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「今日の服は派手だね」と毎朝のように声をかける店の女性。お気に入りの服を着た私が立ち止まった瞬間

  • 2026.9.30
「今日の服は派手だね」と毎朝のように声をかける店の女性。お気に入りの服を着た私が立ち止まった瞬間

店先から飛んでくる声

学生だったころ、私は授業のある日は週5日、同じ道を通って駅へ向かっていました。

途中には、野菜や日用品を店先に並べた小さな店があり、60代くらいの女性が一人で切り盛りしていました。

ある朝、黄色いカーディガンを着て店の前を通ると、女性から声をかけられました。

「今日の服は派手だね」

私は少し驚きましたが、悪気があるとは思わず、足を止めました。

「春っぽい色にしてみたんです」

すると女性は私の服を見ながら言いました。

「この辺じゃ、そんな色を着てる人はあまりいないよ。目立つから、気をつけたほうがいいんじゃない?」

それからも、店の前を通るたびに服のことを言われるようになりました。

スカートの丈、靴の色、髪留め。多い日は、短いあいだに2度、3度と続くこともありました。

最初は笑って受け流していました。けれど次第に、朝クローゼットを開けると店の前を通ることを考えるようになりました。気に入って選んだ服を戻し、目立たない色へ着替えた朝もあります。

赤いワンピースで立ち止まった朝

ある朝、私はアルバイト代を貯めて買った赤いワンピースを着て家を出ました。

自分で選んだ、気に入っている服でした。

店の前まで来ると、やはり声が飛んできました。

「あら、今日の服は派手だね」

いつもなら笑って通り過ぎるところでしたが、その日は足を止めました。

「この服、自分で選んで気に入ってるんです。行ってきます」

できるだけ普通に伝えたつもりでしたが、言い終えたときは少し緊張していました。

女性は何か言いかけましたが、はたきを持ったまま黙りました。私は軽く頭を下げ、そのまま駅へ向かいました。

夕方、台所にいた母に朝のことを話しました。

母は手を止めました。

「そんなに言われてたの?」

「うん。でも今日、初めて言った。自分が気に入ってる服だからって」

少し考えたあと、母は言いました。

「明日、あのお店で買い物してくるね。私からも少しだけ話してみる」

翌日、母は店で玉ねぎと洗剤を買い、会計のときに女性へこう伝えたそうです。

「娘、あの服を気に入ってるんです。本人が好きで着ているので、服のことはそっとしておいてもらえると助かります」

女性は一度母を見てからレジに目を落とし、「…そう」とだけ答えたそうです。母によると、隣で野菜を選んでいた近所の女性も、小さくうなずいていたとのことでした。

翌朝、聞こえてきたのは

その翌朝、私はもう一度、赤いワンピースで家を出ました。

店の前を通ると、女性はこちらを見ました。少し身構えましたが、聞こえてきたのは服への言葉ではありませんでした。

「行ってらっしゃい」

「行ってきます」

そう返して、私は駅へ向かいました。

それ以来、服について何か言われることはなくなりました。週5日通る同じ道で、店先から聞こえるのは、短い挨拶だけになりました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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