1. トップ
  2. 暮らし
  3. 「今すぐ走れなくなるわけじゃないし…」整備工場で注意された40代男性が直面した“想定の3倍”の修理費

「今すぐ走れなくなるわけじゃないし…」整備工場で注意された40代男性が直面した“想定の3倍”の修理費

  • 2026.10.23
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

家族との旅行を目前に控え、車の修理を勧められたら、あなたならどうするでしょうか。すぐに走行できなくなるわけではなく、旅行の準備にもお金がかかるとなれば、「帰ってから直せばいい」と考えてしまう人もいるかもしれません。

今回は、ドライブシャフトブーツの破損を指摘されながら修理を先延ばしにし、旅行中に異音が発生したという、筆者の知人である40代男性のUさんの体験談を紹介します。

「旅行から帰ってからでいい」修理を先延ばしにしたUさん

Uさんは妻と子どもを連れて、県外へ家族旅行に出かける予定でした。出発前、整備工場で点検を受けた際、整備士からドライブシャフトブーツの破損を指摘されたといいます。

「ブーツが破れていて、グリスが漏れています。このままでは車検に通らず、整備不良に該当する恐れがありますから、乗り続けずに早めに修理したほうがいいですよ」

そう説明されたUさん。しかし、旅行は目前に迫っていました。宿泊先や交通費など、出費が重なる時期でもあります。

「今すぐ走れなくなるわけじゃなさそうだし、旅行から帰ってきてから直せばいいかなと思ったんです」

Uさんはそう振り返ります。

もちろん、整備士の説明を聞いていなかったわけではありません。ただ、それまで運転中に目立った異常を感じておらず、ブーツの破損がどのようなトラブルにつながるのかも、危険性が理解できていなかったそうです。こうしてUさんは、修理を後回しにしたまま家族旅行へ出発しました。

高速道路を走った帰り道、ハンドルを切ると異音が

旅行当日は高速道路を利用して目的地へ向かい、家族で観光を楽しんだUさん。往路では特に気になる症状もなく、目的地に到着しました。

ところが、帰路に入った頃から、車に異変が現れ始めます。カーブなどでハンドルを切ると、「カタカタ」「コキコキ」という音が聞こえるようになったのです。

「最初は小さな音だったんですが、だんだん気になるようになってきて。家族からも『この音、大丈夫?』と聞かれました」

Uさんは出発前に指摘されたブーツの破損を思い出しました。

「前から言われていたところだから、帰ったら直そうと思っていたんです。でも、音が大きくなってきたので、さすがに不安になりました」

異音が発生した場合、原因を自分で決めつけるのは危険です。Uさんは無理に走り続けることを避け、整備工場に相談。点検を受けることになりました。確認すると、破損したブーツから内部のグリスが失われ、ドライブシャフトの継ぎ手部分にも影響が及んでいることが判明したといいます。

ドライブシャフトは、エンジンやトランスミッションからの駆動力を車輪へ伝える部品です。その継ぎ手部分を覆うブーツには、内部のグリスを保持し、砂や水分などの異物が入り込むのを防ぐ役割があります。ブーツが破れたまま走行すると、グリスが飛び散り、潤滑不足や異物の侵入によって内部部品が傷む可能性があります。単なるゴム部品の破損と考えて放置すると、修理範囲が広がってしまうこともあるのです。

ブーツ交換だけなら安く済んだはずが、修理費は想定の3倍に

Uさんの場合、当初想定していたのはドライブシャフトブーツの交換だけでした。しかし、内部部品への影響が確認されたため、周辺部品も含めた修理が必要になり、最終的な費用は当初の見込みの約3倍に膨らんでしまいました。

ドライブシャフトブーツの交換費用は、車種や部品、作業内容によって異なりますが、一般的には片側1か所あたり1万円台〜3万円程度が目安です。一方、内部の継ぎ手やドライブシャフト本体の交換が必要になると、数万円から10万円以上になるケースもあります。実際の金額は、損傷の程度や新品・リビルト品などの選択によって変わります。

では、ブーツの破損を指摘されたら、どのような点に注意すればよいのでしょうか。まず確認したいのは、破損の程度と内部部品への影響です。ホイールの内側や周辺部品に黒っぽいグリスが飛び散っていないか、ハンドルを切った際にカタカタという異音が出ていないかなどは、異常を判断する目安になります。ただし、症状が出ていないからといって、内部が傷んでいないとは限りません。

整備工場では、ブーツの状態だけでなく、グリスの残量や継ぎ手部分の損傷、異音の有無なども確認してもらいましょう。修理内容や費用に疑問がある場合は、交換が必要な理由や、修理を延期した場合のリスクを具体的に説明してもらうことも大切です。

特に、長距離旅行や高速道路を利用する予定がある場合は、自己判断で修理を先延ばしにせず、出発前に整備工場へ相談してください。走行を続けてよいか判断できない場合は、無理に運転せず、整備士の指示に従いましょう。目立った異常がなくても、整備士から指摘された不具合には理由があります。目先の出費だけで判断せず、修理の必要性と安全性を確認することが、余計な出費を防ぎ、安心して車に乗り続けるための大切なポイントです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


【エピソード募集】運転中、駐車場で…「えっ!」と思った体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ