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デムナの「グッチ」が本格始動。“反骨心を持ったブルジョワジー”が集う新しいストアへ【2027春夏コレクション】

  • 2026.10.2
Getty Images

「新しい『グッチ』のストアへようこそ」。“The Store Show”と名付けられた今季のショーのバックステージで、デムナはジャーナリストにそう話し始めた。「ストアを舞台にした今日のショーが、本当の意味での私の『グッチ』の大きなスタート地点です」。とはいえ、ショーを本物のストアで行ったわけではなく、普段は見本市などが行われる巨大なイベント会場を、「グッチ」のストアさながらに仕立てたセット。大理石を思わせる壁や巨大なドアフレーム、ベルベットのソファ、バッグやシューズが並ぶショーケースまで、その完成度は一瞬、本物の新店舗と錯覚してしまうほど。ちなみにバックステージも、本物のストックルームのようにグレーの棚に洋服や靴が整然と並べられていた。

Courtesy of Gucci

「『グッチ』は本当にいろいろな側面を持っている。ここに来たとき、僕は何か抽象的なものに引かれていたけれど、それが何なのか自分でも分かっていなかった」とデムナ。その答えを探すためのリサーチが、映像で発表したデビューコレクションの“La Famiglia”から、身体とセクシュアリティにフォーカスした2026-27年秋冬シーズン、そしてニューヨークで発表したワードローブへと続く、過去一年の試みだった。

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「その過程で気づいたのが、『グッチ』がブルジョワジーの美学に根差しているということ。それは、私のコンフォートゾーンの外にあるので、少し怖くもありました。なぜなら私の生まれ育ちから、ブルジョワジーの世界は限りなく遠い。でもコンフォートゾーンから抜け出し、『グッチ』らしいひねりを加えた私らしいブルジョワジーを表現したかった。『グッチ』というブランドは、自分でも知らなかった自分自身の一面を発見させてくれる。それが今、私自身にも起きているのです」

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そうして彼が今季の核として掲げたのが、"反骨心を持ったブルジョワジー“。品格を漂わせながらも、どこか反抗的。由緒あるコードを熟知しながら、あえて崩し、自分流に着こなしてしまう。そんな気品と反骨精神が共存する“グッチの住人”が次々とランウェイに現れた。クロップドパンツに素足でローファーを履いた、90年代を思わせる伊達男。乗馬ジャケットとブーツをまとった貴族夫人。端正なトレンチコートを颯爽と着こなすミラネーゼのマダム。襟を立てたラグビーシャツにタータンのキルト、ボンバージャケットを重ねた名門私立大学に通う反抗的な令嬢。

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そしてショーが進むにつれ、身体に沿うジャージードレスをまとったグラマーな女性たちへ。実業家か、家事とは無縁な社長夫人か、朝目覚めの一杯にシャンパンを飲んでいそうなソーシャライトか。ルックが変わるたびに異なるキャラクターが浮かび上がり、こちらもつい、その人物の暮らしぶりまで勝手に想像してしまっていた。

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今回はこれまでのようにメンズとウィメンズを交互に見せるのではなく、前半をメンズ、後半をウィメンズと明確に分けて構成。「自分自身にとっても、メンズだけ、ウィメンズだけをまとめて見ることで、よりクリアに見えた」とデムナは話す。一方で両者は「並行して作った」と言い、性別こそ違えど、同じ世界に生きる人物としてシンクロしている。その世界をつなぐように、メゾンを象徴するホースビットも至るところに姿を変えて登場した。

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ライディングジャケットのラペルには小さなシルバーのホースビット、シャツには極小サイズで刺しゅうされ、ベルトには三連で重ねられる一方、シアリングコートの背中では大胆に巨大化。乗馬という「グッチ」のヘリテージを引用しつつ、サイズや用途を自在に変えながらワードローブのあちこちにちりばめることで、異なる人物、シルエット、テイストを一つの世界へと結びつける共通言語に変えていた。

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「『グッチ』での私の課題は、これからも常に、ブルジョワジーやエキセントリックなどメゾンが持つさまざまなアイデンティティの間で、適切なバランスを見つけることだと思います。常にどこかシャープで、グラマラスで、そして“美味しい”くらいスノッブ(お高くとまった人)なところがある。今回表現したものが、私の『グッチ』の土台となりました」とデムナ。

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ショーのラストを飾ったのは、片方の肩から今にも滑り落ちそうな布を、金属のウェイトだけで留めたヌードカラーのドレス。デムナ自身が「ここ5年間の仕事の中で最も誇りに思う」と語る一着だ。実際には緻密な構築を要しながら、それを感じさせないほど軽やかで、危うい。その一着に凝縮されていたのは、今季を貫くグラマーと反骨、品格と大胆さのせめぎ合いだった。就任から約1年、さまざまな時代やコードを行き来しながら探し続けてきた「『グッチ』とは何か」。その答えは、一つのスタイルに絞り込むことではなく、相反するものを共存させながら、全ての人が自分らしくいられる場所を作ることだった。デムナの「グッチ」は、ここから本格的に始まる。

※ここに掲載されているファーアイテムは、ELLEのファーフリーポリシーに基づいています。

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