取れない、体が重い、イライラするなど「何かが違う」「うまくいかない」といった、更年期症状と言い切れない不調は一歩が踏み出せないことが多いよう。
でもじつは、そのような人たちがHRTを始めると「今まで、何だったの?」と思うほどに改善するケースが結構あるんです。女性ホルモン(エストロゲン)が大きく揺らいで減少していく、その変動自体がとてもつらいこと。女性ホルモンを少し補充することで揺らぎのアップダウンの幅が小さくなり、なだらかな下り坂にできる。ですから、40代半ば以降で、生理周期が不規則になったら、HRTを視野に病院を訪れてほしいと思います。

更年期の不調から、肌や骨の健康まで。HRTで考える閉経後の体づくり

HRTは、更年期の不調緩和はもちろん、肌に関して、コラーゲン生成促進によるエイジングケア効果が得られることでも知られています。骨に関しては、「先のこと」と骨密度が下がったり、骨折したりするまで無頓着な人が多いのですが、そのリスクも軽減することが示されています。つまり、更年期を乗り切るだけでなく、閉経後の健康を維持するためにも、HRTはとても有効なのです。
閉経を挟む約10年の更年期。人生100年といわれる時代におけるその後。この時間を、漠然とした不調や不安を我慢しながら過ごすのは、もったいないと思うんです。私たちが元気だとまわりも幸せ。日々、可能性は広がっています。医療で「できることがある」と知って、ぜひ、正しい情報にアクセスしてください。

【教えてくれたのは】

産婦人科医 高尾美穂先生

診療を最優先にしつつ講演会や書籍出版、メディア出演など幅広く活躍。更年期や女性のライフステージに応じた健康サポートに注力。


取材・文=松本千登世 イラスト=二階堂ちはる ※GLOW2026年11月号より

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