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「入浴は男性スタッフに担当してほしい」女性利用者の思いがけない希望…話を聞いて分かった“理由”

  • 2026.10.17
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

有料老人ホームに入居されたばかりの女性利用者様。

ご家族様から「入浴介助はなるべく男性スタッフに担当してほしい」と希望がありました。

少し意外な希望でしたが、詳しく話を伺うと、そこには利用者様本人の思いと、これまでの入浴経験がありました。

ご家族様から寄せられた意外な希望

有料老人ホームで働いていたときの出来事です。

入居して間もない女性利用者様のご家族様から、

「母のお風呂は、なるべく男性スタッフに担当してほしい」

との希望がありました。

女性利用者様の場合、入浴介助を女性スタッフに担当してほしいと希望されるケースもあります。

そのため、最初は少し意外な申し出に感じました。

なぜ男性スタッフを希望されているのか、その背景が気になりました。

男性スタッフを希望した理由を聞いてみると

ご家族様に詳しくお話を伺うと、利用者様は以前の施設で「寝台浴」を利用されていたことが分かりました。

寝台浴とは、寝たままの姿勢で入浴できる設備です。歩行が不安定な方や、浴槽をまたぐことが難しい方でも利用できます。

一方で移動や身体を洗う際など、介助する側にある程度の体力が必要になることがあります。

ご家族様は、「以前、母を家でお風呂に入れていたとき、とても大変な思いをしたんです」と話してくださいました。

さらに、「母は歩けないので、寝たままのお風呂だと手伝う側も大変ですよね」とも話されました。

利用者様ご本人からも、「お風呂が大好きなの。寝たままだけれど、できるだけ身体をしっかり洗ってほしい」という希望を伺いました。

「男性スタッフにお願いしたい」という希望の背景には、これまでの入浴経験と、利用者様の「お風呂が好き」という思いがあったのです。

できる範囲で希望に寄り添う

スタッフの人員配置上、毎回必ず男性スタッフが担当できるわけではありません。

そのことをご家族様にお伝えしたうえで、施設でできる範囲で対応していくことになりました。

入浴前後には、ご家族様が付き添われる機会もありました。

ある日、ご家族様から、「母の希望を叶えてくれてありがとうございます」と感謝のお言葉をいただきました。

入居して間もない利用者様でしたが、入浴の時間を通して会話を重ねるうちに、少しずつ施設での生活にも馴染まれていったように感じました。

要望の背景にある思いを知る

最初に「男性スタッフに担当してほしい」という希望を聞いたとき、その背景は分かりませんでした。

しかし、以前の入浴方法やご家族様の介護経験、利用者様の希望を詳しく伺うことで、その要望の背景が少しずつ見えてきました。

利用者様やご家族様から伝えられる要望には、これまでどのような生活をしてきたのか、どのような介護を受けてきたのかが反映されていることがあります。

一見すると「なぜこのような希望をするのだろう」と思う要望でも、その理由を知ることで、その人にとっては「大切な希望」だと分かることがあります。

要望を表面的に判断するのではなく、「なぜ、このような希望を伝えられたのだろう」と、その背景に目を向けること。

目の前の相手の思いを知るためには、これまでの生活や経験にも目を向けたいと感じた出来事でした。


文:しまむら けいこ/介護福祉士・Webライター 

介護福祉士として10年以上、デイサービスや入所施設などさまざまな介護現場で経験を積む。現在も介護職として働くかたわら、Webライターとして活動。介護や暮らし、働き方について発信している。2児を育てるワーキングマザー。


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