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「ほかに持ち主を調べる方法はないのかな」空き家の枝が屋根まで伸びた我が家。僕が法務局へ向かった理由

  • 2026.10.1
「ほかに持ち主を調べる方法はないのかな」空き家の枝が屋根まで伸びた我が家。僕が法務局へ向かった理由

開けられなくなった2階の窓

隣の家には、一人暮らしのおばあさんが住んでいた。庭の木に水をやりながら、顔を合わせると会釈をしてくれる人だった。

そのおばあさんが亡くなり、隣の家は空き家になった。

しばらくすると庭の木はフェンスを越え、枝がうちの2階の屋根まで伸びてきた。雨どいには落ち葉がたまり、雨の日には水が縁からあふれるようになった。

寝室の窓には枝が2本当たっていた。風が吹くたびにガラスをこする音がして、窓を開けようとすると葉まで入ってくる。その夏、僕は寝室の窓を一度も開けられなかった。

持ち主に事情を伝える方法がないかと思い、僕は市役所へ相談に行った。

事情を説明すると、職員は話を聞いてくれた。

ただ、親族の連絡先については個人情報のため、こちらに教えることはできないという。

「ご親族の連絡先については、こちらからお伝えすることができないんです」

日を改めてもう一度相談してみたが、やはり連絡先を知ることはできなかった。

帰宅すると、妻が聞いてきた。

「どうだった?」

「やっぱり、親族の連絡先は教えてもらえなかったよ」

「そっか。じゃあ、ほかに持ち主を調べる方法はないのかな」

便せん一枚と2枚の写真

そこで僕が思い出したのが、不動産の登記だった。

土地の所有者は、法務局で登記を確認できると聞いたことがあった。

翌週、法務局で隣の土地の登記事項証明書を取った。

確認すると、相続で名義が移っており、現在の所有者として名前と住所が記載されていた。住所は遠い県だった。

電話番号は分からなかったため、僕はその住所へ手紙を送ることにした。

便せん一枚に事情を書き、枝と雨どいの状態が分かる写真を2枚添えた。

責めるような書き方はせず、困っている状況とお願いだけを伝えた。

「お隣の者です。お庭の木の枝が、うちの屋根と窓にかかっています。お手数ですが、剪定をお願いできないでしょうか」

2週間後の夜、電話がかかってきた。50代くらいに聞こえる男性の声だった。

「お手紙をいただいた者です。遠くに住んでいて、家のことを何も知らずにいました。ご迷惑をおかけしました」

「いえ、ご連絡いただけて助かりました」

「来月、業者さんに入ってもらいます。お宅の雨どいも見てもらいます」

翌月の土曜日、隣の庭にはしごが立った。業者さん2人が伸びた枝を切り、最後にはうちの屋根に上がって、雨どいに詰まっていた葉も取り除いてくれた。

作業を見ていた道の向かいの年配の奥さんが、足を止めた。

「まあ、ずいぶんすっきりしたわね。うちの前にも葉っぱが飛んできてたのよ」

「持ち主の方を調べて、手紙を送ったんです」

「そうだったの。連絡がついてよかったわね」

その夜、僕は久しぶりに寝室の窓を開けた。枝がガラスをこする音はもうしない。

夏の終わりの風が入り、カーテンがゆっくりと揺れた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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