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「銀杏は切れません」下水管に伸びたお隣の銀杏の根。だが、下水管の写真を見たあとに選んだ方法

  • 2026.9.30

実家の下水管に入り込んでいた、お隣の銀杏の根

実家で一人暮らしをしている母から電話があったのは、春先のことでした。台所の水の流れが悪く、庭の排水ますのあたりから、いやなにおいもするというのです。

週末に実家へ帰り、業者さんに見てもらいました。すると、お隣の庭にある大きな銀杏の根が、敷地の境目を越えて実家側まで伸びていることが分かりました。

下水管の傷んだ部分から細い根が入り込み、管の中にまで広がっていたのです。

修理を終えたあと、私は母と二人でお隣を訪ねました。出てきたのは70代くらいの奥さんで、母とは長い付き合いがあります。

「すみません。銀杏の根が、うちの下水管の中まで入っていたそうなんです。伐採か移植は難しいでしょうか」

奥さんは困ったような顔をして、少し黙りました。

「ごめんなさいね。でも……銀杏は切れません」

亡くなったご主人が植えた大切な木なのだと聞き、母もそれ以上は強く言えませんでした。

ところが1年後、また同じ場所で下水の流れが悪くなりました。業者さんに確認してもらうと、再び根が管の中に入り込んでいました。

母ともう一度お願いに行きましたが、奥さんは前と同じように言いました。

「本当に申し訳ないけど……銀杏は切れません」

見積もりに来てくれたのは、前回と同じ50代くらいの男性の業者さんでした。私がこれまでの経緯を話すと、少し考えてから言いました。

「修理の日、お隣の方にも見てもらえませんか。実際の状態を見ていただいたほうが分かりやすいと思います」

業者さんが見せた、配管の中の一枚

修理の日、母が声をかけると、奥さんも庭先まで来てくれました。

業者さんは掘り返した地面のそばで、配管の中を撮った写真を一枚見せました。管の内側には、細い根が何本も入り込んでいます。

奥さんは写真をのぞき込みました。

「こんなに入っていたんですか……」

業者さんはうなずきました。

「管に傷んだ部分や隙間があると、そこから根が入り込んで広がることがあります。このまま根が伸びれば、お宅側の配管でも同じようなことが起きる可能性はあります」

奥さんの表情が変わりました。

「……うちの配管にも?」

「可能性はありますね」

しばらく写真を見ていた奥さんが、今度は業者さんに尋ねました。

「木を切らないで済む方法は、ないんでしょうか」

「境目に根止めを入れて、こちら側へ根が伸びにくくする方法はあります」

奥さんは何度かうなずき、業者さんから名刺を受け取りました。

銀杏を残したまま選んだ方法

翌月、お隣は同じ業者さんに頼み、実家との境目に根止めを入れる工事をしました。

工事の朝、奥さんは母のところへ来て、これまでのことを丁寧にわびてくれたそうです。

あれから、実家では同じ下水管のトラブルは起きていません。

秋になると、お隣の銀杏は今も塀の上まで黄色く色づきます。

ある日、落ち葉を掃いていた母に、奥さんが塀越しに声をかけました。

「今年も葉っぱ、ごめんなさいね。根っこのほうは、もう大丈夫だから」

母も「大丈夫ですよ」と笑って返したそうです。

大切な銀杏を切らずに済み、母も安心して暮らせるようになりました。写真を一枚見てもらったことで、ようやくお互いが納得できる方法を探せた出来事でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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