1. トップ
  2. 住まい
  3. 妻「楽しみにしてたのに…」築35年の中古マンションを買った30代夫婦を襲った“工事初日の宣告”

妻「楽しみにしてたのに…」築35年の中古マンションを買った30代夫婦を襲った“工事初日の宣告”

  • 2026.10.26
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。中古マンションを購入してリフォームする際、家族の顔が見える対面キッチンに憧れる方は多いのではないでしょうか。

今回は、図面で壁が抜けると確かめてから中古マンションを購入した、Cさん一家のエピソードを紹介します。入念に確認して契約したものの、工事の初日に流しが動かせないと判明し、結果的に対面キッチンをあきらめることになりました。

壁は抜けると確かめて買ったのに工事初日に流しが動かせないことに

会社員のCさん(39歳)は去年、妻と小学生の息子と暮らすため、築35年の5階建て中古マンションを購入しました。希望は、壁で囲まれたキッチンを対面式に変えて、居間とひとつなぎにすることです。既存の流しは窓際の壁に面しており、対面にするには居間の方へ移動させる必要がありました。

2回目の内見にはリフォーム会社の設計者が同行し、仲介会社を通じて、管理組合が保管していた建物の図面も見せてもらいました。その際、設計者からは「床下の配管がどう通っているかは、床をはがすまで正確には分かりません」と説明を受けています。

それでも図面の上では、キッチンと居間の間にある壁は建物を支えていない仕切りの壁だと分かり、Cさんは売買契約を結びました。しかし引き渡し後の工事初日、床をはがした設計者から電話があり「流しはここから動かせません」と告げられたのです。

床下の高さが足りず排水の傾きが取れない構造になっていた

思わぬ知らせにCさんは「えっ、動かせないんですか」と電話口で聞き返しました。設計者の説明によると、床下の空間に十分な高さがなく、流しを居間の方へ動かすと排水が流れるための傾きが取れないそうです。

電話を切ったあと、Cさんは妻に事情を伝えて、これからの間取りをどうするか話し合いました。妻はしばらく黙り込んだあと「対面にするのを楽しみにしていたけれど、水が流れないなら仕方ないね」と静かに答えます。

結局、キッチンと居間の壁は抜けても、流しは窓側の壁に付いたまま残すことになりました。Cさん夫婦は念願だった対面キッチンをあきらめ、流しを壁付けにしたまま居間とつなげる間取りへと変更します。

設計のやり直しで工事が1か月延び余計な家賃を支払うことに

さらに、間取りの設計を一からやり直した影響で、工事の期間は予定より1か月延びてしまいました。新居への引っ越しも遅れたため、Cさんは前に住んでいた賃貸マンションの家賃12万円を、1か月分多く支払う結果となりました。

国土交通省の資料によると、階の高さにゆとりのないマンションでは、水回りの位置を変える際に排水の傾きで大きな制約を受けます。水を流す管には一定の傾きが必要なため、床下の空間が狭いと、今回のように流しの移動が難しくなるのです。建物の図面を事前に確かめても、床下の正確な高さまでは、工事前に把握できないことがあります。

そのため、水回りを動かす前提で中古マンションを買うなら、動かせなかったときの間取りも設計者と先に決めておくことが大切です。床をはがしたあとの状況に合わせてすぐ切り替えられるよう、あらかじめ別の案も用意しておけば、工事が止まる事態を避けられます。事前の備えが、工事の遅れや余計な家賃の出費を防ぐことにつながるでしょう。

参考:
マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル(国土交通省)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


【エピソード募集】ご近所・引っ越し・内見で…「えっ!」と思った体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ