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「カレワラ」が90年愛される理由。フィンランドに受け継がれるジュエリーの物語

  • 2026.10.2
Hearst Owned

2027年に創業90周年を迎えるフィンランド発のジュエリーブランド「カレワラ」。2026年9月から始まったアニバーサリーイヤーの皮切りとして、ヘルシンキで開催された90周年記念イベントをはじめ、今回のアニバーサリーコレクション、自社工房、フラッグシップストアを取材。90年にわたり受け継がれてきたブランド哲学と、現地で触れたフィンランドのものづくりから、「カレワラ」の今に迫る。

Courtesy of Kalevala

始まりの地「国立博物館」でたどる、90年の物語

アニバーサリーイヤーの幕開けを飾ったのは、フィンランド国立博物館で開催された90周年記念イベント。100年以上の歴史で最大規模となる改修が進む同館は、2027年春のリニューアルオープンを前に、この日「カレワラ」のために特別に開放された。

館内では、アニバーサリーコレクションのお披露目に加え、創業期から現在まで「カレワラ」の歴史を彩ってきたジュエリーをまとったモデルたちによるランウェイも。90年にわたるブランドの歩みを、ジュエリーそのものを通して振り返る演出となった。

フィンランド国立博物館は、「カレワラ」誕生のきっかけとなった場所でもある。1937年、作家で文化人のエルサ・ヘポラウタを中心とする女性たちが、フィンランドの女性をたたえる銅像の建立資金を集めるため、同館のコレクションから選ばれた40点の古代装身具をもとに、最初の「カレワラ」のジュエリーを製作。当時のファーストレディが主催するイベントで披露され、ブランドの歴史が始まった。

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「カレワラ」90周年記念イベントの模様をチェック!

歴史を讃え、アーカイブを今のジュエリーへ

90周年という節目に「カレワラ」がフォーカスしたのが、90年にわたり蓄積されてきたアーカイブ。

パウラ・ハイヴァオヤによるオリジナルデザイン。 Hearst Owned
ウラ・ハイヴァオヤによるオリジナルデザインをもとに再登場する“ヒンメリ”ネックレス。名前はフィンランドの伝統的なわら細工「ヒンメリ」に由来。 Courtesy of Kalevala

そのひとつが、1963年に「カレワラ」初の女性チーフデザイナーとなったパウラ・ハイヴァオヤの作品。フィンランドの伝統的なわら細工「ヒンメリ」に着想した“ヒンメリ”ネックレスが、当時のオリジナルデザインをもとに再登場するほか、彼女が1960年代に手がけたアヴァンギャルドなシルバーのヘッドバンドをもとにした新作“ケハ”もラインナップする。

1960年代にパウラ・ハイヴァオヤが手がけたシルバーのヘッドバンド。 Hearst Owned
当時のヘッドバンドから再解釈された新作“ケハ”。ヘッドバンドだけではなくイヤカフやリングなども展開。 Courtesy of Kalevala

さらに、熊モチーフの“カレヴァンカルフ”にも再びフォーカス。フィンランドで古くから敬われ、神話にも登場する熊は、「カレワラ」にとってなじみ深いモチーフのひとつ。ブランド名もフィンランドの民族叙事詩『カレワラ』に由来している。

熊モチーフの“カレヴァンカルフ”。チョーカーがアクセントになってかわいいペンダントが個人的にお気に入り。 Courtesy of Kalevala / Hearst Owned

かつて生まれたデザインやモチーフを、今の感覚で身につけられるジュエリーへ。90周年を迎える「カレワラ」の新作にも、長い歴史のなかで培われてきたデザインが生かされている。

ゴールドスミス(金細工職人)の作業スペース。それぞれの個性がのぞく、思い思いにカスタマイズされた作業デスクもすてき。 Hearst Owned

「カレワラ」から見えてきた、フィンランドのものづくり

「カレワラ」のジュエリーは、すべてヘルシンキの自社工房で作られている。CADや3Dプリンターなどの現代技術を取り入れながら、成形や鋳造(ちゅうぞう)、磨き、組み立てなどいくつもの工程を職人たちが担う。ひとつのジュエリーが完成するまでには、少なくとも10人の手が関わるという。

工房では、1960〜70年代のプレス機をはじめ、年代ものの機械が今なお現役。 Hearst Owned

デザインに目を向けると、異なるジャンルを軽やかに横断する発想もおもしろい。例えば、ファッションデザイナーのラウラ・ユスリンと建築家リッリ・マウヌラによるデュオが手がけた人気シリーズ“ヴェトヴォイマ”は、建築や現代彫刻、ファッションから着想。幾何学的なパーツを組み合わせ、身につけ方によって表情を変えられる、彫刻のようなジュエリーだ。

ファッションデザイナーのラウラ・ユスリンと建築家リッリ・マウヌラによるデュオが手がける“ヴェトヴォイマ”。パーツの組み合わせやレイヤードによって、さまざまなスタイルを楽しめる。 Hearst Owned

そしてフィンランドで過ごすなかで、もうひとつ印象に残ったのが、自然と暮らしの距離の近さ。エスポーの群島を望む彫刻家・ジュエリーアーティスト、ビョルン・ヴェックストロムの自邸兼スタジオ「ヴィラ・ヴェックストロム」や、田園風景に囲まれた「KAINUU」のサマーハウスを訪れると、自然が創作や日々の暮らしと切り離されていないことに気づく。自然と寄り添いながら、デザインによって暮らしを豊かにする。そんなフィンランドの感覚は、「カレワラ」のジュエリーにもどこか通じているように感じた。

エスポーの群島を望む「ヴィラ・ヴェックストロム」。彫刻家・ジュエリーアーティストのビョルン・ヴェックストロムが長年創作を続けてきた自邸兼スタジオ。 Hearst Owned

ヘルシンキの街でも、ファッション、家具、食器、アートの境界はどこかゆるやか。ヴィンテージやセカンドハンドのショップでは、洋服やジュエリーとともに食器やインテリアが並び、年代の異なるものも今の暮らしに自然に溶け込んでいる。

上 ヴィンテージショップ「<a href="https://www.instagram.com/mekkomania/" target="_blank" rel="nofollow" data-vars-ga-outbound-link="https://www.instagram.com/mekkomania/" data-vars-ga-ux-element="Hyperlink" data-vars-ga-call-to-action="Mekkomania">Mekkomania</a>」 下 同じくヴィンテージショップ「<a href="https://www.instagram.com/k.a.s.i.n.o/" target="_blank" rel="nofollow" data-vars-ga-outbound-link="https://www.instagram.com/k.a.s.i.n.o/" data-vars-ga-ux-element="Hyperlink" data-vars-ga-call-to-action="Kasino Vintage & Second Hand">Kasino Vintage & Second Hand</a>」。 Hearst Owned

ヘルシンキで出合った“カレワラ プリラブド”

90年の歴史を持つ「カレワラ」は、今もフィンランドの暮らしに身近な存在だ。ヘルシンキ中心部のフラッグシップストアは、老舗百貨店「ストックマン」をはじめ、「マリメッコ」や「アルテック」などフィンランドを代表するブランドが集まる一等地のエリアに位置する。

ヘルシンキ中心部に位置する「カレワラ」のフラッグシップストア。店内にはガラスケースがなく、ジュエリーを直接手に取って楽しめる。 Hearst Owned

今回の取材で、特に心を奪われたのがこの“プリラブド”だ。使われなくなった「カレワラ」のジュエリーを買い取り、自社工房でメンテナンスを施して再び販売する取り組み。「ひとりの持ち主から次の持ち主へ、一世代から次の世代へ」。長く愛用されたジュエリーに再び手をかけ、次へとつないでいくという考え方は、工房で聞いたこの言葉とも重なる。

“カレワラ プリラブド”。その時代にしかないユニークなデザインに惹かれ、私もリングを2点ゲットしてしまいました。 Hearst Owned

アニバーサリーコレクションでは、かつてのデザインが今のジュエリーへ。“プリラブド”では、長く愛用されたジュエリーが再び誰かの手へ。90年の歴史のなかで生まれたものが、時代や持ち主を越えて今も身につけられている。2027年に迎える90周年、その先にどんなジュエリーが加わっていくのかも楽しみだ。

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