1. トップ
  2. エンタメ
  3. 30年前、『名探偵コナン』のEDを歌っていたのは…伝説バンドの“ベーシスト”。解散前に放った初のソロシングル

30年前、『名探偵コナン』のEDを歌っていたのは…伝説バンドの“ベーシスト”。解散前に放った初のソロシングル

  • 2026.11.1
undefined
2015年12月、横浜アリーナで行われたX JAPANのライブより、HEATH(C)SANKEI

X JAPANの低音を支えてきたベーシストが、自らの名前を掲げ、自ら曲を書き、自らの声で歌う。バンドにおける「HEATH」の佇まいを知る耳にとって、そのソロワークは実に鮮烈な驚きだった。

heath『迷宮のラヴァーズ』(作詞:森雪之丞/作曲:heath)ーー1996年10月7日発売

歩みの起点は1995年2月22日にリリースされたCDと映像を組み合わせた作品『heath』にある。ソロ名義では小文字の「heath」を名乗り、単独シングルとして世に出た最初の一枚が、1996年10月7日発売の『迷宮のラヴァーズ』だ。

巨大な轟音の土台を担ってきた音楽家が、ひとりでマイクの前に立つ。しかもこの一枚が届けられたのは、X JAPANが終幕へと向かう激動の季節だった。伝説の陰でheathが見せた表現者としての素顔を、いま改めてたどり直したい。

バンドの終幕と交錯したパーソナルな狼煙

『迷宮のラヴァーズ』が店頭に並んだ約1か月後の1996年11月4日、X JAPANはアルバム『DAHLIA』を発表している。HEATHが作曲に関わった『WRIGGLE』も収められた一枚だ。

だが翌1997年9月22日にバンドは解散を発表し、12月31日のラストライブで幕を下ろす。heathの1stシングルは、バンドが終幕へと向かう日々のただなかで世に放たれていた。

スタジアムを揺るがす轟音の屋台骨を支える一方で、ソロでは自らの歌と旋律の真ん中に立つ。同時期に二つの場所で鳴っていた音を並べると、職人的ベーシストの内に秘められた、ひとりの音楽家としての輪郭がくっきりと浮かび上がる。バンドの大きな物語の陰で、heathは静かに自分だけの物語を紡ぎ始めていた。

名匠の言葉と共鳴したミステリアスな美学

作曲はheath自身、編曲は杉山勇司と共同で手がけた。そして作詞を務めたのが森雪之丞だ。X JAPANの盟友hideが1993年に出したソロの最初の2枚、『EYES LOVE YOU』と『50%&50%』の詞も手がけた名匠だ。同じバンドから歩み出た二人のソロに同じ作詞家が寄り添っていた巡り合わせは、実に興味深い。

詞には「迷宮」「罠」「扉」といった推理劇を思わせる言葉が並ぶ。描かれるのは、出口の見えない暗がりのなかで相手を求める切迫した恋だ。ヴィジュアル系の耽美な世界観と推理ものの語彙が結実し、heathの旋律に手渡された。低音で曲を支えてきた男が妖艶な語り手へと姿を変え、自らの声で歌い届ける。ベーシストの枠を超えたheathの美意識が、この1曲にはっきりと息づいている。

探偵アニメの記憶から永遠のアーカイブへ

『迷宮のラヴァーズ』の音と言葉は、CD発売より先にテレビから流れていた。1996年8月5日の第27話からアニメ『名探偵コナン』の2代目エンディングテーマに起用され、番組のラストを彩ったのだ。前任はZIGGY、後任は宇徳敬子。事件解決の余韻に寄り添う音と言葉は、ロックファンのみならず、毎週アニメを楽しむお茶の間にも届いた。

heathは2023年10月29日に世を去った。翌2024年10月23日には全ソロ楽曲を収めたBOX『all of heath』が発売され、『迷宮のラヴァーズ』はSingles DISCに誇らしく収まった。さらに2027年1月22日には追悼ライブ「heath THE BIRTHDAY」の開催も予定されている。

手のひらに乗る小さな8cm短冊で届いた歌は、本人の名を冠した重厚なBOXに収まり、永遠のアーカイブとなった。迷宮の扉をひとりで開けた日の歌声は、変わらず私たちを魅了し続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ