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「隣に座りたい」観光ツアーで起きた“座席トラブル”→元バスガイドがとった機転の利いた対応とは…?

  • 2026.10.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元バスガイドのくろちびです。

観光バスの仕事では、観光地だけでなく、劇場や施設などにお客様をご案内する場面もあります。

特に、同じ地域から参加された知り合い同士のツアーでは、30席ほどのまとまった席を確保し、その中では自由席としてご案内することも多くあります。

「せっかく一緒に来たのだから、仲の良い人と隣に座りたい」

というご希望も少なくありません。

今回は、観劇するツアーで、指定された座席をめぐって「○○さんの隣が空いていない」「ここが私の指定席のはず」と、なかなか席が決まらなくなったときの話です。

 みんな知り合いだけれど

今回担当したのは、同じ地域にお住まいの知り合い同士で構成されたバスツアーでした。

事前に「お席は大まかに何番から何番という形で決まっていますので、お互いに譲り合ってお座りください。会場に到着しましたら、入場順に奥から詰めておかけいただけると助かります」とご案内していました。

また、「隣同士で座りたい方は、会場前で一緒にお進みください」ともお伝えしていました。

ところが、実際に指定席へ向かうと、「○○さんの隣が空いていない」「私はこの人と隣で座りたい」と、希望どおりに座れない状況が発生しました。

開演時間も決まっており、周囲にはほかのお客様もいます。好きな場所へ自由に移動してもらうわけにもいかず、次第に席が決まらないまま時間だけが過ぎていきました。

できることとできないこと

このとき私が一番気にしていたのは、「全員を希望どおり隣同士にすること」に時間を使いすぎて、開演に間に合わなくなったり、周囲のお客様にご迷惑をかけたりすることでした。

もちろん、仲の良い方と隣に座りたいという気持ちはよく分かります。せっかくの旅行ですから、できるだけ希望をかなえてあげたいと思いました。

ただ、劇場の指定席という条件を考えると、私の判断だけで席を大きく入れ替えることはできません。

そこで、「できないこと」に時間を使うのではなく、「今ある席の範囲でできることは何か」と考えました。

最終的には、端の席のお客様に前後でペアになって座っていただくなど、指定された座席の範囲内でできる限り調整しました。

さらに、会場前でお客様が写真撮影用パネルで写真を撮られていたことを思い出しました。そこで、舞台のどのあたりにその演者さんが登場するかをお伝えし、席だけに意識が向いていたお客様の視点を「これから始まる観劇」へ切り替えてもらうことにしました。

「一番仲の良いご友人と隣に座る」ことだけが旅行の楽しみではありません。せっかく観に来たのだから、舞台そのものを楽しんでもらおう。そう考えました。

具体的な案内を何度も伝える

この経験から、指定席がある場所では、事前の案内をより具体的にし、各場所で何度もお伝えするようになりました。

特に「隣同士になりたい方は、会場前で一緒に行動してください」という一言は、当日の席の混乱を防ぐためにも大切です。

ただし、どれだけ事前に案内していても、当日に希望どおりにならないことはあります。

そんなときに大切なのは、「できません」と終わらせるのではなく、決められた条件の中で何ができるかを考えること。

お客様の希望をすべてかなえられなくても、別の楽しみ方を提案することで、気持ちを切り替えていただける場合があります。

旅行を楽しみたい気持ちはないがしろにしない

旅行中のトラブルは、必ずしも「希望を100%かなえること」で解決するとは限りません。

できることとできないことを見極め、その中で別の楽しみを提案する。

目の前の不満だけを見るのではなく、その先にある「旅行を楽しむ」という目的に目を向けることも、ガイドの大切な仕事だと感じた出来事でした。


ライター:くろちび

プロフィール
 バスガイドとして4年間、奈良・京都・大阪を中心に観光案内を担当。修学旅行や団体旅行、高齢者ツアーなど、さまざまなお客様をご案内してきました。現場で実際に経験した出来事や、旅行の裏側、接客を通して学んだことを、実体験をもとにお伝えしています。


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