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夫「失敗しました」2600万円中古戸建てを買った30代夫婦→2年後、市役所から届いた“1通の封書”に絶句【一級建築士は見た】

  • 2026.11.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「市役所から封書が届いて、『公共下水道の供用を開始しました。1年以内に接続の工事をお願いします』と書いてあって。接続の工事と受益者負担金で、約60万円の出費になったんです」

そう話すのは、一昨年の春に郊外の住宅地で中古の一戸建て(築18年・4LDK・延床約102㎡/土地約190㎡、約2,600万円)を買ったNさん(30代女性・会社員、夫と子ども1人の3人暮らし)です。結婚4年目の共働きで、子どもは1歳です。

家の排水は、庭に埋めた浄化槽(生活排水を敷地内で処理する設備)で処理していました。重要事項説明には「公共下水道:整備予定。供用開始後は接続が必要。受益者負担金あり」と書かれ、仲介会社の担当者は「2、3年で下水道が来ます。接続の工事と負担金で数十万円かかるので、その費用を見込まない買い方は、おすすめしません」と念を押しました。

帰り道、Nさんが「下水道が来たら、つながないといけないんじゃない?」と聞くと、夫は「浄化槽があるから当分いいよ。来てから考えればいい」と答えます。夫婦は予算に接続の費用を入れないまま、家を買いました。

浄化槽は、年に3回の保守点検と年1回の清掃、年1回の法定検査で、年に5万円ほどかかります。それでも「下水道より安く済んでいる」と思っていた今年の春、市役所から封書が届いたのです。

下水道が来たら、つなぐのは法律の義務

公共下水道の供用が始まると、下水道法でその区域の土地の所有者などは、遅滞なく排水設備を設けて下水を流すことが義務づけられています。くみ取り便所の家は、3年以内に水洗便所に改造する決まりです。浄化槽の家の期限は自治体によって異なり、1年以内とする市もあれば、合併処理浄化槽を適切に管理していれば申請で5年まで猶予する市もあります。

接続すると、浄化槽は使わなくなります。使用をやめる届け出をし、撤去するか、中を清掃して砂で埋め戻します。宅内の排水管を下水道のます(敷地内で排水を受ける箱)につなぎ直す工事と合わせて、費用は数十万円になることが多く、補助や融資のあっせんは自治体によって異なります。

もうひとつが受益者負担金です。下水道の整備で土地の利用価値が上がるため、都市計画法などにもとづき、土地の面積に単価をかけた額を、原則として土地の所有者が負担します。単価は1㎡あたり100円台から数百円まで自治体によって異なり、分割で納められるのがふつうです。

重要事項説明では、排水施設の整備の状況と、整備されていない場合の見通しや特別の負担を説明することが義務づけられています。Nさんの説明書にも「整備予定」「接続が必要」「受益者負担金あり」と書かれ、仲介の担当者は口頭でも費用を見込むよう伝えていました。夫婦は「浄化槽がある」の一言で、その先を深く考えないままでいたのです。

負担金7万6,000円と、接続工事52万円

封書の申告書で計算すると、受益者負担金は土地約190㎡に1㎡あたり400円で、約7万6,000円でした。市の指定工事店に頼んだ見積もりは、排水管のつなぎ直しとますの設置、浄化槽の撤去と埋め戻しで約52万円です。合わせて約60万円という、予算にない出費が発生したのです。

夫は「浄化槽のまま使えると思い込んで、失敗しました」と嘆いたそうです。

この夏、接続工事を終えました。受益者負担金は分割で納め、浄化槽の点検と清掃の費用はなくなり、代わりに毎月の下水道使用料を払う形に変わりました。Nさんの家では月3,000円ほどで、年額に換算すると浄化槽の維持費と大きくは変わりません。

夫は「聞かれたのに、来てから考えればいいと答えてごめん」と謝り、工事費の半分を自分の貯金から出しました。Nさんが市の窓口で確かめたところ、接続工事の補助は対象外でした。そのため、負担金の分割手続きはNさんが引き受けています。

「整備予定」の文字は、将来の出費

下水道がまだ来ていない地域は、土地が広くて価格も手頃なことが多く、合併処理浄化槽なら排水もきれいに処理できます。浄化槽のまま長く暮らす家も多く、それ自体は不便ではありません。

一方で、整備予定の区域では、接続の工事費と受益者負担金が、いつか来る出費です。だからこそ、重要事項説明にある「整備予定」の文字から将来の出費を予測し、予算に組み込んでおくことが欠かせません。

・下水道の供用が始まると、排水設備を設けて接続することが法律の義務。くみ取り便所は3年以内、浄化槽の家の期限や猶予は自治体によって異なる
・受益者負担金は土地の面積に単価をかけた額で、単価は自治体によって異なる。接続工事は排水管のつなぎ直しと浄化槽の撤去で数十万円。補助や融資のあっせんは自治体によって異なる
・重要事項説明では、排水施設の整備状況と、未整備なら整備の見通しと特別の負担が説明される。「整備予定」とあれば、接続費と負担金を予算に入れる
・浄化槽は保守点検・清掃・法定検査が義務で、維持費がかかる。接続したら使用をやめる届け出をし、撤去か埋め戻しをする

重要事項説明書の「排水」の欄に、整備予定の文字がないか一度見てみてください。

参考:
下水道法
(e-Gov法令検索)
下水道への接続は、必ず行わなければならないのですか。(千葉市)
受益者負担金(船橋市)
浄化槽の維持管理と法定検査について(山梨県)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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