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飛行機で、男性客「他の席空いてます?」自分の席に“見知らぬ女性”…男性が席の変更を希望した“優しい理由”

  • 2026.10.25
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出典:photoAC ※画像はイメージです

こんにちは。元CAのマンゴーアレルギーです。

飛行機では、ときどき座席を間違えて座ってしまうお客様がいます。

窓側と通路側を勘違いしていたり、座席番号を一列見間違えていたり。そんなときはCAがお声がけし、本来の座席へご案内します。

ある日のフライトでも、自分の席に別のお客様が座っていた男性がいました。

ところが男性は、その女性に席を空けてもらうのではなく、私に意外なお願いをしてきたのです。

「あの……」と声をかけてきた男性

搭乗も終盤になったころ、20代前半くらいのスーツ姿の男性が機内へ入ってきました。

私は客室後方にいたのですが、その男性が近づいてきて、

「あの……」

と少し困ったような様子で声をかけてきました。

手には搭乗券。

「座席の場所がわからないのかな?」

そう思った私は搭乗券を確認し、男性を座席まで案内することにしました。

男性の席は窓側。しかし、そこには乳児を連れた女性が座っていました。

女性の本来の座席は通路側。どうやら窓側と通路側を間違えてしまったようです。

「お席を間違えているので声をかけますね」

男性の座席まであと3列ほどというところで、座っている女性の頭が見えました。

私は男性に、

「お席を間違えているようなので、私からお声がけしますね」

と伝えました。すると男性は、

「あ、違くて……」

と私を止めたのです。

そして少し声を落として、こう言いました。

「授乳してるっぽいんで、他の席空いてます?」

一瞬、私は「え?」と思いました。

女性は授乳ケープを使って、赤ちゃんに授乳していたのです。

私が離れた場所から確認できていたのは女性の頭だけ。そのため、座席を間違えていることには気づいても、授乳中であることまでは把握できていませんでした。

一方、先に自分の座席まで行った男性は、授乳ケープを見て状況に気づいたのでしょう。

そして女性に声をかけるのではなく、わざわざ後方にいた私のところまで戻ってきたのです。

自分の席なのに「僕が移動します」

幸い機内には空席があったため、男性には別の座席へ移動していただきました。

自分の指定席に別の人が座っていたら、「そこ、僕の席なんですけど」と声をかけても何もおかしくありません。

ましてや男性は悪くありません。

それなのに、

「授乳中なら中断させないほうがいい」

「だったら自分が別の席へ移ればいい」

と考えたのでしょう。

しかも、そのことを大げさにするわけでもなく、当たり前のように別の席へ向かっていきました。

私はその姿を見ながら、「若いのに、なんて優しいんだろう」と、とても印象に残っていました。

到着後にわかった“優しさの理由”

到着後、どうしても気になっていた私は男性に声をかけました。

「先ほどはありがとうございました。すごくお優しいですね」

すると男性は少し照れたように、

「いや、姉が今、子育て中で……」

と教えてくれました。

お姉さんが赤ちゃんを育てる姿を身近で見ていたからこそ、授乳ケープを見てすぐに状況を察することができたのかもしれません。

自分の席に別の人が座っていたら、まず「そこ、自分の席なんですけど」と思ってしまっても不思議ではありません。

けれどその男性は、相手の事情を察して、自分が動くことを選びました。

CAとして働いていると、ほんの数秒のやり取りの中に、その人の人柄が見えることがあります。

あの日の、

「授乳してるっぽいんで、他の席空いてます?」

というひと言。

相手に何も言わず、自分がそっと動く。

何年経っても思い出す、さりげなくて温かい気遣いでした。


ライター名:マンゴーアレルギー

グランドスタッフ3年、客室乗務員として7年勤務した経験を持つ元航空業界人。航空業界での経験や子育てで得た学びを生かし、思わず「なるほど」と感じてもらえるような体験談をお届けします。


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