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「放っておいてください!」いつもは穏やかな女性利用者が、介助中見せた強い口調…話を聞いて分かった“理由”

  • 2026.10.26
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

有料老人ホームで夜勤をしていたときのこと。いつもは穏やかな女性利用者様が、起床介助の際に普段とは違う強い口調で話されました。突然の様子の変化に戸惑いながらも、無理に介助を進めず、普段どおりの会話を続けることに。

すると、利用者様は少しずつ表情を和らげ、いつもとは違う言動の背景を話してくださいました。

いつもは穏やかな女性利用者様が…

有料老人ホームで働いていたときの出来事です。

夏の終わり、夜勤中に起床介助のため、女性利用者様の居室を訪れました。

その利用者様は、普段は穏やかな雰囲気の方です。しかし、その日はいつもより口調が強く、普段とは違う様子でした。

身支度のお手伝いをしようと声をかけると、

「いいんです、ゆっくりですが自分でやります」

と、いつもよりはっきりと答えられました。

さらに、

「放っておいてください!」

ともおっしゃり、介助を受け入れようとはされませんでした。

いつもは穏やかな利用者様だっただけに、少し戸惑いました。

「何かあったのかな」

いつもと違う様子が気になりましたが、無理に介助を進めることはしませんでした。

利用者様がご自身でやりたいとおっしゃっている以上、その気持ちも大切にしたいと思ったからです。

まずは普段どおりに接しながら、様子を見ることにしました。

いつもと違う様子の背景には

わたしはカーテンを開けたり、部屋のごみを回収したりしながら、自然に会話を続けました。

「最近、日の出も遅くなってきましたよね」

「もっと涼しくなったら、近くの公園へ散歩に行きませんか」

そんな話を続けていると、利用者様の表情が少しずつ和らいできました。

すると、最近の朝の様子について話してくださいました。

「最近、日中も暑さが落ち着いてきたわね。そのせいか朝は少し肌寒くて」

「朝一番は特に身体がこわばって動きにくいの」

いつもならご自身でできる洗顔などの身支度も、その日は思うように進まなかったそうです。

これまでご自身でできていたことが、思うようにできない。

そのもどかしさが、いつもとは違う言動につながっていたのかもしれません。

わたしは、明日も朝のお手伝いに伺うこと、何かあれば遠慮なく教えてほしいことをお伝えしました。

すると、利用者様はほっと安心したような表情を見せてくださいました。

その日の状態に合わせた関わりを

季節の変わり目は気温の変化が大きく、高齢の方の体調や身体の動きに影響することがあります。

普段はご自身でできることでも、その日の体調や身体の状態によって、思うようにできない日もあるのだと思います。

これまで当たり前のようにできていたことが、思うようにできない。

その気持ちを考えると、普段とは異なる口調になったことにも理由があったのだと感じました。

もし、利用者様の強い口調だけに目を向けていたら、そうしたご本人の思いに気づけなかったと思います。

今回は無理に介助を進めず、普段どおりに会話を続けたことで、利用者様が感じていた身体の変化を知ることができました。

介護の現場では、利用者様のいつもと違う言動に戸惑うこともあります。

そんなときこそ、目の前の言葉や態度だけで判断せず、その背景にある事情にも目を向けていくこと。

そして、ご本人ができることや、今は難しいことをその都度確かめながら、介助の方法や距離感を柔軟に変えていくこと。

利用者様の思いを尊重し、その日の状態に合わせた関わりを続けていきたいと感じた出来事でした。


文:しまむら けいこ/介護福祉士・Webライター

介護福祉士として10年以上、デイサービスや入所施設などさまざまな介護現場で経験を積む。現在も介護職として働くかたわら、Webライターとして活動。介護や暮らし、働き方について発信している。2児を育てるワーキングマザー。


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