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ヒットに届かなかった2人が“出直しの歌”で一変…“永久冬眠”で活動を終えた【女性デュオ】の出世作

  • 2026.11.2
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

この曲は、大きなヒットに届かないまま歩いてきたふたりに、初めて確かな手応えをもたらした“出直しの歌”だ。

R&Bの歌声とヒップホップのラップを1組で抱える女性デュオが、何度つまずいてもやり直せると歌い上げたその1曲は、そのまま彼女たちの決定的な出世作となった。歌っている中身と、楽曲がふたりのキャリアのために果たした役割が、美しく重なり合って映る。

BENNIE K『サンライズ』(作詞:BENNIE K/作曲:BENNIE K、Mine-Chang)ーー2004年9月22日発売

前向きな応援歌として片づけてしまうと、この曲のいちばんおいしい核心を見落としてしまう。歌はまず足を踏み外す怖さから始まり、自分を嫌いになりかける場所まで一度降りていく。眩い明るさは、暗闇をくぐり抜けてこそ手に入れたものだ。知っているつもりの出世作を、いま改めて“出直しの歌”として聴き直してみたい。

ソウルの名曲で初めて声を重ねた日

BENNIE Kは、歌のYUKIとラップのCICOによる女性デュオだ。ふたりが出会ったのは1999年。日本のクラブやスタジオではなく、遠く海を越えたロサンゼルスにあるCICOの伯母の家からこの組み合わせは始まっている。

ユニット名にはふたつの由来が重なる。ひとつは豪傑「弁慶」。もうひとつは、YUKIがギターのレッスンで初めて習った『Stand by Me』の歌い手、ベン・E・キングだ。豪傑の名とソウルの名歌手の名。力強さと歌心を、ひとつの名前に収めている。

ラップを担うCICOと歌を担うYUKIが、ユニットの名前にヒップホップではなくソウルの古典の歌い手を重ねたことは象徴的だ。ここにふたりの根っこがある。ラップが歌の居場所を奪わず、歌がラップの添え物にならない対等な並び立ちは、この名前の成り立ちにもよく似合う。

長い助走の果てに開けた道

ふたりは作品を世に送り続けながらも、大きなヒットにはなかなか手が届かずにいた。そんな足踏みの流れを劇的に変えたのが、2004年9月に出た『サンライズ』だった。

この曲こそがBENNIE Kの出世作となった。翌2005年の『Dreamland』はこの曲に続くヒットとして広く知られていくが、ふたりの名前がお茶の間へ届くまでの道筋は間違いなくここから始まっている。

出世作と聞くと、勢いで押し切った派手なアッパーチューンを思い浮かべがちだ。ところがこの曲が届けたのは、一過性の勢いよりも、転んだあとの泥臭い立ち上がり方だった。当時の流行に寄せてどちらかの個性を薄めるのではなく、ふたつの声を並べたまま、まっすぐに届けてみせた。そこにこそ、このデュオらしい痛快な届き方があった。

弱さを認める歌と背中を押すライム

歌詞の感情は、丁寧なグラデーションを描いて進む。最初にあるのは、見えない階段を踏み外したときの足がすくむような怖さだ。そこから、うまく生きられない自分を嫌いになりかける苦い自責へと降りていく。そして痛みを経たのちに、何度でもやり直せるという確信へと登りつめる。

歌のパートは内省を語る。怖さや自分を責める気持ちを、胸の中で噛みしめるように差し出す。一方、ラップのパートは外へと向かう。うずくまった感情を押し上げ、前を向いて動き出そうと呼びかける。言葉を前へ送り出して体を突き動かすラップと、感情の揺らぎをすくい取る歌。この曲は、ふたつの得意分野を「沈む場面」と「立ち上がる場面」へ鮮やかに振り分けている。

先に歌が弱さを包み隠さず認めているからこそ、ラップの激励が決して上から目線の説教にならない。隣にしゃがみこみ、そっと背中を押す声として届く。さらに再起を一度きりの奇跡ではなく、何度でも訪れるものとして歌う。転ぶことを前提にしているから、聴き手は転んでしまった自分を責めずにすむ。回り道をしてきた当時のふたりの足取りと、何度でもやり直すという主題が美しく重なり合って聴こえ、胸を打つ。

盟友と描いた夜明けから「永久冬眠」へ

2021年、活動の締めくくりを前に、YUKIは最後の曲『FINALE』について、明るく突き抜けるCICOのバースと少し陰のある自分のバースという光と影の組み合わせを、ユニットらしさとして挙げた。対するCICOは、BENNIE Kでいるときの自分は常に上を向いていると言い表している。まさにこの対比と共鳴こそが、彼女たちの本質だった。

この曲の作曲と編曲には、盟友・Mine-Changが名を連ねている。2022年1月24日、BENNIE Kは「永久冬眠」と称して活動を終えたが、その最後の曲『FINALE』でも、作曲と編曲にMine-Changの名があった。出世作とラストソングの両方に同じ作り手の名前が刻まれている事実に、ふたりが貫いた音楽への誠実さが静かに滲む。

曲名のサンライズは日の出を指す。夜明けは一度きりの出来事ではなく、どんなに長く暗い夜のあとにも必ずやって来る。何度でもやり直せると歌うこの曲に、その名はあまりによく似合う。最後まで上を向き続けたふたりが、最初に広く届けたのが転んでも立ち上がる歌だった。その始まり方にこそ、BENNIE Kというユニットの揺るぎない芯を感じる。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

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