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配達員が何回訪ねても『いつも不在』の家…家主の息子「もう家には戻れないと思います」明かした留守のワケ

  • 2026.10.22
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さまこんにちは。元宅配員のmiakoです。

宅配の仕事をしていると、何度訪問しても、いつもお留守のお宅に出会うことがあります。

お仕事やお出かけなど、留守にされる理由はさまざまです。しかし、不在票を入れてもなかなか連絡がなく、人が暮らしているような気配も感じられないとなると、少し気になってしまいます。

今回は、数か月に1度荷物が届くものの、何度訪問しても誰にもお会いできなかった、あるお宅のお話です。

初めて訪れるお宅への配達

ある日、見慣れない番地のお荷物を預かりました。
宛名には、A様という男性のお名前が書かれています。

当時は担当エリアにも慣れてきて、よくご利用されるお客様なら、お名前と番地だけでお宅の場所がわかるほどになっていました。
そのため、見覚えのない番地を見ると「あれ? この家はどこだったかな?」と気になることもありました。

地図で確認すると、A様のお宅は、普段からほぼ毎日通っている区画にありました。
それなのに、そのお宅だけは一度も訪問したことがなかったのです。

初めて伺うお宅は、何年配達をしていても少し緊張するものです。

どんな方が住んでいるのか、少しだけドキドキしながらA様のお宅へ向かいました。

何度訪問しても返事がない

緊張しながら玄関のチャイムを鳴らしましたが、辺りは静かなままです。
声をかけても返事がありません。

その日は不在票を入れ、いったん営業所へ持ち戻りました。

翌日も荷物が残っていたため、再び訪問しましたが、やはり返事はありません。
その後も訪問を重ね、不在票を入れましたが、連絡はありませんでした。

伝票に記載されていた電話番号にもかけてみたものの、つながらない状態が続きました。

ポストに投函した不在票や郵便物がずっとたまっているわけではなかったので、誰かしら確認しているとは思っていましたが、再配達の指示などは一向に入りません。

お仕事の時間帯によっては、配達時間帯に帰って来られない方もいらっしゃいます。

お忙しいのかもしれない。そんなことを考えながらも、保管期限が近づいてきます。
このままでは、荷物を差出人様にお返ししなければなりません。

どうしたものかと思っていたとき、会社支給の業務用携帯電話が鳴りました。

ご家族から届いた電話

電話の相手は、A様のご家族だという男性でした。

「何度も行っていただいていると思うんですが、まだ戻れないので、荷物を営業所に置いておいてもらえますか? 今日は無理なんですが、週末には取りに行きます」

どうやら、すぐには荷物を受け取れない事情があるようです。

取りに来られる予定の週末には、保管期限を少し過ぎてしまいます。

しかし、荷物が生モノではないこともあり、受け取りに来ていただけることが確認できたため、営業所で保管し、週末に窓口でスムーズにお渡しできるよう、受付の担当者へ引き継ぎを行いました。

無事に受け取りの予定が決まり、ひとまず安心したのを覚えています。

数か月後、再び届いた荷物

それから数か月が過ぎた頃、再びA様宛ての荷物が届きました。
前回の配達以降、A様宛ての荷物はなかったため、久しぶりの訪問です。

今度はお会いできるかな? そう思いながら伺いましたが、チャイムを鳴らしても返事はありません。

時間帯を変えて訪問してみても、家の中から生活音が聞こえることはなく、人がいるような気配も感じられませんでした。
そして、数日が過ぎた頃、再び男性から電話が入りました。

「すみません、Aの家族ですが、荷物は営業所に置いておいてもらっていいですか? 週末に取りに行きます」

今回も、前回と同じように営業所の窓口で受け取っていただくことになりました。

ただ、このときの私は、まだA様のお宅の事情を知りませんでした。

ご近所の方から聞いた意外な話

さらに半年ほどたった頃、またA様宛ての荷物が届きました。

今度こそお会いできるかな、と思いながら訪問しましたが、やはり以前と変わらずお返事がなく、静かな家にチャイムだけが響きました。

配達に伺い始めて3日目くらいのことでした。
この日も不在票を入れ、車に戻ろうとしたときです。

「宅配便さーん!」

突然声をかけられ、辺りを見回すと、A様のお宅のはす向かいにある家の窓から、60代くらいの女性が顔を出していました。
手招きされて近づくと、女性はこう話し始めました。

「Aさんの家、お留守でしょ?」

突然の質問に、私は少し戸惑いました。
お客様の在宅状況を、ご近所の方にどこまでお話ししてよいものか、判断に迷ったのです。

うまく返事ができずにいると、女性は話を続けました。

「Aさんご夫婦ね、入院していらっしゃるって聞いているから、当分は戻らないんじゃないかしら」

思いがけないお話に、驚いてしまいました。

「そうなんですか?」
「ええ、息子さんが隣の市から週に何回か郵便受けを見に来ているみたいだけど、ここ最近はずっと回覧板も飛ばしてるから、誰も住んでいないはずですよ」
「そうだったんですね。ありがとうございます」

事情を少し知ることができたものの、息子さんの連絡先まではわかりません。

事情があって誰もお住まいではない。
そうとわかっても不在票を入れる先は、これまでと同じように、伝票に記された家のポストです。

ポストの差し入れ口から少し郵便物が見えましたが、長期間放置されている様子ではなかったので、おそらく別居のご家族が定期的に確認されているのだろうと思いました。

私ができるのは、保管期限までご家族からの連絡を待つことだけでした。

息子さんから明かされた事情

その翌日だったでしょうか。
A様のご家族から電話が入りました。

「すみません、Aの荷物なんですけど、営業所に取りに行くので、置いておいてもらっていいですか?」

これまでと同じ内容だったため、いつものように承知したことをお伝えしました。
ところが、この日は少し話が続いたのです。

「あと、実は両親が施設に入ってしまったので、その住所に荷物が届いても誰も受け取れないんです。多分もう、家には戻れないと思うので…」

男性は、A様の息子さんでした。

現在は隣の市に住んでおり、ご両親が施設に入られたため、A様のお宅には誰も住んでいないとのことでした。
そして、申し訳なさそうに、こう続けられました。

「自分は今、そこに住んでいないので、これからこの住所に荷物が届いたら、こちらの携帯に連絡していただけますか? 何度も来てくださって申し訳ありません」

私は、業務用端末に表示された電話番号を、今後のA様宛の連絡先として登録し、他のドライバーや営業所窓口とも業務システム上で共有することをお伝えすると、承諾をいただきました。

「かしこまりました。それでは、今後こちらのご住所にお荷物が届いた際には、営業所で保管し、こちらのお電話番号へご連絡させていただきますね」
「すみませんが、よろしくお願いします」

こうして、何度訪問しても誰にもお会いできなかった理由が、ようやくわかったのです。

A様にも、ご家族様にも、それぞれの事情がありました。
何度も訪問していたことを気にかけてくださっていた息子さんの言葉が、印象に残っています。

荷物の受け取り方は一つではない

宅配便は、基本的に伝票に記載された住所へお届けします。
しかし、引っ越しや長期入院、施設への入居などによって、以前の住所では荷物を受け取れなくなることもあります。

そのような場合には、荷物を別の住所へ届ける「転送」という方法もあります。

ただし、利用する運送会社やサービスによっては、転送に追加の運賃(着払い等)が発生したり、差出人様の指定で転送自体ができないこともあります。各社のルールを事前に確認しておくことが大切です。
また、営業所やコンビニなどでの受け取りも一つの方法です。

A様の場合は、平日に受け取ることが難しくても、週末であれば息子さんが営業所まで来られるとのことでした。
そのため、荷物が届いた際には営業所で保管し、息子さんへ連絡するという方法で対応することになりました。

今後の受け取り方法をご相談いただけたことで、何度もご自宅へ訪問する必要がなくなり、息子さんも都合のよいときに荷物を受け取れるようになったのです。

家族の暮らしが変わったときに

人は年月を重ね、ライフステージが変わることで、生活にも変化が生まれます。

結婚して世帯が分かれたり、通勤のために勤務先の近くに生活拠点を移したり、入院や施設への入居によって住み慣れた家を離れたりと、家族の暮らし方は、さまざまなきっかけで変わっていきます。

長年暮らしていた住所であれば、親戚や知人などが以前と同じように荷物を送ってくださることもあるでしょう。
しかし、送り先に誰も住んでいなければ、せっかく届いた荷物も受け取ることができません。

もし、ご家族が長期間家を空けることになった場合には、荷物の送り先や受け取り方法について、早めに確認しておくと安心です。
また、荷物を送る際にも、相手の方が現在その住所で受け取れるかどうか、ひと声確認しておくとよいかもしれません。

もし、受け取ることのできる状況に変化が生じた際には、状況に応じた受け取り方法をご相談いただければ、お客様に合った方法をご提案することもできます。
今回のA様のお宅のように、荷物が届き続ける背景には、ご家族の暮らしの変化が隠れていることもあります。

荷物を送る方、受け取る方、そして届ける宅配員。
それぞれが少しずつ事情を伝え合うことで、無理のない安心した受け取り方につながることを願っています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた“宅配のリアル”を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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