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「まだ切れていないから大丈夫」と先延ばしにした30代男性、高速道路で「キュルキュル」が鳴り止まなくなった顛末

  • 2026.10.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

車の異音や部品の劣化を指摘されても「今すぐ壊れるわけではないだろう」と修理を先延ばしにしてしまうことはないでしょうか。しかし、普段の運転で問題がなくても、長距離走行中に突然トラブルが発生する可能性はあります。

今回は、補機ベルトの劣化を指摘されながら交換を後回しにした結果、友人との遠出で思わぬトラブルに見舞われた、筆者の友人であるIさん(30代男性)の体験を紹介します。

「まだ切れていないから大丈夫」交換を先延ばしにした理由

Iさんは以前、愛車の点検を受けた際、整備工場で補機ベルトのひび割れや劣化を指摘されました。補機ベルトとは、エンジンの回転を利用して、オルタネーターなどの補機を駆動するベルトです。車種やベルトの構成によっては、冷却系統などにも関係する重要な部品です。

整備士から交換を勧められたIさんでしたが、当時は出費をできるだけ抑えたい事情がありました。

「ベルトはまだ切れていないし、普段は普通に走れているから、もう少し使えるんじゃないかと思ったんだよね」

そう話すIさん。実際、近所への買い物など短距離の運転では、特に大きな問題は起きていませんでした。車の修理には、まとまった費用がかかることもあり、すぐに不具合が出ていない部品の交換をためらう気持ちは理解できます。また、専門的な知識がなければ、整備士の説明を聞いても、どの程度急いで対応すべきなのか判断しにくいものです。

「本当に今すぐ交換が必要なのだろうか」「少し様子を見ても大丈夫ではないか」と考えてしまう人もいるでしょう。

Iさんも、こうした事情から交換をイベント後まで先延ばしにしました。しかし、ベルトが切れていないことと、正常に機能し続けられることは別の話だったのです。

高速道路で「キュルキュル」異音が大きくなり、走行を断念

イベント当日、Iさんは友人を乗せ、県外の会場へ向けて高速道路を走っていました。しばらくすると、エンジンルームから「キュルキュル」という音が聞こえてきたといいます。

「最初は少し音がしただけだったんだ。でも、しばらくしたら聞こえなくなったから、気のせいかなと思ってしまって」

ところが、走行を続けていると再び異音が発生。今度は音が大きくなり、その後、エンジン周辺に異常が現れました。このまま走り続けるのは危険だと判断したIさんは、安全を確保できる場所に停車。ロードサービスを利用して車を搬送することになりました。

点検の結果、補機ベルトの損傷が確認され、周辺部品への影響も含めて詳しく調べる必要性が判明しました。補機ベルトが破損すると、オルタネーターが駆動できなくなり、発電に支障が出る場合があります。また、車種やベルトの構成によっては、冷却系統に影響し、オーバーヒートにつながる可能性もあります。確かに、ベルトの劣化が指摘されていても、直ちに走行不能となるとは限りません。しかし、異音が一時的に消えたからといって「原因が解消した」と判断するのは危険なのです。

気になるのは修理費です。今回のIさんの具体的な請求額は確認できていませんが、補機ベルトの交換費用は、一般的に部品代と工賃を合わせて数千円〜2万円程度が目安です。車種や作業内容によっては、それ以上かかることもあります。

さらに、レッカー搬送費や周辺部品の交換費用が加われば、負担は大きくなります。ロードサービスの利用条件によって搬送費が補償される場合もありますが、予定していたイベントを楽しめなくなったことも、Iさんにとって痛い結果でした。

異音が消えても安心しない!ベルトの異常を見逃さないために

今回の出来事を振り返り、Iさんは「いつも通り走れていたから、交換を後回しにしてしまった。遠出する前に対応しておけばよかった」と話していました。

補機ベルトの異常を早めに把握するには、普段から車の音や状態に注意することが大切です。例えば、エンジンを始動した直後だけ「キュルキュル」と鳴る場合は、ベルトの劣化や張り具合、プーリーなどの状態が関係している可能性があります。雨の日や湿度の高い日に音が出やすい場合もありますし、アクセルを踏んだときやエアコンを作動させたときに異音が発生するケースもあります。

ただし、似たような音でも原因はひとつとは限りません。音の種類だけで自己判断せず、発生するタイミングや天候、エアコンの使用状況などを記録して整備工場に伝えると、原因の特定に役立ちます。ベルトにひび割れやほつれ、摩耗などが見られる場合も、点検を受ける目安になります。なお、エンジンルーム内には回転する部品があるため、エンジンが動いている状態で手や工具を近づけるのは厳禁です。目視での確認も安全を確保できる範囲にとどめ、不安があれば整備士に任せましょう。

また、整備工場で劣化を指摘されたときは、交換の緊急性や、どの程度の期間・距離なら走行できる見込みなのかを具体的に確認することも重要です。費用が気になる場合は、見積もりを出してもらい、必要な作業の優先順位について相談する方法もあります。

異音が出たり消えたりする状態を放置せず、原因を確認して計画的に整備することが、結果的に余計な出費を防ぐことにもつながります。Iさんのケースでは、短距離走行で問題が起きなかったことが油断につながり、長距離走行中のトラブルを招いてしまいました。「まだ切れていないから大丈夫」と考えるのではなく、異常のサインを見逃さず、早めに対応することが大切です。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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