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誰もが首をかしげた“長すぎるユニット名”。27年前、看板を封印した【カリスマ】が名乗り直した名前の正体

  • 2026.11.1
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2000年10月、東京国際フォーラムで行われたT.M.Revolutionこと西川貴教のライブより(C)SANKEI

いまなら、3つの題を並べるだけで、夏から冬までの季節をひと晩で聴き通せる。『陽炎-KAGEROH-』『月虹-GEKKOH-』『雪幻-winter dust-』。漢字ふた文字の題が並ぶさまを眺めれば、季節がめぐっていく連作として受け取られてきたのも自然に思える。

だが1999年の夏、強い日差しの揺らぎを題にした1枚目が出たのは6月の終わり。そこから9月に届いた2枚目は、月の光でできる虹を題にしていた。夏の熱でも冬の白さでもない、夜にだけ浮かぶ淡い光だ。三部作の真ん中に座るこの曲を、いま「秋」の席から聴き直してみたい。

the end of genesis T.M.R.evolution turbo type D『月虹-GEKKOH-』(作詞:井上秋緒/作曲:浅倉大介)ーー1999年9月22日発売

昼の揺らぎと雪の幻のあいだに月の光が差す

三部作は、6月23日の『陽炎-KAGEROH-』、9月22日の本作、11月17日の『雪幻-winter dust-』と、3か月ほどの間隔で並ぶ。地面に立つ夏の陽炎と、寒冷が生む冬の雪幻。両端が季節の顔をはっきりと持っているぶん、真ん中の1枚は自然と秋の位置に据えられる。

月虹とは、月の光がつくる虹のことだ。夜にしか現れず、めったに見られない。見ようとして見られるものではない光を題に据えたことで、この曲は最初から、手の届かないものへ向かう切ない気配をまとっている。

温度ではなく光の淡さで季節を描く題に、この連作の繊細な手つきがある。夏の熱気を引きずり、冬の冷たさにはまだ届かない。どちらにも振り切れない秋特有の宙づりの感触を、「夜にしか出ない虹」という一語が見事に引き受けているのだ。

看板を下ろした直後に掲げた長い名前

この三部作の背後には、ひとつの名前をめぐる物語がある。西川貴教は1999年3月の東京ドーム公演でT.M.Revolutionの目標を達成。その頂点の直後、自らT.M.R.を封印し、浅倉大介と組んで新しい名義を始動させた。

名前は長い。the end of genesisは創世記の終わり、T.M.R. evolutionは進化、turboは西川の愛称であるター坊、type Dは浅倉大介の頭文字を指す。始まりの物語を自ら閉じ、進化した姿で名乗り直す。看板を下ろす身振りと次へ進む宣言が同居するこの名は、ユニット名というより2人で書いた短い宣言文のようだ。

2人の縁は1995年、accessの浅倉が自身のソロ曲『BLACK OR WHITE?』に西川をゲストボーカルとして迎えたことに始まる。出発点で声を預けた相手と、頂点のあとに並んで名乗り直す。名義の末尾に2人の名がそろうのは、縁がひと回りして原点へ戻ってきたしるしだろう。

2000年にT.M.Revolutionの封印は解かれ、三部作は1999年の夏から冬にだけ出たシングルとして閉じた。季節の連作という読みが色あせないのは、作品そのものが一度きりの季節の中に閉じ込められているからだ。

弦の響きと月光の煙で季節がもう一度めぐる

2017年5月、さいたまスーパーアリーナでのT.M.Revolutionのデビュー20周年ファイナル公演で、三部作が約6年ぶりに披露された。伴奏は弦楽アンサンブル。『月虹-GEKKOH-』は、月の光を思わせるスモークが立ちこめるなかで歌われた。

舞台が用意したのは、題の現象を客席に見せる仕掛けだ。煙に光が当たれば、月の夜の空気がステージに立ち現れる。弦の伴奏が自然になじんだのも、曲がもともと弦の響きを呼び込む骨格を持っていたからだろう。3曲を同じ夜に鳴らす場が、連作としての受け取り方を後から力強く支えてきた。

管弦と映像が秋に連れ戻した虹

2020年10月17日、ロームシアター京都からの配信公演で、アルバム『Suite Season』の曲がオーケストラで上演された。演奏は京都市交響楽団とオーケストラ・アンサンブル金沢、指揮は三ツ橋敬子。弦楽アンサンブルから管弦楽団の厚みへ。楽器が増えるほど輪郭がくっきりしていく楽曲の骨格を、ふたつの再演が証明した。

そして2026年10月28日には、浅倉大介のソロ35周年記念映像作品『DA's Party 1999 SPECIAL EDITION』が発売され、『月虹-GEKKOH-』も単独の1曲として収められる。この曲はたびたび、夏の熱が抜けきり雪の便りがまだ遠い季節に呼び戻されてきた。

月がやけに明るい秋の晩、見上げた空に淡い虹を探してしまう人がいるなら、その人はもう、この曲が座る秋の席を知っている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

(文・笄坂かける)

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