1. トップ
  2. エピソード
  3. 「今から学校に行く。校長と話をさせろ」理由を言わない父親からの電話…心当たりのない担任が知った“意外な真相”

「今から学校に行く。校長と話をさせろ」理由を言わない父親からの電話…心当たりのない担任が知った“意外な真相”

  • 2026.10.8
undefined
出典:photoAC ※画像はイメージです

こんにちは。元小学校教諭のみずいろ文具です。

学校で働いていると、保護者から連絡が入ることは多々あります。

悩みやトラブルの相談や単なる事務連絡など用件はさまざまですが、時たま理由を告げずに「今から学校に行きます」とおっしゃる方もいます。

今回は、私が1年生を担任していたときの出来事です。

「今から学校に行く」突然の連絡

その日の午前10時ごろ、担任外の先生が教室までやってきました。

「Aさんのお父さんから電話があって、『今から学校に行く。校長と担任と話しをさせろ』って言ってるんだけど……何か心当たりある?」

突然の話に、私は戸惑いました。

Aさんはとても真面目な子で、友達とのトラブルも特にありません。
保護者へ連絡しなければならないような出来事があった記憶もなく、まったく心当たりがありませんでした。

しかも、お父さんは学校に来る理由を電話では話さなかったとのこと。

「とりあえず、来たら校長と教頭で対応するから」

先生はそう言って職員室へ戻っていきました。

とはいえ、担任としては気になります。

何か私が把握していないことが起きているのではないか。

そこで、私はAさん本人に話を聞いてみることにしました。

「あー……」Aさんが思い出したこと

休み時間にAさんを呼び、

「昨日、何かあったかな?おうちの人が、Aさんのことを心配しているみたいなんだよね」

私がそう尋ねると、Aさんは少し考えてから、

「あー……」

と、何かを思い出したような顔をしました。

そして話してくれたのは、前日の下校時の出来事でした。

図工の作品として持ち帰っていたペットボトルで、BくんがAさんの顔を強く叩いたというのです。

Aさんの顔を確認すると、こめかみのあたりが少し青くなっていました。

「痛かったんじゃない?」

そう聞いても、Aさん本人は、

「別に……私はそんなに気にしてないけどね。その場でごめんって言われたし」

と、あまり深刻には捉えていない様子でした。

とはいえ、顔にあざができるほどの出来事です。

私はBくんにも事情を確認しました。

よくよく聞くと、ヒーローの真似をして振り回しているうちに、近くにいたAさんに当たってしまったとのこと。

事実関係を確かめたうえで、Bくんは改めてAさんに謝りました。

そして職員室にも、

「昨日、こういうことがあったようです。もしかすると、お父さんがいらっしゃる理由はこの件かもしれません」

と共有しました。

お父さんが学校に来た理由

その後、Aさんのお父さんは実際に学校へやってきました。

私は授業があったため直接話をすることはできませんでしたが、後ほど校長から様子を聞きました。

校長が、すでに担任である私がAさんとBくん双方から事情を確認し、対応していることを伝えると、お父さんは

「対応してくれたんならいい。娘が心配だった」

と話したそうです。

理由を告げずに「今から学校に行く」と聞いたときには、一体何があったのだろう、私が何かしてしまったのでは……と、正直気が気ではありませんでした。

けれど、そこにあったのは純粋に娘を心配するお父さんの気持ちでした。

子どもが気にしていなくても、家族にとっては大きなこと

今回印象に残ったのは、Aさん本人とお父さんの受け止め方の違いでした。

Aさん自身は「そんなに気にしてない」と話していましたが、顔には実際にあざができていました。

本人がそれほど気にしていないように見えても、家に帰ってその姿を見た家族が心配するのは当然のことでしょう。

そして教員側も、学校で起きたことをすべて把握できているとは限りません。

登下校中の出来事ならなおさらです。

今回のように、いつもと違う連絡や小さな違和感があったときには、まず子どもの話を聞いて、事実確認をする。

この出来事は、そんな当たり前だけれど大切なことを、改めて感じた経験でした。



ライター:みずいろ文具
関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ