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「売っていいとは言っていない」自分の土地なのに…隣に住む父が猛反対→30代男性が直面した“想定外の事態”

  • 2026.11.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

地方の不動産会社で売買仲介の営業をしている平田です。土地を売る際には、隣の土地との境界をはっきりさせるための「確定測量」を行うのが一般的です。境界の確認は隣地の所有者と行いますが、実際の作業では、所有者以外の家族や近所の方が関わることもあります。

今回は、名義も手続きも問題がなかったにもかかわらず、隣に住む父の反対で測量が止まってしまった事例を紹介します。

父から名義を移された土地を売却へ

Tさん(30代・会社経営)は、何年も前に父から名義を移された土地を所有していました。土地の隣には、Tさんの両親が暮らす家があります。ただし、この家と土地の名義はTさんの姉で、姉自身は別の場所に住んでいます。

使う予定がなく固定資産税もかかるため、Tさんは土地を売ることを決め、当社にご依頼いただきました。このとき、Tさんは父との関係があまりよくなく、売却のことは特に話していなかったそうです。

ほどなくして買主が決まり、確定測量を行うことに。確定測量とは、土地家屋調査士(土地の境界や面積を調べて登記する専門家)が隣の土地の所有者と境界を確認し、面積を確定させる測量のことです。隣地の所有者である姉とは、Tさんがあらかじめ話をつけていたため、境界の確認は問題なく終わりました。

境界に杭を打っていると、隣の家から父が

後日、調査士が現地で境界杭(境界の位置を示す目印)を設置していると、隣の家から父が出てきて「なにをしているのか?」と声をかけてきました。調査士が「Tさんからのご依頼で、土地の売却に向けた測量をしています」と説明すると、父の表情が一変します。

「ここを売るとは聞いていない。もともとは自分の土地だ。登記で息子の名前になっていても、売っていいとは言っていない」

調査士は登記事項証明書(登記の内容を証明する書類。「謄本」とも呼ばれる)を見せ、Tさんが所有者であること、測量が進まなければ契約や引き渡しにも影響することを丁寧に説明しました。しかし、父に納得してもらうことはできませんでした。

法律上は関係がなくても、作業は止まった

売る土地の所有者はTさん、隣の土地の所有者は姉です。父はどちらの所有者でもなく、売却にも境界の確認にも、法律上の同意は必要ありません。それでも、目の前で強く反対されるなかでは、作業を続けられませんでした。測量が遅れたことで、契約と引き渡しの予定も大幅にずれ込むことになります。

最終的には、Tさんと母が時間をかけて父を説得しました。母が「お父さん、もうTの土地なんだから」と繰り返し話したこともあり、父もようやく了承。境界杭の設置を終え、無事に売却できました。

名義に関係なく、家族には先に話しておく

家族や親族が関わってきた土地を売るときは、名義に関係なく、査定や測量の前に事情を説明しておくことが大切です。また、確定測量の前には、隣地の所有者だけでなく、実際にそこで暮らしている人にもあいさつをしておくと、作業がスムーズに進みやすくなります。

なお、隣地の所有者の協力がどうしても得られない場合には、法務局の「筆界特定制度」(法務局が土地の境界を調べて示す制度)を使う方法もあります。ただし、これは境界の位置を決めるための制度です。今回のように、所有者以外の家族が反対しているケースを解決するものではありません。また、筆界特定制度は、結論が出るまでには時間がかかります。売却の予定を立てるときは、測量に時間がかかる可能性も見込んでおきましょう。

参考:
筆界特定制度に関するQ&A(法務局)
不動産登記法(e-Gov法令検索)



ライター:平田翔(宅地建物取引士)

大学卒業後、アパレルメーカーとブライダル関連会社でマネジメント業務に従事。その後、福岡のハウスメーカーへ転職し、約3年間、建売住宅の販売や土地の仕入れ・不動産調査業務を担当。現在は地場の不動産会社にて、中古物件・古民家の売買仲介、空き家の利活用サポート、移住相談などを行う。不動産の実務経験を活かし、不動産ライターとしても活動中。


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