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「何の落ち度もないのに…」過失割合0:100の事故で愛車が“全損”→20代男性が告げられた“提示額”に絶句

  • 2026.10.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

自分にまったく落ち度のない事故で愛車が壊れたら、乗り換えを考える人も少なくないでしょう。しかし、購入時の金額と事故後に提示される補償額には差が生じることもあります。

買い替えを希望しても、補償額だけでは次のクルマの購入費用を十分にまかなえず、予算に合わせて中古車を探すことになる――。Dさん(20代・男性)も、そんな状況に直面した一人でした。

過失割合は0:100なのに告げられた「全損」

Dさんは交差点で相手のクルマに衝突される事故に遭いました。事故状況から過失割合はDさんが0、相手が100。Dさんのクルマはレッカー搬送されました。

来店されたDさんは「乗り換えも考えたいので、保険会社へその旨を伝えます」と話していました。

ところが数日後、再び来店されました。

「自分には何の落ち度もないのに、どうしてこんなことになるんでしょうか……」

話を聞くと、相手の保険会社から「車両価値は30万円なので、補償できるのは30万円までです」と連絡があったそうです。

Dさんは、相手が不足分を自費で支払ってくれないか、とも考えたそうです。しかし、相手に追加の負担を求めるのは簡単ではありません。

そこで、提示された補償額をもとに買い替えを検討することにしました。ところが、Dさんの愛車は軽自動車だったものの、30万円の予算で探しても、納得できる程度のクルマはなかなか見つかりません。中古車を探し続けるうちに、すっかり疲れてしまったそうです。

自分に落ち度がない事故なのに、買い替えの予算に悩み、次のクルマ探しにも苦労することになったDさん。では、なぜ保険会社は30万円までしか補償できないと説明したのでしょうか。

修理できても全損?知っておきたい仕組み

保険会社から全損と言われると、クルマが修理できない状態を想像するかもしれません。ただ、ここで言う全損は、経済的全損です。これは、修理自体は可能でも、修理費が事故当時のクルマの時価額を上回る状態を指します。

たとえば、事故時点での車両の時価額が30万円で、修理費が50万円かかるとしましょう。修理費のほうが20万円高くなります。このような場合、原則として車両本体の損害賠償額は時価額が基準となり、修理費50万円の全額が認められるわけではありません。

これは、被害者に責任(過失)があるから減額されるわけではなく、損害賠償には「事故によって生じた損害(=当時の車両価値)を金銭で評価する」という原則があるためです。

また、車両の時価額は購入時の金額や持ち主が感じる愛着だけで決まるものではありません。事故時点の年式や車種、使用状態、中古車市場の取引価格などを踏まえて判断されます。

長く大切に乗ってきたクルマでも、時価額が低く評価されれば、修理費や買い替えに必要な金額との間に大きな差が生じるのです。

ただし、損害賠償の対象は車両本体の時価額だけとは限りません。買い替えに伴う登録費用など、事故との関係が認められる費用が別途補償される場合もあるため、提示された金額に疑問があれば、何が含まれているのか確認することが大切です。

相手の保険に付帯されていれば修理費の差額を補えることも

経済的全損となった場合に知っておきたいのが「対物超過修理費用特約」です。

この特約は、事故の相手、つまり加害者側の自動車保険に付帯されるものです。被害者自身の保険に付ける特約ではないため、相手方の保険に付帯されているかを確認しましょう。

相手方の保険にこの特約が付帯され、契約で定められた条件を満たす場合には、車両の時価額を超える修理費についても、一定の限度額まで補償されることがあります。

たとえば、時価額が30万円のクルマに50万円の修理費がかかる場合、差額の20万円も特約によって補償されることがあります。ただし、支払限度額や修理の時期など、適用条件は契約によって異なります。

注意したいのは、この特約が修理費用を補うためのものだという点です。買い替えを選んだ場合、時価額を超える修理費用が、新しいクルマの購入費用として支払われるわけではありません。

Dさんのように、修理するか買い替えるかで悩む場合は、相手方の保険にこの特約が付帯されているかを確認し、適用条件も含めて修理と買い替えの費用を比較することが大切です。また、万が一に備え、ご自身の車両保険にも「車両超過修理費用特約」等をつけて自衛しておくことを検討するのも良いでしょう。

0:100の事故でも希望どおりとは限らない!補償内容を確認しよう

Dさんは、保険会社と交渉し、車両本体の補償額に加えて買い替えに伴う費用も追加で補償してもらいました。しかし、次のクルマの購入費用には届かず、不足分は自己負担となりました。それでも、買い替えを選択したそうです。

自分に過失がない事故でも、必ずしも希望どおりの補償を受けられるとは限りません。

だからこそ、提示された金額の内訳や補償内容を確認し、修理と買い替えの費用を比較しながら、納得できる方法を選びましょう。


ライター:河野みゆき
自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


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