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「8万円くらいなら…」自動車保険2年目に2度目の事故…その後、50代男性が悔やんだ“誤算”

  • 2026.10.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「8万円くらいなら、自分で払っておけばよかった」

自動車保険の長期契約は、契約期間中の保険料が変わりません。途中で事故を起こして保険を使っても、満期までは同じ保険料を払い続けます。

「それなら、保険料を気にせず保険を使える」と考える人もいるのではないでしょうか。

今回は、3年の長期契約の2年目に2度目の事故を起こし、1年目の保険の使い方を振り返ることになった契約者の事例を紹介します。

「契約2年目」の事故の連絡

Aさん(50代・男性)から事故の連絡が入ったのは、Aさんの契約が2年目に入った頃のことでした。

Aさんは駐車場で、駐車していたBさん(40代・女性)の車に接触してしまいました。Bさんは事故当時車に乗っておらず、過失割合は100:0(Aさん:Bさん)となります。

損害額はBさんの車が約20万円、Aさんの車が約15万円でした。

Aさんの契約は3年間の「長期契約」です。加入時は20等級であったため、高い割引率が適用された状態で保険料を納めています。

車両保険は多くの事故形態が補償対象となる一般型(フルカバータイプ)。免責金額(保険を使うときの自己負担額)は設定していません。

Aさんが保険を使うのは、実は今回が初めてではありませんでした。1年目にも単独事故を起こし、約8万円の修理に車両保険を使っていたのです。その際は、私ではなく別の担当者が対応していました。

今回の事故の経緯を私に伝えたAさんは、次のように締めくくります。

「長期契約だから、等級が下がるのを気にせず使えるので助かりますね」

長期契約で変わらないもの、変わるもの

私はAさんに、改めて長期契約の仕組みを説明しました。

長期契約で変わらないのは、契約期間中の保険料。確かにそれはAさんの言うとおりです。

一方で、保険を使ったことによる等級ダウンがなくなるわけではありません。契約期間中の事故は、満期後の更新時にまとめて反映されます。

1年契約であれば、事故の翌年の更新で等級ダウンが保険料にあらわれます。長期契約では、その影響が満期後の更新まで先送りされるという違いです。

Aさんの場合、1年目と2年目の事故はいずれも3等級ダウン事故でした。2件で合計6等級下がる一方、無事故で過ごした年の分は等級が1等級上がります。3年目を無事故で過ごした場合、満期後は20等級から15等級になる見込みです。

「長期契約だからって、使い放題ってわけじゃないんですね」

Aさんはそう言い、話は1年目の事故へとさかのぼりました。

1年目の修理費と上がる保険料

Aさんの保険料で試算すると、等級ダウンが反映されてからの3年間で、無事故だった場合と比べて保険料は累計約8万円上がる見込みです。

一方、1年目の単独事故でAさんの車にかかった修理費も約8万円。受け取った保険金と、その後増える保険料がほぼ同じ金額でした。

もちろん、修理費をすぐに自己負担するのが難しい場合など、保険を使うメリットはあります。将来の保険料が上がるとしても、目の前の損害を保険でまかなうという選択肢は十分考えられます。

ただ、Aさんの場合は、約8万円の修理費を自分で負担するか、保険を使ってその後約8万円多く保険料を支払うかという選択でもありました。

私はAさんに、1年目の事故を担当した社員から保険料への影響について説明がなかったか尋ねました。

「おそらく説明はされていたと思います。でも、よく理解しないまま、使えるものは使えばいいと考えていました」

2年目は保険を使うべきだったのか

では、2年目の今回の事故も、保険を使わないほうがよかったのでしょうか。

1年目との大きな違いは、Bさんという相手方がいることです。Bさんの車には約20万円の損害が出ており、Aさんにはこの損害を賠償する必要がありました。

また、同じ事故で対物賠償責任保険と車両保険をあわせて使っても、それぞれ別に等級が下がるわけではありません。今回の事故では、両方を使っても3等級ダウンです。

Bさんの車の損害は約20万円、Aさんの車は約15万円で、あわせて約35万円。Aさんの契約で保険料への影響を試算すると、今回は保険を使うメリットがあるケースでした。

つまり、1年目と2年目では、同じ「保険を使う」という選択でも意味に違いがあるのです。

「保険の使いどころをもう少し考えておけばよかった」

私の説明の後、Aさんはそう話しつつ、今回は対物賠償責任保険と車両保険の両方を使う判断をしました。

免責金額の回数は保険年度ごとに数える

Aさんの車両保険に免責金額はありませんでしたが、長期契約では免責金額の数え方にも注意が必要です。

免責金額には、事故の回数によって「1回目は5万円、2回目以降は10万円」のように金額が変わる設定があります。

長期契約でも、一般的な自動車保険ではこの回数は保険年度ごとに数えます。1年目に事故を起こしていても、2年目に入って最初の事故なら「2年目の1回目」という扱いです。

等級への影響は満期後の更新時にまとめて反映される一方、免責金額の回数は保険年度ごとに区切られます。長期契約だからといって、事故の回数をすべて契約期間全体で数えるわけではない点もあわせて覚えておきたいところです。

長期契約でも「保険を使うか」は考えたい

長期契約には、更新の手間が減ることに加えて、契約期間中の保険料が変わらないというメリットがあります。

自動車保険の保険料が上昇している今、このメリットは以前より感じやすい状況です。昨今の物価の上昇などを背景に保険料の引き上げが続き、各保険会社が保険料を決める際の目安となる「参考純率」は、平均14.4%に引き上げられました。

Aさんは、1年目の事故を振り返り「8万円くらいなら、自分で払っておけばよかった」と話していました。長期契約だからこそ、事故後すぐには見えにくい保険料への影響があります。契約期間中の保険料だけでなく、損害額や満期後の等級・保険料まで踏まえたうえで、保険の使いどころを考えることが大切です。


ライター:スライカズヤ
保険・自動車分野を専門とするライター。損害保険会社で事案担当者として10年間、示談交渉・損害査定・自動車修理の協定業務に携わり、数多くの事故対応の現場に立ってきた。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所 本科講座修了。専門性の高い知識を、正確に、分かりやすく伝えることを信条とし、「当事者にならないとわからない」事故と保険のリアルを読者に届ける。


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