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妻「変な音してない?」家族旅行の帰り道、ブレーキから「ゴリゴリ」という異音…忠告を無視した40代男性の誤算

  • 2026.10.10
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

家族との旅行では、出発前の愛車の状態も気になるものです。しかし、普段問題なく走れていると、「このくらいなら帰ってから整備すればいい」と考えてしまうこともあるでしょう。

今回は、私が以前から付き合いのある40代男性のAさんから聞いた、ブレーキの異変を先延ばしにしたことで修理範囲が広がってしまった体験について紹介します。

「今は普通に走れるから」とブレーキ交換を先延ばし

Aさんは、妻と子ども2人の4人家族。あるとき、家族で遠方へ旅行する予定があり、出発前に愛車を点検してもらったそうです。

その際、整備士から「ブレーキパッドがかなり減っています。そろそろ交換したほうがいいです。無理して走ると他の部品まで傷がつく可能性がありますよ」と指摘されました。ただ、その時点ではブレーキが効かないわけでもなく、普段どおり運転できていました。

「旅行もあるし、出費が重なる時期だったんです。交換したほうがいいのは分かっていたんですが、『帰ってきてからでもいいかな』って」

ブレーキパッドの交換費用は車種や部品によって異なりますが、一般的には数万円程度で済むことが多いです。Aさんの場合も、当初はパッド交換だけなら数万円程度と見込まれていました。

しかし、「今すぐ走れなくなるわけではない」という状態だったことが、判断を先延ばしにする理由になってしまったようです。実際、旅行中は特に大きな異常もなく、Aさんは次第にブレーキのことを忘れかけていました。

帰り道、山道で「ブレーキの感じがおかしい」

ところが、問題が出たのは旅行からの帰路でした。山道や市街地を走るため、行きよりもブレーキを踏む機会が増えていきました。

「なんか、ブレーキの感触が変かも…?」

運転していたAさん自身も、ペダルを踏んだときの感触に違和感を覚えるようになったそうです。さらに、しばらくすると「キーッ」や「ゴリゴリ」というような異音まで聞こえてきました。

すると、助手席にいた妻からも、

「大丈夫なの?さっきから変な音がしてない?」

と心配されたといいます。それでもAさんは、「旅行に出る前は普通に走れていたし、大丈夫だろう」と考えてしまいました。

ただ、ブレーキは「完全に効かなくなったら修理する」という部品ではありません。ブレーキパッドの摩耗が進めば、パッドだけでなく、ブレーキローターなど周辺部品にも影響が及ぶ可能性があります。

帰宅後、改めて点検してもらったところ、Aさんの車はブレーキパッドだけでなく、ローター側にも損傷が確認されました。結果としてパッドだけの交換では済まず、ローターも交換することに。

最終的な修理費は約8万円。数万円程度を想定していた整備が、交換部品の増加によって大きな出費になってしまいました。

「止まれるから大丈夫」が一番危険 異変があれば早めの点検を

今回のAさんのケースで注意したいのは、「旅行前の時点では普通に走れていた」ということです。

整備士から交換を勧められた時点で、すぐに走行不能になるような状態だったわけではありません。そのため、Aさんがそのまま旅行に出てしまったことを単純に責めることはできないでしょう。車の整備を後回しにしてしまう背景には、費用の問題もあります。旅行や生活費など別の出費が重なっていたりすれば、整備を先延ばししたくなる気持ちは理解できます。

ただし、ブレーキに関しては、少しでも気になる症状が出たら早めに確認することが大切です。たとえば、ブレーキを踏んだ際に「キーキー」「ゴリゴリ」などの異音がする、以前よりペダルを深く踏まないと効かない感じがする、ペダルやハンドルに振動が伝わる、ブレーキをかけた際に車が左右どちらかへ流れる、といった症状がある場合は注意が必要です。

また、ブレーキパッドの残量だけでなく、ローターの摩耗や傷、ブレーキフルードなど、周辺部分まで含めて点検してもらうことも重要です。特に旅行や帰省などで長距離を走る予定があるなら、普段よりブレーキを使う機会が増えることも考えて、出発前に状態を確認しておきたいところです。

Aさんも、「あのとき数万円の交換で済ませておけばよかった」と振り返っていました。「走れるから大丈夫」ではなく、「今の状態なら安心して走れるのか」を整備士に確認する。結果的にそれが、余計な修理費を抑えることにもつながるのです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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