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定年前に完済したい56歳会社員、9年ローンへ借り換え…年末調整の電話で告げられた“想定外の誤算”

  • 2026.11.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。住宅ローンを返済中の方のなかには、負担を減らそうと金利の低い銀行への借り換えを検討される方も多いのではないでしょうか。

また、定年退職を見据えて「現役のうちに完済してしまいたい」と考える方もいるでしょう。今回は、老後の安心のために期間を短縮して住宅ローンを借り換えた結果、住宅ローン控除が受けられなくなったエピソードを紹介します。

定年までの完済を目指して9年ローンへ借り換え

妻と2人で暮らす会社員のDさん(56歳)は、2022年に中古マンションを購入しました。このとき、返済期間20年で1,500万円の住宅ローンを組んでいます。

当初の計画では、10年間にわたって住宅ローン控除が適用される予定でした。住宅ローン控除は、毎年の年末のローン残高の0.7%が、所得税などから差し引かれる仕組みです。

その後、昨年の秋に、Dさんは金利の低い銀行へ借り換えることにしました。残っていた約1,280万円の借入金を、65歳の定年までに完済できるよう9年ローンで組み直したのです。

月々の支払額は、約6万9,000円から約12万4,000円へと大きく膨らむ計算でした。それでも現役のうちに完済したいという思いは強く、負担が増す点も事前に妻とよく相談し、夫婦で納得して手続きを進めたのです。

税務署に問い合わせて控除の対象外と分かった

無事に手続きが終わってしばらく経った頃、職場で年末調整の書類を準備する時期がやってきました。ローンを組み直した場合の記入方法が分からなかったDさんは、正確な書き方を確かめようと税務署へ電話をかけます。

しかし、事情を聞いた職員からは「新しいローンの返済期間が10年未満です」と言われました。続けて職員は「借り換え後のローンの返済期間が10年以上設定されていないと、控除の対象からは外れてしまうんです」と説明します。

銀行の窓口では、金利の引き下げ幅や月々の支払額の試算が中心となり、税金に関わる控除の条件までは話題に上らなかったそうです。こうしてDさんは、残りの7年間で戻ってくるはずだった、合計約35万円もの控除を受けられなくなりました。

返済期間を短くする前に控除が続く年数を聞く

定年までにローンを完済して、老後の負担を減らすというDさん夫婦の判断自体は、けっして悪いものではありません。また、銀行の窓口では融資条件や返済額の試算が主となるため、税金の細かな要件まで話が及ばないこともあります。

そのため、借り換えや繰上返済によって返済期間を短縮する際は、控除の条件にも目を向ける必要があります。新しい返済期間が10年以上になるかを先に確かめ、分からなければ手続きの前に銀行の担当者や税務署に尋ねておきましょう。

そのうえで、10年以上の期間を確保して控除を受け続ける場合と、早期完済で利息を減らす場合のどちらが有利かを試算してみてください。控除の残り期間と減らせる利息の額を比べてから、返済年数を決めることをおすすめします。

参考:
No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき(国税庁)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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