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祝・人間国宝「紬織」の染織家・志村ふくみさん102歳!

  • 2026.9.30
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重要無形文化財「紬織」保持者の志村ふくみさんが、2026年9月30日にめでたく102歳を迎えられます。着物愛好家のみならず、日本を代表するアーティストとして世界的に活躍されてきた志村さん。老若男女問わず各国にファンをお持ちです。『美しいキモノ』でも長きにわたり連載や特集を掲載させていただきました。お誕生日を祝い、ふくみさんの記事をピックアップ。そしてふくみさんからもメッセージが届きました! 長女で染織家の志村洋子さんにふくみさんの近況をうかがった特別インタビューとともにお楽しみください!

志村洋子さんに母・ふくみさんの近況をインタビュー

2026年9月30日にめでたく102歳を迎える染織家の志村ふくみさん。最初にふくみさんからのメッセージをお届けします。

東と西のテーマで娘の洋子と文章を書くことができたのは、『美しいキモノ』の連載の時期が今よりももっと自由な時代だったからだと思います。大切な仕事をさせていただきました。そして、洋子の長男である昌司の会社、アトリエシムラが10周年を迎えることができました。各界の方々と交流をさせていただいているようです。次男の宏は染色の源流である糸や材料に目を向けています。二人とも立派に私の後を継いでくれているようです。 志村ふくみ

変わらぬ様子がうかがえるふくみさんからの言葉がうれしく響きます。長女の志村洋子さんに近況をうかがいました。

母は心身ともに健康です。お誕生会を開きましょうと伝えると、「私は何を着ればいいの?普段着だと恥ずかしいわ。イッセイミヤケさんの服がいいわね」と元気に答えました。本を読んだり、テレビを観たりして過ごしています。今は「すばる」で2015年に連載された「緋の舟―往復書簡」のお相手の文芸評論家、若松英輔さんの本を読んでいるようです。

ときどき一文字ですが、書をしたためることもあります。親しい方へのお誕生日のお祝いに「祝」という文字を先日は書き上げました。創作への高い理念は変わることなく、工房に入った新人が挨拶に来たときに「先生は何色がお好きですか?」と無邪気に尋ねたのですが、「制作においては何色が好きかとかということではなく色の世界を学んでほしい」と伝えていました。

母が今の私と同じ70代の頃はイランなどで展覧会を開催していました。90歳のときにアメリカで講演会をしたことを思うと改めて驚きます。自分も一緒に回りましたが本当にエネルギッシュでしたね。

『美しいキモノ』での母とふたりでの連載の始まりは「東と西の織色語り」でした。東と西、それぞれの文化を対比して考えることで、染織の美を新たな角度から映し出すことができればと思い、テーマとしました。当時も東と西の闘争がありましたが、今も争いが絶えません。とても美しいものがある東の国で戦争が続いて思い出が壊れてしまいました。母もニュースで知っています。権力というのは最高の芸術を壊してもなんとも思わないのですね。母と一緒に心を痛めています。

今年、母の孫である志村昌司が立ち上げた母と私の創作理念を軸にした着物ブランド「アトリエシムラ」が10周年を迎えます。母の思いが次の世代に受け継がれていくことを喜んでいると思います。(談)

志村ふくみさんの記事をご紹介します

志村ふくみさん・洋子さんエッセイ「東と西の織色語り」

志村ふくみさんと洋子さん。共通するひとつのテーマを、東洋と西洋それぞれのイメージで織り上げた作品を、エッセイとともに紹介します。

1. 東洋と西洋の「祈り」
SATOSHI YASUKOCHI

今から22年前、2008年『美しいキモノ』春号よりスタートしたこの連載。ずっと憧れていた志村ふくみさんとのお仕事が叶い、嬉しさとともに大変緊張して、京都嵯峨嵐山の工房にうかがったことを思い出します。草木で色を染めて織り上げた紬の着物を美術作品に昇華させた志村さんの創作活動はこれまでの織りの仕事への価値観を大きく変えるものでした。その類まれな才能は連載テーマを決めるときにも発揮され、いままでにはなかった東洋と西洋を対比させながらの着物制作とその創作の根底にある理念について母と娘で綴るという内容になりました。ものづくりに携わる皆さまにもぜひ読んで頂きたいと思います。

2. 東洋と西洋の「流れ」
Hideyuki Kawana〈ST.MED〉

各号のタイトルを2文字で表そうということになり、この回は「流れ」になりました。この回の文章はご自身の心象風景について率直に綴られていて、ふくみさんの繊細な一面を知ることができます。

3. 東洋と西洋の「響き」
Hideyuki Kawana〈ST.MED〉

『美しいキモノ』に掲載された8年後の2016年に「母衣(ぼろ)への回帰」と銘打った展覧会を開催するふくみさん。この回では襤褸(ボロ)という言葉が多く使われ、本来の衣服の役割を問いながら、自身の制作へも厳しい眼差しを向けられています。

染織作家・志村ふくみ×坂東玉三郎対談

「たて糸は伝統、よこ糸は現代」

撮影=斎藤康一

《口上》志村さんの手織紬は、一目見た人を強くとらえて離しません。輝くような草木染の色の不思議。そこには、一筋に命をかけた人の仕事がうかがえます。──坂東玉三郎

1977年『婦人画報』2月号に掲載されたこの記事。お二人とも人間国宝に認定されるだいぶ前の貴重な対談です。お二人のつながりは令和のいまに続いています。

【アーティストの言葉】志村ふくみ「色をいただく」

Kahitsukan/Kyoto Museum of Contemporary Art

京都・祇園「何必館・京都現代美術館」のキュレーター梶川由紀さんがアート&京都をテーマに綴るエッセイ。日本を代表するアーティストといって過言ではない志村ふくみさん。糸を草木で染めて織り上げた紬作品は、美術品として世界に認知され、多くのファンがいます。

志村ふくみさん×北村武資さん

人間国宝が語り合う着物と帯と染織の未来
MASATOMO MORIYAMA

2015年『美しいキモノ』春・夏号に掲載された連載です。2022年に逝去された北村武資さんとの対談。2つの技法で認定されている北村さんがまるで青年のようにいきいきと志村ふくみさんにご自身の制作について説明されたことが忘れられません。ふくみさんの出現が当時の日本伝統工芸会の作家たちに大きな衝撃と影響を与え、出品前だった若き日の北村さんもおおいに刺激を受けられたのです。

「200年の色」染師・志村宏のインド染色紀行

3歳で染色の道を志す
Nobuto Osakabe

志村ふくみさんのお孫さんで、長女の洋子さんの次男の志村宏さんのエッセイです。現在、宏さんは、都機工房、アルスシムラやアトリエシムラで使う染料の草木の栽培や糸染めなどに携わっています。ふくみさんの故郷近江に工房を構えて、制作の根幹を支えています。お孫さんからみた祖母のふくみさんとは? ほほえましいエピソードが綴られています。

志村ふくみ

しむらふくみ〇1924年滋賀県生まれ。染織作家、随筆家。1990年「紬織」の重要無形文化財保持者に認定。1993年文化功労者。2014年第30回京都賞受賞。著書に『一色一生』(大佛次郎賞)、最新刊は『母なる色』(文春文庫 2025年)。作品集に『織と文 志村ふくみ』、限定本『裂帖』、『つむぎおり』など。

志村洋子

しむら・ようこ○1949年東京都生まれ。染織作家。「藍建て」に強く心を引かれ、30代から母・ふくみと同じ染織の世界に入る。1989年、母とともに「都機工房」を創設。2013年芸術学校「アルスシムラ」設立。

しむらのいろ(志村ふくみさん・洋子さん公式サイト)

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