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実家父から相続した約500㎡の畑→売却を決意も…55歳息子が不動産担当から告げられた“思わぬ回答”

  • 2026.10.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。地方の実家を相続すると、家のまわりの畑や田んぼも一緒に引き継ぐことがあります。

今回は、亡き父から実家と裏の畑を相続した会社員のエピソードを紹介します。実家は売れる見込みがついたものの、畑だけは売却できず、農地バンクを通して貸し出すことになりました。

実家の裏の畑は農業をする人にしか売れなかった

都内で妻と暮らす会社員のAさん(55歳)は、去年父が亡くなり、地方にある実家と裏の畑を相続しました。畑は約500㎡の広さがありますが、父が亡くなる数年前から作物は作られていません。

やがて、地元の不動産会社を通じて実家が売れる見込みとなり、Aさんは畑もあわせて手放そうと担当者へ相談します。ところが、担当者から返ってきたのは「畑のままでは、農業をする方にしか売れません」という言葉でした。

担当者によると、農地を売るには町の農業委員会の許可が要り、許可が下りるのは、買主が農作業に常時従事するといった条件を満たす場合に限られます。Aさんは「それなら、宅地に変えて売ることはできませんか」と尋ねました。

しかし、この畑は農業を守るための「農用地区域」に入っていて、宅地に変えることも原則として認められないという答えでした。

近所の農家に断られ農地バンクを通して貸し出すことに

都内にいる妻に電話をかけたAさんは「実家は売れそうだけど、裏の畑だけは売れないんだ」と伝えました。その後、実家の近所の農家に声をかけて回りましたが、畑を引き受けてくれる人は見つかりません。

そこでAさんは町の農業委員会へ相談し、農地バンク(農地中間管理機構)を通して畑を農家へ貸すことにしました。農地バンクとは、公的な機関が間に入り、農地を借りたい農家へ貸し出す仕組みです。

幸い、その地域に畑を広げたい農家がいて、Aさんの畑を引き受けてもらえました。その農家は、畑を買うのではなく、借りて耕したいという考えでした。

こうして借り手は決まったものの、受け取れる賃料はごくわずかです。毎年の固定資産税を支払うと手元にはほとんど残らず、畑はこの先もAさんが持ち続けることになりました。

親が農地を持っているなら農用地区域に入っているかを確認しておく

農地は宅地と違い、相続しても自由に売ったり、宅地に変えたりすることはできません。親が畑などの農地を持っているなら、元気なうちに、その農地が農用地区域に入っているかを市町村の農業委員会で聞いておきましょう。

売れるのか、宅地に変えられるのかの見通しが、相続の前に立てられます。また、どうしても売れないときは、Aさんのように農地バンクへ貸し出す方法もあります。

ただし、農林水産省のQ&Aによると、借り手が見込めない、作物を作りにくいなど条件の悪い農地は、農地バンクが借り受けられない場合もあります。Aさんの畑のケースでは、地域に借りたい農家がいたから貸せたという点も、考慮しておく必要があります。

参考:
農地相続ポータル(農林水産省)
よくあるご質問(回答)(農林水産省)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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