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教習生「しっかり加速できました!」路上教習の1時間目、戻った指導員が青ざめて…「どんな教習をしているんだ!」

  • 2026.10.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

教習所の技能教習には、所内のコースで学ぶ第1段階と、仮免許を取ってから公道を中心に学ぶ第2段階があります。各段階の最後に行うのが、次の段階へ進めるか、卒業して一人で良好な運転ができるかを確認する「みきわめ」。

第1段階のみきわめは、修了検定(仮免許を取るための検定)を受けられる技能が身についているかを、指導員が確かめる教習です。
今回は、みきわめでの一言をきっかけに、路上教習の初日に思わぬ出来事が起きたエピソードをご紹介します。

先輩指導員のアドバイスでみきわめをクリア

当時の私は、指導員になったばかり。担当していた教習生・Aさんのみきわめを規定上まだ行えなかったため、先輩指導員・Bさんに交代してもらいました。

Aさんが悩んでいたのは、加速の弱さ。直線でもアクセルを怖がって踏めず、速度がなかなか上がりません。狭いコースで、しかも運転操作に慣れない状態だと、加速に恐怖を感じることもあるでしょう。

操作面では、路上を見越したメリハリのある走行も目標とします。走るところは走る、速度を落とすべきところは落とす。このポイントをしっかりと判断して運転することが、円滑な交通につながります。

そこでB先輩が掛けたのが、「目いっぱいアクセルを踏む気分で走ってみて!」という一言です。Aさんはこのアドバイスで加速のコツをつかみ、みきわめを無事に終えて、修了検定にも合格しました。

「目いっぱい」は、アクセルを怖がる教習生に思い切りよく踏んでもらうための言葉。ほかの車や歩行者がいない、所内の直線コースだからこそのアドバイスです。本当に床まで踏み込むことを求めたわけではありません。

路上1時間目、戻ってきた指導員の顔色

迎えた路上教習の1時間目。担当したのは、たまたまスケジュールに空きのあった別の指導員でした。教習を終えて戻ってくるなり、その指導員が顔色を変えて駆け込んできました。

「路上に出た瞬間、アクセルを床まで踏み込んでたよ!どんな教習をしているんだ!」

Aさんに理由を尋ねると、返ってきたのは晴れやかな答えでした。「Bさんに『目いっぱい踏め』と言われたので、しっかり加速できました!」と、満足げな表情を浮かべています。

確かに、これでは危険な運転につながるでしょう。話を聞いて、思わずひやりとしました。自分としてはそんな指導をしていなかったものの、その指導員には平謝りでした。

床までの踏み込みは何が危ないのか

免許を持っていない方は、「言われたとおりに踏んだのに、何が悪いの?」と思うかもしれません。

問題は、AT車(オートマチック車)でアクセルを床まで踏み込んだときの急加速です。自動で低いギア(大きなギア比)に切り替わり、一気に勢いを増す仕組み。前の車との距離が急に縮まれば、追突の危険も高まるでしょう。同乗者の車酔いにもつながりかねません。

所内と公道では求められる操作が違いますが、初心者の教習生にはまだその違いを判断できず、指導員側の言葉足らずでもあったのです。

安全でスムーズなペダル操作のコツ

幸い事故には至らず、Aさんには公道での踏み込み加減を改めて学んでもらいました。

ペダル操作の基本は、かかとを床につけ、アクセルを少しずつ踏み込むことです。つま先で探るように、じわじわと力を加えていくイメージ。これをベースに、交通状況に応じてペダルを踏む強さを調整しながら走行します。

ブレーキも同じように、「急」の付く操作(急ブレーキなど)は控えましょう。かかとを床から離し、足の指の付け根でペダルの真ん中をじわりと踏むのがコツです。一気に踏み込めば、後続車に追突される可能性があります。

ブレーキを軽く掛けるためのもう一つのコツは、停止することが分かったら早めにアクセルから足を離すこと。その分、停止までの距離に余裕が出ます。

「早く操作しなければ」という焦りは、極端な操作を招きがちです。道路の幅や交通量、天候に合わせて調整し、常に車を安心してコントロールできる状態で走りましょう。

高速道路での合流や、交通量が多く広い道路では、時には力強い加速が必要になります。今回の「目いっぱい」は、所内の直線で慎重すぎる教習生の背中を押すために、先輩が掛けた言葉でした。免許を取ってから、この言葉を額面どおりに受け止めることはないかもしれません。

ただし、その場の状況に合わせて操作を加減することは、どのような交通場面でも必要です。それが、公道を安全に走るための大切な力になります。


ライター:ちだてつし
自動車教習所の指導員・技能検定員として、23年間にわたり現場で安全運転の指導・検定を担当。現在はその専門知識と現場での実務経験を活かし、安全運転やドライブテクニックに関するWebライターとして活動中。また、ペーパードライバーや外免切り替えの事業を展開し、運転に自信のないライダーを対象に、実践的なツーリングを通して運転技術を身につける「日本ツーリングサポート協会」を設立・運営。「安全で楽しいカー&バイクライフ」を伝える発信を行っている。日本二輪車普及安全協会の二輪安全運転指導員として活躍中。


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