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父の代から50年貸す土地を相続→満了で売ろうとした58歳…弁護士に相談して分かった“誤算”

  • 2026.11.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。親から相続した土地を使う予定がなければ「売却して現金に換えよう」と考える方も多いのではないでしょうか。

今回は、父親から相続した土地を売ろうとしたところ、その土地を借りている人から契約の更新を希望されてしまったエピソードを紹介します。

契約の期間が終わるのを機に土地を返してもらおうとした

妻と二人で暮らす会社員のCさん(58歳)は昨年、他界した父親から、実家の近くにある約150㎡の土地を相続しました。50年前に父親は、この土地を他の人に貸しています。今は借りた人が建てた家に、その息子さん一家が住んでいます。

地代は年12万円で、土地の固定資産税を払うと、Cさんの手元に残るのは年に数万円ほどです。そこでCさんは、翌年に契約の期間が終わるのを機に土地を返してもらい、売却しようと考えました。

さっそく息子さんを訪ね、契約期間が終了したら土地を返してほしいと伝えます。すると息子さんから「この家に住み続けたいので更新を希望させていただきます」という答えが返ってきました。

売りたいという理由だけでは更新を断れなかった

本当に返してもらえないのかを確かめようと、Cさんは不動産の事情に詳しい弁護士に相談します。すると弁護士から「土地を売りたいというご事情だけでは、更新をお断りするのは難しいですね」と告げられます。

弁護士は、1992年7月31日までに結ばれた借地の契約には、その後いくら更新しても昔の法律が適用されると説明しました。この法律では、地主が更新を断るには正当な理由が必要であり、その理由として認められるのは、地主自身がその土地を使う必要があるといった事情だといいます。

立ち退き料を払うことで正当な理由が補われる場合もあるものの、金額は建物の状態や借りている人の事情によって高額になることがあります。

自宅に戻ったCさんは、弁護士から聞いた話を妻に伝えました。「売りたいという理由だけじゃ、返してもらえないそうだ」とCさんが話すと、妻は「向こうにとっては、50年住んできた家だものね」と理解を示します。

結局Cさん夫婦は更新の申し出を受け入れ、現在も年12万円の地代のまま土地を貸し続けています。

親が土地を貸しているなら元気なうちに契約の中身を聞く

もしご自身の親が他人に土地を貸しているなら、親が元気なうちに、契約書の保管場所と、いつから、誰に、年間いくらの地代で貸しているかを聞いておきましょう。契約書があれば、次の更新の時期や契約の期間が分かり、相続したあとにどうするかを早めに考えられます。

1992年8月以降に結ばれた契約で、期間が来れば終わる「定期借地権」になっていれば、更新はなく土地は返ってきます。

また、相続した土地をどうしても手放したいときには、その土地を借りている人に買い取ってもらえないか相談する方法もあります。借りている人にとっても、この先の地代が要らなくなり、土地と建物をあわせて自分のものにできるため、応じてもらえる可能性があるでしょう。



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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