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15年前、3度目の結婚を選んだ【伝説のアイドル】がん闘病を支えた夫との今

  • 2026.10.30
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2011年10月、『ほけんの窓口』新宿支店オープニングセレモニーに参加した堀ちえみ(C)SANKEI

15年前の2011年10月、東京・新宿に新しくオープンした保険ショップ『ほけんの窓口』のセレモニーに、堀ちえみの姿があった。

「お客様1号」として来店した彼女は、この年の12月に3度目の結婚を控えた、いわば幸せの絶頂期。さぞ甘いのろけ話ばかりかと思いきや、彼女の口からは、あまりに現実的な話題も飛び出した。

なんと「介護保険」の見直しと、名前を変える手続きの苦労についてである。

5人の子どもを女手一つで育て、一人で生きていくつもりでいた女性の再出発。セレモニーで語られたその言葉には、浮ついたロマンスとは一線を画す、地に足のついた覚悟がにじんでいた。

レギュラー番組で認めた再々婚

このセレモニーのわずか3日前、堀はレギュラー出演していたテレビ番組『知りたがり!』(フジテレビ系)で、MCの伊藤利尋アナウンサーから噂の真相を尋ねられ、12月の結婚を認めていた。

お相手は同世代の一般男性。彼自身も2度の離婚を経験し、2人の子どもを男手一つで育てるシングルファーザーだった。前年に離婚した堀も、5人の子どもを抱えるシングルマザーとして、バラエティ番組などで活動していた。結婚すれば、堀は一気に7人の子の母になる。

お互いに酸いも甘いも噛み分けた大人の再婚。その歩み出しは、驚くほど現実的だった。

何重にも掛けていた介護保険と名前を変える重み

新宿のセレモニーで一日店長を務めた南明奈と並んだ堀は、夫となる男性とは相性ピッタリだとのろけた。自分をグイグイ引っ張って包み込んでくれる男前だと話し、自身の一目惚れだったことも明かした。そして「今度は大丈夫です!」と笑顔で強調した。

だが、話が保険に及ぶと、生活者としてのシビアな実感がのぞく。

ずっと独りで過ごすと思っていた堀は、介護保険などに何重にも入っていた。彼とも「保険を見直さないとね」と話した。

さらに、過去の結婚と離婚を振り返り、名前を変える手続きの苦労も口にした。一緒になるときも、戻すときも大変だったと、自虐交じりに語っている。

独りで迎えるはずだった老後の備えを、ふたりの暮らしに合わせて組み直す相談である。3度目の結婚の重みは、甘いのろけよりも、この生活感あふれる手続きの話のほうに、ありありと表れていたと思う。

頑なな心を溶かした3度の偶然

前年の離婚会見で、堀は「1人でいます」と語っていた。のちにブログで振り返ったところでは、仕事一筋で子どもたちを一人で大きくしていくと、気合いを入れて走り出した時期だった。

そんな彼女と彼を結びつけたのは、まるで映画のような偶然の重なりだった。

始まりは、大阪の路上で彼からファンだと声をかけられたことだった。その後、東京行きの飛行機で偶然乗り合わせ、さらに銀座の夜道で、前から歩いてくる彼とバッタリ再会する。運命としか思えない巡り合わせである。新宿のセレモニーでは、彼が本気で思ってくれる気持ちに動かされたと、ニッコリ笑って明かしている。

さらに、同年3月の東日本大震災も、彼女の人生観を揺さぶった。セレモニーの4日後、映画の完成披露試写会に登壇した堀は、結婚を決めた理由を笑顔で明かした。一人で生きていく覚悟をしていた堀は、震災をきっかけに、パートナーと楽しみながら歩んでいくのもいいと思うようになった。そこへ彼が現れて、3度目は迷わずに飛び込んだ。

プロポーズは8月、双方の子どもたちを連れて出かけた沖縄旅行でのことだった。セレモニーでの堀は、「大家族は落ち着く場所」と終始微笑んでいた。

「ちえみは運がいい!」過酷な運命を支えた夫のポジティブさ

ふたりは12月11日、夫の誕生日に籍を入れ、明治神宮で式を挙げた。

その絆の真価が問われたのは、結婚8年目のことだ。2019年2月、堀はステージ4の舌がんを公表し、大手術を受けた。

もう歌えないかもしれないと、一時はあきらめかけた堀に、夫の尼子勝紀さんは「ちえみは運がいい! ラッキーだ!!」と言い放った。

がんと闘うときでさえ、夫の口からこぼれるのは底抜けに前向きな言葉だけだった。その陽だまりのような強さに背中を押され、堀は懸命なリハビリに取り組んでいく。

2023年2月、56歳の誕生日に6年ぶりのコンサートを開いた堀は、その前の取材で、医師から「もう再発の心配はありません」と言われたことを報告した。1月に娘の成人の日を迎えられたことさえ夢のようだと、涙ながらに語っている。

翌2024年11月22日の「いい夫婦の日」には、闘病を支えてくれた夫の言葉を一冊にまとめた共著『人生の悩みをシンプルにする50の言葉』を上梓している。

15年前の見直しから45周年の未来へ

デビュー44周年を迎えた今年2026年3月21日、堀のブログには、夕食の最後に夫がサプライズで用意したケーキを前に、寄り添うふたりの写真がアップされた。

リハビリの間も、堀は歌手としての復帰を大きな目標にしてきた。今年2026年5月には、全曲の作詞を自身で手がけた新作EP『月に祈りを』をリリースし、視線はすでに来年2027年のデビュー45周年へと向かっている。

15年前、新宿の保険ショップで、堀は独りの老後を見据えて何重にも掛けていた保険を、彼と見直すつもりだと話していた。あの日から、月日は流れた。

幾重もの嵐を乗り越えた今も、夫はデビュー記念日の夕食の最後に、妻へのサプライズを用意していた。


※記事は執筆時点の情報です

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