1. トップ
  2. エンタメ
  3. 「目が“殺し屋”だったみたいです」共演者も話しかけられず…25年前【ほんわか系美女】が見せた別の顔

「目が“殺し屋”だったみたいです」共演者も話しかけられず…25年前【ほんわか系美女】が見せた別の顔

  • 2026.10.31
undefined
2001年9月、映画『修羅雪姫』の完成披露試写会に登壇した釈由美子(C)SANKEI

25年前の2001年9月、徳間ホールで行われた映画『修羅雪姫』の完成披露試写会。舞台挨拶に立った釈由美子は、完成したばかりの映像を初めて観た率直な感慨を、「まるで自分じゃないみたいでした」と語った。

この作品で美しい刺客・雪を演じ、映画初出演にして主演を飾った彼女。アクション・ヒロインは、彼女にとって新境地の役どころだった。だが、スクリーンに映るクールな女剣士の姿に誰よりも驚いていたのは、ほかならぬ本人だった。

一方で、作り手の中には、テレビで見せる顔の奥にある鋭い光を早くから見抜いていた人がいた。

普段はボケーッとしている人の泥臭い努力

舞台挨拶で「自分が一番びっくりしました」と語った釈は、普段はボケーッとしているのに自分にアクションなんてできるのだろうかと思っていたことも、笑いを交えて明かした。

しかし、その裏にあった準備は地道なものだった。釈は撮影前に自主トレとしてジムに通い、走り込みやジャズダンスに取り組んだ。撮影が始まると、毎日富士の麓まで通った。初の主演映画でも、和気あいあいとした現場にはプレッシャーを感じる暇もなかった。

この2001年の夏、釈はテレビ朝日の金曜深夜の連続ドラマ『生きるための情熱としての殺人』でも主演を務めていた。

挨拶の結びで、彼女は「強そうで弱そうな雪」を温かく応援しながら観てほしいと呼びかけた。それは役柄の説明であると同時に、初めての主演映画に体当たりで挑んだ彼女自身の姿とも重なって見える。

監督が覚えていた「大丈夫です」と人を殺すような目つき

本作でメガホンを取ったのは、のちに『GANTZ』や『キングダム』シリーズを手掛ける佐藤信介監督。アクション監督には、香港・ハリウッドで活躍するドニー・イェンが招かれていた。

壇上に立った佐藤監督は、とてもドキドキしていると緊張を口にしつつ、撮影中の釈の様子を振り返った。クランクイン前こそ不安げな表情を見せていたものの、いざ撮影が始まって「大丈夫ですか?」と声をかけると、彼女はいつも決まって淡々と「大丈夫です」と返してきたという。

木の上に吊るされて飛び降りる場面を10回以上も撮った末に、編集でばっさり切ることさえあった現場だ。監督は、完成して、自分もお客さんの前で淡々と大丈夫ですと言いたい気分だと心境を語った。

特技監督を務めた樋口真嗣は、テレビで見た釈の「眼の奥に潜むカッコいい部分」に以前から目を留めていた。佐藤監督から釈でアクション映画を撮ると聞いたときには、「くそ!やられた」と悔しく思ったと明かした。釈の人を殺すような目つきが焼きついて離れない、と冗談まじりに語ると、釈は苦笑した。

本人が普段はボケーッとしていると言う素顔の奥に、作り手は鋭い眼差しを感じ取っていたのだ。

14年後の『KIRI』で語った殺し屋の目

2001年12月15日に封切られた『修羅雪姫』は、釈が伊藤英明と並んで主演したSFアクションで、同じ12月には役名を冠した写真集『雪 From Shurayukihime』も刊行された。翌2002年には映画『ゴジラ×メカゴジラ』で主演し、家城茜を演じた。

次に本格アクションの主演映画に挑んだのは、2015年の『KIRI-「職業・殺し屋。」外伝-』だった。『修羅雪姫』から、実に14年ぶりのことである。

私生活で古武道の黒帯を持つ彼女は、撮影前に坂本浩一監督から、ナイフを使った接近戦のテクニックを教わった。完成披露試写会では、本来リズム感がないので手こずったと苦笑いを見せた。

役に入り込むあまり、撮影中は周りを遠ざけることも多かったようだ。共演した久保田悠来がなかなか話しかけてくれなかった理由を、釈は「目が“殺し屋”だったみたいです」としみじみ振り返った。打ち上げでは共演者たちに、本当は怖くない、普通の人なので話しかけてほしいとあいさつしたそうだ。

かつて樋口真嗣が冗談めかして口にした目つきのことを、14年後には釈自身が語っていた。演じた女暗殺者については、強くてかっこいいのに瞳の奥が泣いているような女性像を意識したと、にっこり話した。釈が14年前に語った雪も、この女暗殺者も、強さの中に弱さを抱えた女性だった。

清瀬で演じた見守る側の母親

2026年3月に公開された映画『ハローマイフレンド』(市井昌秀監督)で、釈はまた新たな表情を見せた。

舞台は東京・清瀬。SF映画部の高校生たちが本物のエイリアンと出会い、映画作りに挑む青春SFファンタジーだ。釈が演じたのは、主人公・颯の母親、本倉仁美。清瀬は釈の出身地で、清瀬を舞台にした映画と聞いて縁を感じ、出演を決めた。

25年前、『修羅雪姫』の撮影現場で監督から「大丈夫ですか?」と案じられ、「大丈夫です」と淡々と答えていた若き日の釈由美子。四半世紀後の本作で彼女が演じたのは、前作を酷評されて弱気になっていた息子が仲間と映画作りに向かうのを、信じて見守る母親だった。


※記事は執筆時点の情報です

の記事をもっとみる

注目コンテンツ