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バンパーはピカピカなのにボディは白っぽい? 自動車塗装のプロが教える「磨き」で直る車と直らない車の違い

  • 2026.11.2
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

街を歩いていて、看板の文字や絵の色が薄くなっているのを見かけたことはありませんか。車でも、以前より色が薄く感じられたり、ボディが白っぽく見えたりすることがあります。

こうした変化は、必ずしも磨くだけで直るとは限りません。自動車塗装の生産技術に携わった筆者が、街で見かけた車を入口に、車の色やつやが変化する仕組みと、状態に合った補修の考え方を解説します。

バンパーはピカピカなのに、ボディは白っぽい

筆者が見かけた赤い車は、バンパーとボディで色の鮮やかさやつやに違いがありました。同じ赤い車の一部でも、ボディのほうが白っぽく、色あせたように見えたのです。

バンパーだけにつやが残っていた理由として考えられるのが、ボディとの塗装の違いです。一般に、金属製ボディと樹脂製バンパーでは、素材に合わせて塗料や塗装条件を使い分けています。そのため、同じ赤色でも、劣化の進み方や見え方が異なる場合があります。

車の塗膜は、紫外線や熱、水などの影響を受けます。紫外線を吸収した樹脂などの成分では、酸素と反応して分解する「酸化分解」が進み、色やつやの変化につながります。また、樹脂の種類によっては、水が化学結合を切る「加水分解」も起こります。熱はこうした反応を促し、塗膜の劣化を進める要因になります。

樹脂が劣化して表面が荒れると、光がさまざまな方向へ反射し、つやが失われたり、白っぽく見えたりします。また、顔料という色を付ける粒子自体が変化し、色が薄くなる場合もあります。

ただし、劣化のしやすさは色だけでは決まらないことに注意が必要です。同じ赤でも、顔料や樹脂の種類、塗装の構造、日当たりなどによって、色やつやの変化は異なります。

「白ボケ」に見えても、起きている現象は同じではない

塗装の色が薄くなったり、白っぽく見えたりしても、起きている現象は同じとは限りません。

色の鮮やかさが失われるなど、色あせする現象を「退色」といいます。顔料そのものの変化だけでなく、塗膜の表面の状態が変わることでも、色あせたように見える場合があります。

例えば、前述のように塗膜表面が荒れて白っぽく見える現象のほか、塗膜の成分が劣化し、表面が粉っぽくなる現象は「チョーキング(白亜化)」と呼ばれます。

さらに、クリア層の浮きや剥がれによって白っぽく見える場合もあります。クリア層は、色の付いた層の上に塗られる透明な上塗りで、つやを出し、下の塗膜を保護する役割があります。なお、車の塗装には、クリア層を重ねないものもあります。

クリア層が劣化すると、白く濁ったり、浮いたり、剥がれたりすることがあります。剥がれた部分では下の塗膜が露出するため、表面の荒れや粉化とは区別して、補修方法を考える必要があります。

磨きで整えられる表面と、再塗装が必要な状態

コンパウンド(研磨剤)による磨きは、塗装表面を少しずつ削って整える作業です。浅い傷や表面の荒れが原因なら、つやが改善する場合があります。

しかし、磨きは塗膜を新しく作り直す作業ではありません。剥がれて失われたクリア層を再生したり、変化した顔料そのものを元に戻したりすることはできません。強く磨きすぎると、残っている塗膜まで削りすぎて色むらや下の層の露出につながるおそれがあります。

自分の車で変化に気づいたら、まずは通常の洗車で汚れを落とし、乾いた状態で確認してみてください。白っぽさやつやの低下が残るのか、透明な膜が浮いたり剥がれたりしていないかを見ると、プロに相談する際にも状態を伝えやすくなります。

浮きや剥がれがある部分を無理にこすったり剥がしたりするのは避けましょう。板金塗装店やコーティング専門店で、磨きで改善できる範囲なのか、再塗装が必要なのかを事前に確認することが大切です。その際は、費用だけでなく、どの程度の仕上がりが期待できるかも聞いておくと、補修方法を選びやすくなります。

白っぽくなったボディを見て、すぐに研磨剤を手に取る前に、どのような変化が起きていて、磨きで改善できる状態なのかを確かめる。それが、必要以上に削らず、状態に合った補修を選ぶ第一歩です。


参考:目視こそ保全の要。塗膜調査における観察ポイントとは(関西ペイント)


筆者:jaco

大手自動車メーカーで、自動車の塗装ラインの構築に携わった。車体の塗装面に色むらや異物がないか、品質検査を行った経験もある。現在はITエンジニア兼Webライターとして、ものづくりの現場で得た経験を生かして執筆している。趣味はキャンプ、登山、旅行。フリーランス時代には年間50泊ほどのキャンプを楽しみながら、アウトドアやIT系の記事を執筆していた。


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